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「Webマスターのやらないことリスト」で仕事の選択と集中を。本間充氏が語るあるべきWebマスターの姿

Webマスターは仕事の選択と集中をして、専門スキルで事業に貢献しましょう
本間充(アビームコンサルティング) 2016/8/24 7:00 |

Webマスターは、企業・組織内で一番にWebのビジネス活用やコミュニケーションを熟知したプロフェッショナル。Webマスターにしかできない仕事を優先すべきところですが、残念ながら、いまでも「よろず屋」的に仕事を振られるWebマスターを目にします。「Webマスターのやらないことリスト」を参考に選択と集中をして、事業に貢献できるWebマスターを目指しましょう。

Webマスターは仕事の選択と集中を

こんにちは、アビームコンサルティング デジタル・マーケティングセクターの本間 充です。私は、Webマスターは、Webマスターにしかできない仕事を優先すべきだと考えています。

そのための第一歩として、前回は、Webマスターが集う「loftwork Webmaster Camp」で作り上げたWebマスターの上司が読むべき「Webマスターの取扱説明書(トリセツ)」を紹介しました。

Webマスターの方は、上司に読んでいただけたでしょうか。そして、自身の仕事の選択と集中を行いましたか。今回は、Webマスター本人に向けて「Webマスターのやらないことリスト」をより詳しく解説していきます。

Webマスターのやらないことリスト
  1. 突然、または、ちょっと来てという会議には参加しない
  2. Webに関する、従業員のサポート業務は自分で行わないか、サポート時間を限定する
  3. サイト公開やサイト改良だけの指示のみ場合、なぜそれを行うのか、何のために行うのかを明確にするまでは取り掛からない

Webマスターのやらないことを明確にし、選択と集中をすることで何が変わるのでしょうか。これらのポイントについて、Webマスターの視点で掘り下げてみます。

会議は本来の仕事との優先順位から参加を判断する

突然、または、ちょっと来てという会議には参加しない

会議に召集されたとき、実際に断れるでしょうか。現実として、断らないまでも、代理として出せるメンバーがチームにそれほどいないので、「結果Webマスターが参加せざるを得ないのではないか」などの意見があります。

この意見では、1つ大きな視点が抜けています。それは「会議の時間に予定されていた、当初のWebマスターの仕事はどうするのか」ということです。Webマスターにも、毎日の仕事があるはず。その仕事の優先順位を超えてでも参加する会議に、「ちょっと来てください」という理由は存在しないはずです。

Webマスターは、企業・組織にとって重要な役割を持ちます。「個人的に断りにくいから」と、会議に参加するのではなく、企業・組織の優先順位から、会議の参加を断ることも適切な判断であると理解すべきです。

したがって、代理がいないチームでも会議の参加を拒否していいと考えます。むしろ、Webマスターの代理がいないことを認識して、Webマスターの仕事に集中した方が、企業・組織としてはいいのです。仕事を断っているのではなく、やるべき仕事を行うという意識を持ちましょう。

Webに関するサポートはWebマスターまかせにせず、教育もしていく

Webに関する、従業員のサポート業務は自分で行わないか、サポート時間を限定する

Webマスターの方と話をすると、多くの方から「メンバーが十分でない」という悩みを聞きます。メンバーはなぜ増えないのでしょうか。次のように、いくつかの理由が考えられます

  • 社内でWebを活用したコミュニケーションの重要性が認知されていない
  • Webを担当するだけのスキルを持った人いない

一方で、Webマスターが従業員からWebの使い方を質問され、呼び出されることは確かにあります。これは、Webに関する組織のスキル不足から発生する問題です。組織でのスキルが不足しているからこそ、Webを活用したビジネスを企画できず、結果Webを活用したコミュニケーションの重要性が高まらない状況ができているのではないでしょうか。

では、どうしたらいいのか。まずは、Webマスターという極めて専門性の高い人がサポートするのではなく、Webマスターの部下に行わせて、彼らのWeb活用スキルを高めるようにすることが挙げられます。従業員にとっても、部下の新人Webマスターにとっても、重要な教育だと思います。

もちろん、部下がいないのであればこの方法は使えないので、代わりに限られた時間だけサポートする方法があります。この場合、同じような課題を持っている従業員が同じ時間に集まり、サポートのタイミングを集中させる仕組みを設けることで効率化できるでしょう。サポートしてほしい人同士の相互支援も見込めるかもしれません。

さらには、企業全体で教育メニューを作り、従業員のWeb、ITスキルを高めるという積極的な支援方法もあります。社内研修制度を設けたり、定期的な社内セミナーを開催したりするなど、企業・組織にあった方法を検討するといいでしょう。

ここでも、重要なことは、Webマスターは、組織の中での役割を明確に理解して、本質的な問題の解決に取り組むべきだということです。

それは何のために行うのか? ビジネス目的を明確にする

サイト公開やサイト改良だけの指示のみの場合、なぜそれを行うのか、何のために行うのかを明確にするまでは取り掛からない

そして最後の難題は、私が事業会社でWebの仕事をしていたときにも経験した事柄です。「明日までに、このニュースリリースを公開してほしい」といった内容です。実は、Webサイトの公開、改良というのはオペレーション(作業)であり、ビジネスの目的ではありません

「ニュースリリース公開」のビジネス目的は、Webを通じたコミュニケーションを行いたいということでしょう。コミュニケーションであるからには、ターゲットの定義とコミュニケーションの目的があるはずです。

ところが、多くの企業の公開しているWebのページのなかには、ターゲットや目的が不明確で、ほとんどアクセスされないページがあります。きちんと、目的を明確にしていれば、アクセスされやすいページの配置にしたり、情報内容に変えたりできるはずです。

実は、多くの企業・組織は、コンテンツ・プロバイダや、雑誌編集部などと違い、コンテンツの企画・制作のプロではありません。つまり、「サイトの公開やサイトの改良」を指示した人も、プロではないのです。

むしろ、Webマスターの方が、より良い方法を知っているものです。だからといって、Webマスターが、Webマスター自身で、最善の方法を代わりに行うこともよくありません。Webマスターの方は、企業・組織の情報発信・コミュニケーション・スキル向上のために、常に「誰に?」「なぜ?」「どんな目的で?」という質問をしてください。むしろこの質問は、Webマスターの必須の仕事です。

Webマスターにしかできないことでビジネスに貢献

今回、loftwork Web Master CampでWebマスターのやらないことを考えたことは、非常に有意義でした。参加いただいたWebマスターの方は、非常に親切で、先回りして仕事をする優秀な方が多かったです。

一方で、これからは企業・組織のWeb 活用力をより高めるために、Webマスターにしかできないこと、そしてメンバーの教育のために、仕事を選択し、重要な仕事に集中してほしいとも思いました。そうすれば、必ず、企業・組織のWeb活用度や重要性が高くなり、さらに良いWebのための組織ができるはずだと考えています。

Webに携わるすべての人が学び共有するコミュニティ、次回「loftwork Webmaster Camp Vol.7」が9月1日(水)に開催されます。テーマは「ブランディング×CX」。

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