こんにちは!
本日から全7回にわたって、IMJのNPSに対する考え方、NPSをプロジェクトとして進めていく中での気づきやノウハウを調査レポートと合わせて、皆様にお伝えしていきたいと思います!
NPSについてはこちらの記事をご覧ください。
【IMJ NPSコンサルティングチーム】
松永 来美
NPSコンサルタント
Net Promoter(R) 認定資格者嶋田 優子
NPSコンサルタント
Net Promoter(R) 認定資格者
1.IMJ NPSコンサルティングチームが大切にする「ロイヤルティドライバー」とは?
─── 顧客ロイヤルティを測る指標、NPSを向上させるために必要な「ロイヤルティドライバー」って何でしょうか?
嶋田:「ロイヤルティドライバー」とは「ロイヤルティをあげるために必要なもの」のことです。
体験や気持ちの面でお客様が企業に対して「愛情を持つこと」を「ロイヤルティを持つ」と表現します。このロイヤルティが生まれたり、向上したりするきっかけとなっているものを「ロイヤルティドライバー」といいます。
松永:具体的にお話しすると、化粧品の企業ブランドサイトを調査した際は、「そのサイトでしか得られない新しい発見があること」「その発見をすぐにお客様自身の生活に取り入れられること」、イコール「ロイヤルティドライバー」でした。
ロイヤルティの高いお客様、つまり推奨者を分析してみたところ、ブランドサイトで、商品情報だけでなくて、企業の研究成果や他の商品との相性など、多くの情報に触れて、新しい知識を自身の生活に取り入れていたんです。
─── 「ロイヤルティドライバー」を知ることを大切にしているということですが、そもそもなぜ「ロイヤルティドライバー」を知る必要があるのでしょうか?
松永:NPSのゴールは自社のロイヤルティを向上させることです。ただ、むやみにアクションを打つだけでは、必ずしもロイヤルティ向上にはつながるとは限りません。
お客様の声から導き出しだした「ロイヤルティドライバー」をもとに、アクションを検討することが必要なので、「ロイヤルティドライバー」を的確に特定することは大切です。
自社のお客様のロイヤルティを向上させるのに、効果的なドライバーを知ってこそ、初めてロイヤルティを向上させる明確なアクションが考えられるようになるのです。そのことをクライアントと接する中で意識して伝えています。
2.ロイヤルティドライバーを数値データだけで導き出すのでは不十分
─── それでは、具体的にロイヤルティドライバーを把握する方法を教えてください。
嶋田:お客様に対して行ったアンケート結果の数値データから、「ここのポイントがロイヤルティドライバーではないか」という仮説を立てることができます。
先ほどの例に挙げた、化粧品のブランドサイトの場合では、推奨者は、サイトに掲載されているコンテンツの閲覧数と、サイト訪問頻度が中立者と比較して倍近く高いことが分かりました。そのため、コンテンツ接触の種類や頻度の差にロイヤルティドライバーがあるのでは?という仮説を立てました。
松永:「推奨者にあって、中立者にないものは何か」というギャップを把握することがファーストステップです。このギャップにロイヤルティ向上のためのヒントが隠されていることが多いですね。
─── では、アンケート調査の数値データを分析するだけで、ギャップが把握できるということですね!
嶋田:いいえ、違います。アンケート調査票の項目は、その時点で企業が持っている仮説を基に作成されているため、新しい発見ができるとは限りません。
また、数値データだけではロイヤルティドライバーの本質が見えてこないこともあります。クレジットカード会社の調査を例にすると、推奨者は「会員サイトが使いやすい」という点を評価しており、「会員サイトの使いやすさ」が「ロイヤルティドライバー」と認識してしまうことがあります。しかし、それだけでは、「使いやすさ」というものがどのようなものかまでは把握できません。
ロイヤルティドライバーの本質が分からないと、ロイヤルティを高めるためにすべき具体的なアクションが考えられません。
松永:だからこそ、数値データを分析するだけではなく、その数値データから立てた仮説や数値の裏にある体験や気持ちの深掘りをする必要があります。クレジットカード会社の「会員サイトの使いやすさ」は「自分に必要な情報が、少ないステップで確認できること」かもしれないし、「先月との利用金額の比較ができ、家計簿代わりに使えること」かもしれません。
体験や気持ちを深掘ることで、自社のロイヤルティドライバーが明確になり、新しいサービスや体験を提供できるヒントを得ることができるようになります。
─── 数字だけに頼らず、裏の「なぜ」を突き詰めていくことが重要なんですね。
数値データを分析する中で、「ここを深掘りしよう」と思う基準や、ヒントになるポイントを見極めていく作業には、なにか秘訣はありますか??
