「プレゼンに使えるイイ感じの調査データない? 3日後までに作っといて」──そんな無茶ぶりに応える「LINEリサーチ」をWeb担が試してみた
Web担編集部での企画会議にて……
「インフルエンサーのステマ行為」ってネタで記事作ったらどうです?
おもろそうやん! でも、ステマに対してユーザーがどう感じているのかっていうデータも入れとかんとまずいやろ。
そ、そうですよね……。でも、「YouTube インフルエンサー」や「インフルエンサー ステマ」とか入れてもよさそうな調査結果がヒットしないんですけど……。
どあほ! なければ自分で調べるんやろうが!
(久々に来たな、無茶ぶり……)ユーザーにアンケートしたらめっちゃお金かかるの知ってます? それに時間も手間も……。
そこをうまいことやるのが編集者だ! あとは任せた!
……仕方ない。頑張ってやってみますか!
アンケートの質問は作った! あとはどう調査するか……
そこでとりあえずは、どのような質問をすればいいか考えてみた。若年層相手に「ステルスマーケティング」と言っても理解できないだろうし、答える人も身構えてしまうかもしれない。最初はYouTubeやインスタで紹介されているものを買ったことがあるか、という程度の質問がいいだろう。「PR」や「AD」の意味を知っているかも聞いておいた方がいい──あれこれ考えて、以下のようなアンケート案を考えた。
この質問リストをPDFでダウンロードする
問題は、このアンケートをどのように実施するかだ。本来ならば、調査会社に頼めば信頼性の高い資料が作れるだろう。でも、調査会社に頼むと、
- お金がかかりすぎる
- 調査設計など、手続きが大変そう
- アンケート回収までの時間もかかりそう
とか厄介そうなイメージがある。もっとカジュアルにアンケートを取りたいな……。Googleフォームとか、自分でアンケート画面を作るセルフアンケートにしてみようか。しかしこれも、
- 想定している回答者が集まるか
- 結果の信頼性が担保できない
- 結果の集計が面倒な作業になりそう
など、自分の調査スキル不足もあって、不安だしなぁ。
LINEリサーチ「ライトコース」を使ってみた! 思っていたより手軽!
そんなこんなで、アンケート案は作ったものの、どのように実施すればいいかと悩んでいたその時、タイミングよくLINEから一通のメールが……。
LINEが始めたLINEリサーチの簡易版を試してみませんか?
えっ! 何それ!?
食いついてお話を聞かせてもらったところ紹介されたのが、LINEが2016年11月から開始した「LINEリサーチ」の簡易版「ライトコース」だ。LINEユーザー向けにリサーチを行えるサービスで、その特徴は下記の通り。
- 調査会社の調査に比べて安い(100件で9,800円から調査可能)
- 短期間で調査ができる(数百件であれば1日程度で回収可能)
- 調査に対しての知識が少なくても手軽に調査できる
- ちゃんと調査のことを理解している人が設計したもの
これは良さそう! 渡りに船とばかりに乗っかって、さっそくチャレンジしてみることにする。LINEリサーチ「ライトコース」を利用する手順は、以下の通りだ。
その① 無料アカウントを申請
LINEリサーチ「ライトコース」のアカウント申請ページに、担当者名や法人情報を入力して申請する。
アカウント登録は無料(現在は法人のみ)、取引先審査があるが、Web担当者フォーラム編集部はすでにLINEと取引があったため即日発行してもらえた。LINE社で取引先登録がまだない場合は、最大7営業日ほどかかるため早めに申請しておくとよさそうだ。
その② 調査ファイルを作成
アカウントが発行されたら、「アンケート作成依頼ツール」にログインし、「新規アンケート」を開く。
ページの下の方から、Excelファイルでフォーマットをダウンロードする。このファイルに沿ってアンケートの質問内容や回答項目を入力して提出すると、LINEの担当者がアンケート画面を作成してくれるという流れだ。入力の詳しい説明がワークシートに入っているため、調査の知識がなくても迷うことはほぼなく、10分もあれば入力できた。
その③ 調査フォーマットの提出
こうして調査フォーマットが完成したら、アンケート作成依頼ツールから以下の項目を設定して提出する。
希望期間を設定
アンケートをいつから始めたいかは、申請する時刻の24時間後から設定できる。設定した回収数に達すると自動で終了するというので、このアンケートではとりあえず3日間にしておいた。一日当たりの実施件数に限りがあるので、どうしても実施したい時期がある場合は、早めに申請する方がいいようだ。
回収数を設定
回答を何件集めるかを設定。最小100件から最大1000件まで、回収数で価格が変わるので、予算と相談しながら決めよう。
回答者の条件を設定
基本設定のままならば、アンケートは「15~59歳までの日本在住人口構成比率で回収」されるが、今回は若者の声を聞きたいのでカスタム設定を選択した。
「カスタム設定を追加する」をクリックすると、性別、年齢、婚姻状況、職業、居住地などを細かく設定できる。年齢は5歳刻みで設定できるため、今回は年齢のみ15~34歳に設定し、その他は設定なしにした。
調査フォーマットをアップロード
最後に、入力したExcelファイルをアップロードして申請は完了だ。情報共有したい人のメールアドレスを2つまで登録可能なので、チームで共有することもできる。ここまでの流れで、高度なITリテラシーは不要で、Excelへの入力ができれば問題ない。
こうして申し込んだ後、わずか2時間ほどでLINEリサーチのオペレーターから確認のメールが来た。早い! 質問文や回答の選択肢について、回答者がより負担なく回答できるようにする修正意見もあわせて届き、公序良俗や利用既約に違反していないかもチェックされていて、ありがたい。ラフなのに信頼性の高い調査が行えるというのは、こういうところもポイントの1つなんでしょうね。
確認がすむと、最後に以下の2つのファイルが送られてくる。
- 修正が適用された「設問一覧」
- 設問数・回収数に応じた「お見積り書」
これにOKを出すと、設定した時刻からのアンケートがスタートする。ここまでわずか半日だ。
1日半でアンケート回収完了!
