もしも、「外務省」を解析するなら(後半)[第53回]
前回+今回のまとめ&アクセス解析的視点でのチェックポイント
最後にアクセス解析的な視点で見るべきポイントをまとめておこう。
- トップページについて
本文中でも触れたが、「外務省」を利用する人たちの目的は様々だろう。どのような目的で訪問しているかは、大雑把にどういったコンテンツがどのくらい利用されているのかというデータから判断すべきだ。その上で、ある程度類似したコンテンツをグルーピングして同種のカテゴリーとして括ってコンテンツを見せるといった方法がよいと思われる。
提供したいと思っているコンテンツと、実際に見られているコンテンツのギャップはあるだろうが、実際に見られているコンテンツを見やすいようにグルーピングして強弱をつけて提示するのが望ましい。新着情報やお知らせが本当にクリックされているのであればこのままでよいかもしれないが、もしそうでないならユーザー本位なトップページがどうあるべきかを考えた方がよいだろう。
各種コンテンツページから「外務省」のトップページに戻りたいときには、左上の「外務省」という文字のあたりをクリックすればトップページに戻ることができる。この際についているURLがhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/index.htmlとなっている。何が言いたいかというと、ファイル名(index.html)が付いているURLと、付いていないURLの2通りが存在しているということだ。
アクセス解析ツールによっては、この2つのURLを同じとみなして集計するような設定をしないと、別々に集計されてしまうことになってしまうので、要注意だ。もちろんSEO(検索エンジン最適化)の観点からも同じページに2つの表示方法があるのは不利なので、本来なら1つのURLに統合するのが望ましい。
- 各ページの閲覧状況
情報が多いのは仕方ないと思うので、様々なページで関連リンクや各種機能などが多く配置されている場合は、どのリンクがクリックされているのかというデータを、リンク先のコンテンツのグルーピングや順番を決める判断基準として利用するのがよい。
本文で触れたところでは、例えば図4の「渡航関連情報」、図5の「海外安全ホームページ」、図9の「ビザ」、図13の「パスポート」、図17の「感染症関連情報」といったページだ。けっこう情報ニーズは偏っていると思うので、実態に即したリンクの配置構造にするのが望ましいだろう。
- 検索結果ページ
情報量が多いこともあり、Webサイトの右上には基本的にフリーワード検索の入力窓が設置されている。適切なキーワードを入れれば、おかしな結果が表示されることはなさそうだが、検索結果から速やかに目的のページへ移動しているかどうかは大事なポイントだ。
まずはどのページで何を検索されているのかということを把握し、何が検索されているのか、それはどこで検索されているのかという事実から、ニーズに対するリンクの配置の参考にしよう。また検索でヒットしない場合に、代替案の表示などはなさそうなので、結果を1件も返せなかったクエリーがどのくらいあったのかとか、その場合のキーワードは何だったのかといった情報も取得できるようにしておくとよいだろう。
その他としては、サブドメインとインターフェイスについて。外務省管轄のWebサイトは様々なサブドメインで運用されているようだし、他省庁管轄のサイトへのリンクも多い。他の省庁や都道府県などの管轄するサイトへ飛んで行った場合に、ユーザー体験が異なるのは仕方ない面はあるだろうが、同じ外務省管轄のWebサイト群でインターフェイスが異なるのは、ユーザーとしてはとまどうのではないか。外務省管轄のWebサイトで、ユーザー体験がそれほど異ならないようなユーザーインタフェイスの統一をもう少し推し進めることはできるような気もした。
さて、約1年のあいだご愛読いただいたこの連載も、来月(2012年3月)いっぱいをもって終了することなった。本連載では、連載開始時から変わらず、
- Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
- 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論
を募集してきた。実際にご応募いただいたことがきっかけで、取り上げさせていただいたサイトもいくつかある。しかし、本連載も残るところあと5、6回。「かってに解析」希望者は、早めに(web-tan@impressrd.jp)まで、リクエストをお寄せいただきたい。
コメント
終わっちゃうんだー
終わっちゃうんだー面白かったのにー(´・ω・`)
残念です
ありがとうございます
ありがとうございます。
評価の高いコーナーなのですが、衣袋さんにはまた新しい切り口で記事をお願いする予定です。楽しみにお待ちくださいませ。
あ、「このサイトをかってに解析希望」という場合はお早めに!