Web担当者とジョブローテの難しい関係 ―― 悪いことだとは限らない
今日は、Web担当者の「ジョブローテーション」に関するお話を。数年でWeb担当者が入れ替わるのは、なかなか悩ましいことなのですが、実は良い側面もあるのではないかと。キーワードは「岡目八目」です。
Web担当者のジョブローテ、よろしくないですよね
Web担当者のジョブローテーションの話を聞くことが増えてきました。早いところは2年~3年でWeb担当者が入れ替わり、それまで別の業務をしていた人がWebやマーケを担当するようになるというやつですね。
Web担当者が一人前になるのに、少なくとも2~3年はかかる。数年で強制的に入れ替えるなんて、よろしくない!
そんな風にずっと思っていたのですが、最近、実はそうとは限らないと思うようになってきました。
それは、「新しい考え方」「岡目八目」といった側面からです。
悪いこともある「ずっとWeb担当者」
1人や少数の人がずっとWebサイトや広告を担当していることには、良い面と悪い面があります。
良い面は、次のとおり:
- 中長期でプランできる
- 効率良く仕事を進められるようになる
- 以前からの知識があるので、新しいことを理解しやすい
- 外部パートナーと良い関係をつくれる
いっぽう、悪い面もあります:
- 「今までやってきたこと」にこだわってしまい、変える機会を作りにくい
- 「自分が作ってきたサイトや仕組み」にこだわってしまい、変えるべきタイミングになっても変えられないことがある
- 付き合いが長く考えを理解してもらいやすい外部パートナーを優先してしまう
ジョブローテが価値をもつのは、後者の悪い面に対してですね。
愛着があるからこそ、新しい視点で取捨選択を
Web担当者さんって、自分のサイトに愛着がありますよね。
そりゃそうですよ。自分が判断して、制作会社さんと一緒に作り、コンテンツをつくって運用してきたサイトですからね。
デザインやコンテンツに関しても、なぜそれがあるのかを理解していますし、自分が頭をひねって苦労して作ったものは、大切にしたいですよね。
でもいっぽう、Webやマーケが対象とする「お客さん」は、常に変わり続けています。会社が置かれている環境やステージも、変わり続けています。
どれだけ苦労して作ったものでも、捨てなきゃいけないときもありますし、変えるべきときはきます。
ずっと担当してきた人だと、自分の愛着もあいまって、なかなかその判断をしづらい場合があります。
でも、ジョブローテーションで回ってきた新しい人なら、そういう「事情」はあまり気にせずに、「よし、変えよう」と判断しやすいんですよね。
ジョブローテーションが生み出す岡目八目
私はここ数年「岡目八目」をテーマにしています。「当事者よりも、第三者のほうが正しく判断できる」ことを表した言葉です。
当事者が、「ずっとやってきたから」「そういうものだと思っているから」「工数や他の事情を知っているから」「愛着があるから」と、気づかなかったり無意識のうちに無視してしまったりすることは、よくあります。
でも、そういうことでも、第三者の目でみると「なんでこんなのやってるの、こうするべきじゃん」「ここ、こう変えればいいじゃん」とすぐ気づくことが多いんですよね。
そして、ジョブローテーションで新しくWeb担当者になった人は、もちろん当事者ではあるのですが、こうした「岡目八目」の効果を出しやすいんですよね。
もちろん、ジョブローテがなくても、外部の助けを借りたり、自分が意識を改めたりして、変化を進めることはできます。でも、それはなかなか難しいものです。
「短期間のジョブローテーションはWeb担当者には適していない」という考え方は、私は今でも変わりません。
でも、変化し続けることが大切なWebやマーケの仕事は、もしかしたら強制的に脳みそを入れ替えるジョブローテーションの仕組みがないと、「変わらない=想定的に退化する」という組織も多いんだろうな、と思うようになってきました。
結論のない、つらつらと思いを綴った文章ですいません。
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