嶋田:推奨者、中立者、批判者の人物像や体験、気持ちの数値上のギャップから、重要部分を推測することができます。
私たちはそのギャップの背景には何があるのかを見極めるために、「フリーアンサー」をひとつひとつ確認しています。そうすることで、数値上では明らかにならなかったお客様の行動、感情の理由が明らかになってきます。
松永:数値データとフリーアンサーを組み合わせてカスタマージャーニーを起こしてみると、お客様の気持ちや体験が可視化されるため、推奨度によって行動や感情に分岐点があることが分かってきます。その分岐点にロイヤルティドライバーが潜んでいることが多いので、私たちは、そこに関連する数値データやフリーアンサーを重点的に分析していきます。
3.IMJ NPSコンサルタントが大切にしていること
─── 分析の中で重要視しているのは「フリーアンサー」なんですね。
以前はIMJでもフリーアンサーを数値化するテキストマイニングツールを使用していましたが、お客様の声の本質を見抜けないと感じていたことがあったそうですね。
「どうすれば本当のロイヤルティドライバーを見つけていくことができるのか」を試行錯誤してきた中で、確立することができたIMJ独自の分析メソッドとはどんなものでしょうか?
松永:たくさんのクライアントに接していく中で、フリーアンサーのボリュームや単語の関連性を見るだけでは、お客様の表面的な意見、顕在化している気持ちや体験しか確認できていないと感じていました。ロイヤルティドライバーを見つけるためには、フリーアンサーを分解・分析し、お客様の本音を捉えていくことが必要だと感じるようになりました。
そのため、ツールを使用したテキストマイニングだけではなく、「フリーアンサーの原文を読み、さらに分析する手法」をIMJ独自のメソッドとして確立してきました。
─── 「フリーアンサー」をひとつひとつ読むことはクライアントにとっても骨が折れる作業ですよね。でも、フリーアンサーに潜む本当のお客様の声を知ることで効果が出てくればクライアントもフリーアンサーを分析することの重要性を理解してくれますね。
松永:フリーアンサーの原文を読むことは大変だとは思います。でもIMJとのプロジェクトを通して初めて実際に読んでみたら新しい発見がたくさんあったと、クライアントからよく伺います。
IMJ NPSコンサルティングチームとしては、IMJのメソッドを提供することで、クライアント自身がお客様の生の声を読むことの支援ができるようになればよいと思っています。なぜならお客様の生の声には企業のロイヤルティを向上させるヒントがたくさん隠れているからです。
嶋田:日々行っている業務が本当に顧客にいい体験を与えられているのか、意味があるのかと悩んでいた現場のスタッフが、推奨者の声を知ることで、自分の業務がロイヤルティに影響していると知ることだけでも、自信をもって業務を遂行できるようになるので、フリーアンサーの原文を読んでもらうことをクライアントに薦めています。
4.IMJ NPSコンサルティングチームの新たな取り組みとは……
─── ここまで「ロイヤルティドライバー」の大切さを話してもらいましたが、今後はNPSや「ロイヤルティドライバー」の発見に対してどのような取り組みをしていきたいですか?
嶋田:どの会社にも自社特有の「ロイヤルティドライバー」があること、そしてそれを明確にすることで的確なアクションを考えられることをもっと伝えていきたいと思っています。
松永:実は今、百貨店利用者のロイヤルティ向上に関する自主調査をしているのですが、同じ百貨店という業態でも、企業によって「ロイヤルティドライバー」が異なっていることが分かってきています。
ロイヤルティドライバーがあやふやなまま作ったアクションでは、お客様の体験や気持ちを変えることはできません。
お客様の行動や気持ちをうまく見抜くこと、お客様の思いと企業の動きを合致させること、この2点が非常に重要なポイントです。このポイントをおさえたNPSのコンサルティングサービスを提供していきたいですね。
─── 同じ業種であっても、ロイヤルティドライバーが異なるんですね。どうして異なるか気になる企業は多いと思います。
ロイヤルティドライバーを知るためにフリーアンサーを深掘りしなければいけない理由をもっと詳しくお伝えしたいと思い、今回、百貨店業界の『ロイヤルティドライバーの競合調査レポート 第1回』を発表しました!
『ロイヤルティドライバーの競合調査レポート 第1回 百貨店業界編』
※NPSとは、ロイヤルティマーケティング権威であるフレデリック・ライクヘルド氏が提唱している、顧客との関係性(カスタマーロイヤルティ)を測る指標です。
※Net Promotor Score®及びその略称であるNPSはベイン・アンド・カンパニー及びフレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
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