Instagramユーザー急拡大! 企業が押さえておきたいインスタ活用3つのポイント
2015年、最も勢いがあったソーシャルメディアといえばInstagram(インスタグラム)といっても過言ではないでしょう。日本だけでも、1年間でユーザー数が倍増するまでに急成長しています。2016年も引き続き多くの話題になること間違いなしの旬なプラットフォームです。
- ユーザー数:過去1年で倍増の920万人
- 男女別ユーザー構成:女性65%、男性35%
- 年齢別ユーザー構成:18~24歳33%、25~34歳38%がボリュームゾーン
- 1日当たりのいいね!数:4,100万回
成長著しいInstagramですが、一朝一夕で成功しないのは、他のソーシャルメディアと同じ。企業として、Twitter、Facebook、LINE……、さらにInstagramにも取り組むべきか、という悩みが生まれるのは当然です。まして、企業の業種・業態によって向き不向きがあると言われるInstagramにどのように対処するべきでしょうか。
ここでは、Instagramの活用ポイントを整理することで、検討中の担当者の参考になる情報をお届けします。
なぜInstagramが注目されているのか?
活用ポイントに入る前に、Instagramの今を簡単におさらいしておきましょう。
2010年のサービス開始当初は、カメラアプリとしての印象が強かったInstagramですが、2012年にFacebook社が買収してからは新しいプラットフォームとして、若者・女性を中心に急激に利用者数を伸ばしています。現在は全世界で4億人の月間アクティブユーザーが、1日に8,000万枚以上の写真を投稿しています(2015年9月発表)。
最近は「Facebook離れ」という言葉も耳にしますが、一般的にユーザーはトレンドに応じて利用するSNSを移っていくため、これは自然な流れとも言えます。mixi、GREE、mobageが国内3強だった時代から、Twitter、Facebookのグローバルな波が日本中を覆い、そして今Instagramが新たな「場」として台頭してきました。ユーザーは自分の興味関心に適していて、居心地の良い「場」で情報の発信や収集をしていきます。
このような市場の盛り上がりに合わせて、最近は企業アカウントも増え、Instagramを絡めたキャンペーンやニュース記事をよく見かけるようになりました。
日本企業のInstagram活用はこれからが本番
Instagramのポテンシャルはどの程度あるのでしょうか。2015年12月時点で、Instagramユーザーのフォロワー数1位は、歌手のテイラー・スウィフトさんで、なんと5,800万人以上のフォロワーがいます。日本でも数十万人~数百万人のフォロワーがいるユーザーが芸能人やモデルを中心に続々と増えてきています。
一方、国内企業が運営しているアカウントに目を向けると、アパレルメーカーを中心とした製造業、店舗展開している小売業がフォロワー数ランキング上位に名を連ねていますが、業種によって偏りがありますし、フォロワー数も数千~数万人の範囲が大多数で、数十万人のファンを抱える企業はまだ多くありません。
Instagram、企業活用の向き不向き
Instagramは会話によるコミュニケーションではなく、写真が主役のソーシャルメディアです。そのため、企業の業態・業種によって向き不向きがあります。
- Instagramと相性がよい企業
Instagramでは「美味しそう/キレイ/かわいい/クール/面白い/手に入れたい/憧れる」といった感情をビジュアルから直感的に伝えていくため、ユーザーの日々の生活の中に馴染みのあるアパレル・小売店・飲料、食品、消費財メーカーなどにInstagramの世界観はマッチしているといえます。
- Instagramと相性がよくない企業
逆に言うと、ビジュアルで興味を惹くことが難しい商品やサービスの場合は、そもそも何の写真を投稿したらよいのかイメージするのが難しいかもしれません。たとえば、金融系などの無形商材や、写真1枚では伝えきれないBtoB系のサービスがInstagramページを運用していくには、発想の転換が必要になってくるでしょう。
企業アカウントを運用する上で大事なことは、「何を発信したいか」だけでなく「ユーザーが共感できる/フォローしたくなる理由があるか」という客観的な視点を持てるかどうかになります。
Instagramを活用する企業公式アカウントの一例
広告の登場によってInstagram活用の幅が広がる
ところが、今年10月に入ってInstagram公式の運用型広告が本格的にスタートしたことによって、企業アカウントを取り巻く状況が大きく変わってきました。
「購入する(商品購入ページへの誘導)」「インストールする(アプリダウンロードへの誘導)」「詳しくはこちら(サイトへの誘導)」などのアクションボタン付きのクリエイティブが配信できるようになったことによって、メディアとしての利用価値が高まり、宣伝に活用する企業が急速に増えています。Instagramの運用型広告は、Facebook広告と同様のターゲティングやコスト調整が可能です。
- リンク広告
「詳しくはこちら」といったアクションボタンから外部のWebサイトに誘導します。各広告フォーマットのポリシーはFacebookに準拠したもので、テキストの割合を画像の20%以下にする必要があります。
- アプリインストール広告
アプリ提供者向けの広告です。「インストールする」「ダウンロードする」「音楽を聴く」などのアクションボタンから、アプリのインストールをうながします。
- 動画広告
mp4形式の動画を投稿できます。通常の動画投稿は15秒までですが、動画広告の場合は30秒まで配信することができ、リンク広告同様にアクションボタンを追加することも可能です。
これらの広告フォーマットを使って、Instagramを単なる「新しい広告掲載メディア」として割り切って利用するのも1つの手ではあります。しかし、今後さらに広がることが確実だろうInstagramを活用し、新しいユーザーとのつながりを築いていくには、自社のアカウントからコツコツ情報発信を続けていくことが大事です。
