カフェやレストランでインスタ映えする写真を撮るポイントはライティング(第2回)
インターネットで表示される写真には、スマートフォンで撮影された写真が多くあります。FacebookなどのSNSを活用して情報発信やユーザーとのコミュニケーションをはかる場合、リアルタイムさやアクティブさを伝えるためにも、スマホ写真をすぐにアップロードすることが有効です。
スマートフォン撮影テクニックでは、スマートフォンそのものや内蔵カメラの特徴を理解し、Webコミュニケーションをより円滑に進めるコツを解説します。
カフェやレストランでの場所選び
SNSで人気の「食べ物」や「料理」の写真。
気の合う仲間や大切な家族と、「おいしいご飯を食べました!」といった文章とともに、写真を投稿することが多いと思います。
みなさんはカフェやレストランなどで食事をするとき、座る場所を考えますか?
目上の人には上座に座ってもらい、自分は下座へ、という話ではありません。
プロのカメラマンなら、写真撮影に適した座る位置が、カフェに入った瞬間「ピン!」とわかるのです。以下、その4つのコツを詳しく説明します。
1. 光源の位置をチェックする
いうまでもなく写真撮影には「光」が必要です。カフェに入ったら、光がどの位置から差し込んでいるかを確認しましょう。
日中には光は窓から差し込みますし、夜間では天井もしくは壁に取り付けられた照明が光源となります。
以前のコラムで「順光」や「逆光」の解説をしました(写真撮影入門:第10回「太陽は、天然の「照明機材」※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました」参照)。
日中で、座る席を自由に選べる場合は、窓際、もしくは窓に向かって座れる場所を選ぶのが、よい写真を撮るポイントです。
2. 日中と夜間での撮影の違いを理解する
地下や窓のないお店を除いて、日中の食事では窓から差し込む日光が主な光源なので、窓を背にして座ると「順光」、窓に向かって座ると「逆光」のライティングになります。
下の写真では右側に窓があり、光は右側から照らしています。
被写体が暗くならないよう露出補正に注意することがポイントです。机の天板に窓からの光が反射し、写真全体が明るく写っています。天板に写る反射を「目玉」と呼び、プロっぽく写真を撮影するための演出方法のひとつになります。
被写体を含む写真全体が暗くなってしまう点、逆に、被写体にフォーカスを合わせると写真全体が明るくなってしまう点が、逆光での撮影でむずかしいところです。暗く写るときは「露出補正」で適正な明るさに補正しましょう。
スマホ搭載カメラは、おおむね被写界深度が深い(フォーカスが広い範囲に当たり、単焦点レンズで撮影したときのようなボケが強い写真にはならない)ため、被写体からやや離れた部分をタップし、そこを明るさの基準にしても、問題のない仕上がりになることが多いといえます。
順光での撮影では光に対して手前側にある被写体は明るい一方、奥が暗くなります。撮影意図、演出によってはこのライティングが生きるでしょう。特に、被写体だけでなく背景の色合いや雰囲気をしっかりと伝えたい場合に、明るい部分と暗い部分の差が小さい順光での撮影が適しています。
ここまで、逆光と順光のポイントを説明しました。これまで被写体が暗くなることが気になって順光ばかり選んでいたとしたら、逆光で撮影するとライティングの幅が広がるでしょう。
さて、自然光ではなく、夜間での室内照明を前提とした撮影ではどうでしょうか。やはり、できるだけ明るい光源に近い席が望ましいといえます。スマホ内蔵カメラは暗い環境での撮影に適していません。もしむずかしい場合は、暗さを生かす(たとえば重厚感やアンダーグラウンド感を意識した)少し暗めの仕上がりを心がけることよいでしょう。
また、暗い写真でも、スマホ用の写真共有アプリ(Instagramなど)や写真加工アプリ(Adobe Photoshop Expressなど)に用意されているトイカメラ風の強いエフェクトをかけると、雰囲気のある見た目に仕上がることがあります。
