DIGITAL&DIRECT NEWS

Web担当者Forum 編集長に聞いた、やりたい企画を通すプレゼン力とは?

「デジタルマーケティングに立ちはだかる壁」と題した特集の第2回として、Web担 編集長の安田英久氏に、「社内プレゼンという壁の突破方法」について伺った。

この記事はD2Cが発行するDIGITAL&DIRECT NEWSの一部をWeb担当者Forum向けに特別公開したものです。

今、マーケターに突き付けられている現実と課題はどのようなものなのだろうか。「デジタルマーケティングに立ちはだかる壁」と題した特集の第2回として、Web担当者Forum 編集長の安田英久氏に、「社内プレゼンという壁の突破方法」について伺った。

その企画でリターンがどれだけ見込めて、どんなユーザーニーズに応えられるのか

安田 英久 氏
安田 英久 氏
株式会社インプレス Web担当者Forum 編集長 ネットショップ担当者フォーラム 編集長

“スマートフォンに最適化する”ということには、大きく二つの意味があると思います。一つはデバイスの機能や特性に対応した表示にすること。これはもちろん、やるのであれば今すぐにやるべきですが、実は本質ではない。

本当に大切なのは、もう一つの意味、つまり、スマートフォンの普及によって、消費者の生活スタイルやメディア接触、生活における優先順位などが変わったことに対応するということです。デバイスは今後も変わりますが、後者の流れは変わらない。だからこちらにこそ、マーケターは対応しないといけない。

と安田氏は言う。

広く、デジタルマーケティングの最前線で活躍するマーケターの多くは、「社内で企画が通りにくい」「上司がデジタルマーケティングを理解していない」と嘆く。しかし、その企画が何を達成しようとしているのか、言い換えればどんな価値を組織にもたらすのかを明確にするのが大切だと安田氏は言う。

その予算を使うと、事業に関連したリターンがどれだけ見込めるのか。これは事業計画などあらゆる企画プレゼンと同様に大切な要素です。単に“スマートフォンが普及したからデバイスに合せた表示にする”というだけでは、その予算から得られるリターンが見えづらく、上司は承認しづらい。

でも、もっと大切なのは、“決済する人がどんな評価軸を大切にして検討をしているか”を正しく理解すること。要は上司がYESと言う勘所を把握しておくということ。顧客のニーズを理解するのがマーケティングの基本であるのと同じで、社内ステークホルダーを理解しなければ社内マーケティングができず、企画も通せない。

まず、デバイスに振り回されるのを止める。そして、“これをすることで、どれだけのリターンが見込めるか”、あるいは、“これをしないことがどれだけの危機を招くのか”、そこを決裁者にわかってもらう努力が必要だということになる。

まずは自分でやってみるプレゼンはそれから

当然のことながら、必要なのは数字と裏付け。そのためには、代理店の資料をそのまま使うのではなく、「自分の」企画として説得力を作ることが大切になる。

上司にYESと言わせるためのお勧めは、まず自分で動いてみて小さな成果を出して、その成果の数字をもって上司に話すこと。小さくても成果が出ていれば上司も納得しやすいし、自分でやってみたことで説得力も増す。もちろん、組織のガバナンスやコンプライアンスに照らして判断する必要はありますが。

スマートフォン対応でも広告でも、自分でブログを運営して、そこで試せばいいんですよ。ちょっと試すのが難しいものでも、ネットリサーチを少額で行って調査したり、業界の有力者5人の意見を揃えたり、知り合いのEC店長に協力してもらって実験してみたりもできる。本気でやりたいのならば、そのくらいは当然やってみて、その成果をベースに上司を説得すればいい。

“世の中スマートフォンだから”ではなく、消費者の生活スタイルがどう変わっているのかを自分で理解し、それに対応する手段にどんなものがあるか自分で調べて試し、その施策によって組織が得るメリットを上司がわかる言葉や数字で示す。「そこまでやってダメなら、転職を考えてみるというのはどうでしょうか(笑)」

この記事は、株式会社D2Cが発行する小冊子 『DIGITAL&DIRECT NEWS』 Vol. 50のコンテンツの一部を、許諾を受けてWeb担当者Forumの読者向けに特別公開したものです。

DIGITAL&DIRECT NEWSについて

※『DIGITAL&DIRECT NEWS』を長らくご愛読いただきまして、ありがとうございました。

2014年10月発行のvol.50をもって刊行を終了し、オンラインサイトの「D2Cスマイル」を通して、デジタルマーケティングに関するさまざまな情報を提供していく。

モバイルを活用する企業のマーケティング活動全般におけるモバイル活用の「いま」を凝縮し、企業の明日のマーケティング活動のヒントとなる情報を提供しています。年4回(4、7、10、1月)発行。

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