私たち、広告の運用者にとって、重要かつ手間のかかる仕事の一つとして挙げられるのは「レポート作成」といっても過言ではありません。広告に携わる人たちの命題の中には、いかに工数をかけずにレポートを作成・分析し、そのアカウントがすくすくと育つ道を見つけだすことが入っているのではないでしょうか。

昨今、広告の配信媒体は増えており、それに合わせるようにして、優秀なレポートツールも増えていますが、もちろんそれなりに費用もかかり、手間もゼロにはなりません。便利ではあるけれど、いざ導入するとなると費用や運用方法など決めることもたくさんあり、気軽に手を出すというわけにはいかないですね。

それに加えて、もし、お客様と日々レポートの共有を行うことができれば、日ベース・週ベースでお客様と密にお話しすることもできます。月一回の膨大なレポート作業や費やす時間も軽減され、問題が起きた場合、即時に両者納得の元、修正・改善に進めることができる。実現できたら、とても良いフローで広告運用からレポートまでの一連を行えるのではないか、と思いました。

そこで、Googleアナリティクスのデータインポート機能を活用してGoogleデータポータル(ちょっと前までデータスタジオ)でレポートを作成・共有することを、実際にお客様に提案してみたのです。

これは、GoogleアナリティクスとGoogle広告を連携している場合に限られますが、弊社では、アカウントを連携しているケースが多く、且つ、弊社にはGoogleアナリティクスのエキスパート達が揃っている環境がありますので、お客様からもご快諾をいただくことができました。同時に、月次の進捗を、すぐに、簡単に、確認できることに喜んでいただけましたので、すぐに着手することにしたのです。

ここまでが、Googleアナリティクスのデータインポート機能を使ったレポート共有を実施するまでの経緯ですが、ここから、問題。正しくレポートができるまでに、いくつかの失敗を重ねることになってしまい、お客様へも心配をかけてしまいました。。。

これは猛省するべきことなのですが、何が問題で、どのようにすればよかったのか、このコラムにまとめて、二度と失敗が起きないようにさせていただければと思います。

このコラムによって、スムーズに費用データインポート機能を使いこなしていただければ幸いです。
まずは、失敗編から。

Googleアナリティクスのデータインポート機能とは?

Googleアナリティクスは、Google広告の費用・インプレッション・クリックのデータを、Google広告と連携することによって自動的に収集できます。しかしながら、Google広告以外の広告の費用・表示回数・クリック数も、データインポート機能を使ってGoogleアナリティクス内にインポートすることが可能です。

Googleアナリティクスに費用などのデータをインポートしておけば、Googleデータポータルや他のBIツールを使う場合、繋ぎ込みに必要なデータはGoogleアナリティクスのデータに一元化でき、広告からの流入データと他の参照元からの流入データを同じ目線で分析しつつ、費用対効果の側面もGoogleアナリティクス上で確認・分析することが可能となります。

一昨年の記事になりますが、弊社・村山が書いたコラム、Googleアナリティクスでキャンペーン費用をコスト分析する方法と得られる多くのメリットにあるように、準備は必要ですが、工程に難しいことは一つもないため、導入のハードルは高くありません。また、無料版のGoogleアナリティクスであってもデータインポート機能は使えるため、費用もかかりません。

非常に便利で無料なので、使わない手はないと思いませんか?

費用データインポートに失敗した理由

しかし私は失敗しました。
村山のコラムも読み、既にデータインポートを実施したことのある同僚から情報も入手した上で、準備もキチンとしたつもりで事に及んだ訳ですが、失敗しました。

どのような失敗かといえば、インポートした合計数値が元データを合わず、何度もやり直した挙句、参照元/データの項目に<(not set / not set)>という見たことのないものを表示させることになってしまいました。

“数字が合わない“ということは、レポートとして成り立つことはありません。データインポートはできたけど、目的を果たすことができなかった。即ち失敗ということになります。それも、最大級の失敗といえるでしょう。

では、なぜ失敗したのか。
それは、準備万端と思っていても、準備不足が否めなかったからだと思っています。

この失敗の要因は、データインポートを始める際に設定するインポートの処理方法の理解が足りなかったことに他なりません。

次のコラムで正しい手順を紹介しますが、ここでは失敗の要因である処理方法について話を進めます。

上記の図は、データインポートを始める際の設定画面で、いろいろと進めていくと、最終的にこの画面にたどり着きます。この図の上部は今まで設定した内容の確認になりますが、赤枠で囲ったところは、ここで初めて設定するものになります。

処理方法は2つ、「合計する(規定)」「上書きする」とありますが、以前は「合算」と「上書き」の2パターンでした。「合算」が「合計する(規定)」となったのでしょう。

ここで私は、現在(規定)となっている「合算(=合計する)」ではなく、「上書き」を選択しました。
なぜ、「上書き」を選択したかというと、日ごとの費用データをインポートすることを想定し、媒体から「今月」とか「全期間」でダウンロードしてきたデータを最小限の工数でインポートしたいと考えたためです。

「上書き」を選択しておけば、例えば週一回データインポートを実施する場合、媒体からダウンロードする期間を「今月」とすると、「◎月1日」のデータは約4回インポートされることになります。ただし、「上書き」にしておけば、同一のデータと見なされ、単に上書きされることになり数値に変化がないはず。

逆に「合算」を選択してしまうと、上記の場合、「◎月1日」のデータはインポートされる分だけ合算されてしまうので、過去の日付分だけを切り取ってインポートしなければならず、工数がかかってしまう、と考えました。

ここまで述べたことに間違いはないと思うのですが、私はもう一つ肝心なことを加味せずに「上書き」を選択していました。
もう一つ肝心なこととは、「日」単位だけでなく、「キャンペーン」単位、「グループ」単位について。それらを検討材料に入れず「日」単位のみで進めてしまったことが失敗の原因といえます。

重複するデータが「日」だけであれば、「上書き」を選択しても間違いなかったのでしょうが、「日」に紐づく「キャンペーン」や「グループ」に重複があったことで、元データとGoogleアナリティクス上で確認できたデータに差が生まれてしまいました。

では、どのように設定すれば、失敗せずに費用データをインポートできるか。 それは、次のコラムで説明させていただきます。

Googleアナリティクスへの費用データインポート。
失敗から学んだ、費用データインポートのやり方と必要な事前準備。
◎やり方編◎
 へ続く

この記事を書いた人
河野 芽久美
河野 芽久美
シニアSEMコンサルタント

自動車雑誌のライター、課金コンテンツ制作を経て広告運用の道へ。お客様の広告運用やレポ―ティングだけでなく、チーム内部のファイナンスを含む業務効率化、職務環境改善にも取り組む。得意分野は「求人」「不動産」「総合通販」。趣味は美味しいモノを食べること。