撮影環境が悪い場合には、写真の仕上がりではなく、後処理でのユニークさを追求する。スマホでの写真撮影には、そのような楽しさもあるのです。
※POINT
今回の自然光での撮影現場は、ランチタイムのカフェですが、コツは自宅で撮影するときも同じです。
おいしそうな食事が作れたとき、自宅や友人宅でホームパーティーを開くときも、窓や照明を意識するだけでこれまでよりもクオリティの高い写真につながります。
最近では、調色機能のあるLEDシーリング(天井)ライトも一般的になりました。青みの強い昼白色、赤みの強い電球色など、同じ料理でもシーリングライトの色温度を変えて撮影すると、異なる印象になるはずです。
3. スマートフォンでもフラッシュは使わない
フラッシュを使うことは、考え方としては順光での撮影と同様のライティングです。ただし、カメラの位置から強い光を放つので被写体が暗くなることはなく、一見よさそうに思えるのですが、いくつか問題点があります。
- 被写体に立体感がなく仕上がる
- 被写体奥が暗くなる
- 被写体奥に強い影が入る
広告写真撮影の現場では、意図して正面から光をあてることもありますが、あくまでプロが環境を作った上で撮影をするからです。カフェで食べ物を撮影するときにフラッシュを使ってしまうと、少々残念な仕上がりになる場合が多いです。
フラッシュは使わず、上述のとおり、窓際や照明の近くなど、できるだけ明るい席に座るようにするとよいでしょう。
※POINT
写真撮影の「撮影」は、「影を撮る」と書きます。そう考えてみると、影がない写真は、なんだか「つまらない」「物足りない」と感じます。
撮影は光と影をコントロールすることで、よしあしが決まります。写真撮影は3次元の被写体を2次元にする作業でもあるので、光と影を同時に写し、立体感のある仕上がりを心がけると、いままで以上に被写体が美しく見えるでしょう。
4. アップで撮影する
スマホで上手に撮影をする際のキーワードは「アップで撮影!」です。
あとでトリミングをするから広めに(引きで)撮っておこうと考えるのは、構図を考えるトレーニングにはなりません。写真撮影は、いま見ている視界の一部を「思いきって切り取る」こととイコールです。
撮影時に「ズバリ」の構図を作れるようになると写真が上達しますし、自分が撮りたい写真が、さらに、写真の中で大切にすべきポイントがハッキリとします。
窓の光源に向かって逆光で撮影することで氷に窓ガラスの反射が映り込み、とても綺麗に仕上がりました。構図の面では、いらないところはバッサリと切ることで、アイスコーヒーの中のツヤのある氷がクローズアップされました。
右の写真のように、被写体に近づき「寄り」で撮影することで、周辺の小物が見切れる場合は、移動させるという判断が必要になることがあります。この写真では、ビスケットを右に、クッキーを左に少しだけ動かし、全体のバランスを整えました。
このように、メインとなる被写体以外にも気を配って撮影すると、よりクオリティの高い写真に仕上がるでしょう。
※POINT
写真撮影に慣れてくると、ズバリの構図を一瞬で見抜き、思ったとおりの画作りが素早くできるようになります。もし記録用としてわかりやすい写真を残しておきたい場合は、「寄り」だけではなく「引き」で撮っておいてもよいでしょう。
まとめ
今回はカフェやレストランで座る位置、光のあてかたについて解説しました。
このコラムを読んだからと言って、カフェで「席」の取り合いになったり、「撮影」や「ライティング」に夢中になるあまり、場の空気がわるくならないよう注意しましょう。
素敵な紳士を目指すみなさんへ。
大切な女性とお食事デートのときは、写真が上手に撮れる席を譲ってあげると同時に、「露出補正」や「構図」の作り方のコツを「サラッ」とお話しすると、モテるかもしれません。
語りすぎると面倒くさがられるかもしれないので、あくまでも「サラッ」とがポイントですね!
(第3回につづく。)
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
ソーシャルもやってます!