アンケートの公開は13時からに設定したのだが、翌日の22時には「回収目標数に達したのでアンケートを終了した」というメールが来た。今回のアンケート内容は一般消費者、特に若者にとってそれほど面白いものではなかったと思うが、わずか一日半で目標数を回収できている。
もし、回答者の属性を絞らずに、「新商品のパッケージデザインはABCのどれがいいと思うか」のようなシンプルなアンケートなら、もっとあっという間に集まるのではないだろうか。
結果データはWebツールの「マイアンケート」からダウンロードする。ダウンロードできるのは下記の6ファイルだ。
- 設問やカスタム設定など今回の調査の基本データ
- ローデータ(2種類:数字表記/文字表記)
- 性年代クロス集計表(2種類:数値表記/%表記)
- 調査データが単純にグラフ化された「total_lc」ファイル
調査データの単純集計をグラフ化して表示してくれている「total_lc」というファイルを見ればおおよそのことがわかるのでありがたい。自分で切り口を考えてグラフ化したいという場合はローデータやクロス集計ファイルを使えばいい。
3人に1人はInstagramきっかけで何かを消費
5人に2人はYouTubeきっかけで何かを消費
ここからは、調べた調査結果を公開していこう。
まず、「あなたはInstagramで誰かが紹介しているものを過去に買ったり、視聴したり、イベントやお店に行ったりしたことはありますか?」という質問には、32.7%が「ある」と答えた(1~2回はある、3~5回はある、6回以上あるを合わせたもの)。
また、YouTubeの同じ質問では40.9%が「ある」と答えた。若者の3人に1人がInstagramで、5人に2人がYouTubeで知ったものを消費したことがあるということになる。
買ったものの内訳では、Instagramでは「ファッション・コスメ」(61.4%)が1位、「食べ物」(57.3%)が2位、「飲食店」が3位となる一方で、YouTubeでは、「ファッション・コスメ」(45.6%)と「食べ物」(35.8%)が1位と2位なのは変わらないが、3位は「アプリ」(27.0%)、4位は「動画・音楽」(26.0%)と少し差が出てきた。
「PR」や「AD」の意味を、若者の半数は知らない
「PR」や「AD」の意味を知っているかについては、「知っていた」が43.0%、「知らなかった」が57.0%となり、知らなかった人が過半数だった。「PR」や「AD」という表記の意味が若年層には思いのほか浸透していないらしい。
企業から報酬をもらって紹介している商品について聞いたところ、「商品が魅力的であれば買う」という人が64.2%となった。また、そうした宣伝行為を行っている企業についての印象を聞いたところ、あらかじめ宣伝だと明かしていれば74.5%の人が「特になにも思わない」と答えている。
一方で、宣伝だということを隠していて、後から宣伝だと判明した場合は、「特に何も思わない」は48.2%まで減り、悪い印象を持つ人が47.6%まで増える。それでも半々だ。
そこで、もう少し詳しく年齢によって違いがあるのかを知るために、ローデータを使って別のグラフを作ってみた。
どの年代でも「特になにも思わない」人が最も多いが、男性のほうが女性より「特に何も思わない」割合が高い。また、女性は若いほど「特に何も思わない」割合が高くなる一方で、男性は10代と30代に比べ、20代は気にする割合が少し高くなるといったことが読み取れる。
初心者でも安心の「ライトコース」と、本格的な「サポートコース」
今回利用した「LINEリサーチ」はスマホ専用のリサーチサービスで、以下のような特徴がある。
- スマホユーザーに確実にリーチ
- モニター406万人中56%が若年層
- リサーチパネルに登録したことのないフレッシュモニターが70%
フレッシュモニターが多いため、アンケートに答えるのが好きという「アンケート回答のプロ」のような層よりも、実際の生活者に近い声が聞ける。また、LINEのプッシュ通知で配信するためレスポンスが早く、回収率が非常に高い。
今回利用した「ライトコース」は2017年11月にリリースされたもので、従来のセルフアンケートとは異なりLINEのスタッフが画面作成・配信を担当してくれるので初心者にも優しい。価格体系も、設問数3、回収数100で9,800円からという安価さだ。今回は設問数8、回収数500で申し込んだところ、75,000円(税抜き)という価格になった。
ライトコースは本調査のみでスクリーニングには対応していないが、必要ならば「サポートコース」がある。サポートコースでは専門知識を持ったパートナー調査会社が課題整理~分析・プレゼンまで対応。サンプル数も50万までと、本格的な市場調査などにも利用できる。
- 安価でスピーディーに調査を行いたい
- 手元にある調査データの裏付けを取りたい
- 若年層・フレッシュモニターを対象にアンケートを取りたい
と思っているなら、まずは「ライトコース」を試してみてはいかがだろうか。
- LINEリサーチ「ライトコース」を試してみる
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