ここからは運用のポイントを見ていきましょう。
企業がInstagram運用で押さえるべき3つのポイント
1. 企業アカウントとしてのコンセプトを明確にする
一般ユーザーであれば、食事、風景、セルフィーなど、自分の趣味に合わせて自由に投稿を楽しめばよいのですが、企業は「公式メディアとしての発信」になるため、TwitterやFacebookと同様に、ある程度コンセプトや目的を事前にすり合わせた上でスタートするべきです。
自社のどの商品/サービスを、どんなターゲット層に対して、どのような形で表現していくのか、などを設定してから運用を始めていれば、課題を感じたときに原点へ立ち戻れるので、ブレの少ない運用ができます。もちろん、投稿やフォロワーが増えるにつれて課題も変わってくるので、都度調整しながら運用のPDCAを回していきましょう。
2. Instagramの運用体制の確保
体制というと少々大げさですが、管理者を決めるだけでなく、投稿する素材の準備や制作、投稿内容の確認、反響の分析、コメントへの対応など、社内の関係者や協力会社との確認フローが明確になっていることが重要です。
既存のSNSを管理している部署や担当者がそのままInstagramの運用も行うケースが一般的ですが、あらためて運用体制やフローを明文化・再確認しておくと安心です。また、Twitter、Facebookなどと違って、PCからは閲覧しかできず、投稿はスマートフォンもしくはタブレット上のInstagram公式アプリを使う必要があるため(2015年12月現在)、専用の端末を用意することを推奨しています。
3. 他メディアとの連携
Instagramには、TwitterのリツイートやFacebookのシェアのような投稿を拡散する機能が今のところありません。そのため、単体で活用するよりも、既存のSNS、Webサイト、メルマガなどから定期的に誘導したり、リアル媒体、イベント、キャンペーンを絡めて利用促進したりするなど、既存のチャネルとのシナジーを検討することも大事です。
また、前述の広告活用の他に、インスタグラマーと呼ばれるフォロワー数の多いインフルエンサーを起用して関連する写真を投稿してもらったり、フォトコンテストのような企画を実施してキャンペーンを活性化させることもできます。
運用ルールや目的に沿って投稿を行い、Instagramをからめたイベントを定期的に展開しながら、「フォロワー数」「いいね!数」「コメント内容」など、ユーザーがどんな反応をしているかを分析し、有効な活用方法を見つけていきましょう。
写真の質にこだわるInstagramユーザー、宣伝だらけの投稿に要注意
Instagramの投稿は、「ビジュアル(必須)」と「テキスト(任意)」という作りで、テキストの説明文がなくても伝わるノンバーバル(非言語)コミュニケーションな世界観が特徴です。それゆえ、写真の中にバナー広告のような売り文句が大きく入っているデザインは敬遠されがちです。
実際、Facebookが今年10月に発表したカンター・ジャパンと実施した「Japanese on Instagram調査(15歳~39歳の男女合わせて1131人が回答)」では、Instagramで企業を評価するポイントとして、「投稿内容が面白い(46%)」と「写真が高品質(34%)」が1位と2位になっています。
ユーザーの共感を得て、ファンになってもらうことがソーシャルメディア運用の第一歩なので、ブランドが伝わるクリエイティブの投稿を意識することが大事です。毎回とは言わないまでも、いわゆる「フォトジェニック」な写真をコンスタントに投稿できると、企業アカウント自体の話題作りにつながったり、フォロワーの増加に寄与していきます。ただし、短時間に何枚も連続して投稿すると、いいね! 数が伸びずエンゲージメント的にはあまり良い影響はありません。
動画素材も投稿できるので、テレビCMの素材や短尺の映像があれば活用してみましょう。静止画では伝わりづらい、商品の全体像や使用方法を直感的に伝えるのにも有効です。Instagramには、スクロールしながら流し見しているユーザーが多いので、ファーストカットにインパクトがある映像が閲覧されやすいです。動画はループするため、何度も繰り返し見てもらえることもメリットです。
とはいえ、すべての投稿においてInstagram専用の素材を用意しようとすると運用負荷も高くなってしまうため、まずはWebサイトや既存SNSで使用している素材の流用から始めて、その反応を見てもよいでしょう。
Instagram最大の特徴「ハッシュタグ」を使いこなす
写真と動画どちらの投稿においても、Instagramで重要なのはテキスト内に追加する「#」で始まる「ハッシュタグ」です。ユーザー同士が同じハッシュタグによって共通の趣味や状況を共有し、共感を促すための重要な手段なので、写真に添えるテキスト文と同時に考えることが必要です。
Twitterのハッシュタグは多くても2個程度が通常で、それ以上付けると、うっとうしいイメージを与えてしまいますが、Instagramの場合は10個記載しても違和感はありません。グローバルで利用頻度が高いハッシュタグは「#love」「#happy」「#follow」などですが、一般的なワードは共感の深度も浅いので、投稿する自社の商品・サービスに関連性が高い、適切なハッシュタグを付けるように心がけましょう。たとえば「#社名」「#商品名」「#キャッチコピー」「#場所」「#地域名」などを追加してみてください。
また、ハッシュタグにもトレンドがあるので、ユーザー目線で気になるハッシュタグを見かけたら、積極的にテキストに入れ込んでみたり、そのハッシュタグに合わせた写真を撮ってみるのもオススメです。
どのソーシャルメディアを活用するにしても一朝一夕で効果を出すことは難しく、「急がば回れ」的な地道な運用が必要です。今後、ユーザー数がさらに伸び続けることが確実だろうInstagramに今から取り組んでおくことは、後々のアドバンテージにつながります。ぜひチャレンジしてみてください。
まずはお手元のスマートフォンで、投稿1枚目となる写真を気軽に撮ってみませんか。
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