【図解】グーグルのリンク評価20の原則【2019年版】(前編#1~#10)
グーグルSEOで今でも順位決定の重要な要因であるリンク。しかし、グーグルがリンクをどう扱うかは、昔と比べて大きく変わっている。
2019年において、グーグルは被リンクや発リンクをどう評価しているのか。どんなリンクが検索順位に影響をもつのか。基本から最新情報まで、20の原則を図で解説する。
- 人気が高いページからのリンクほど、強力な票になる
- 独自のメインコンテンツの「中」にあるリンクは、サイト共通部分のリンクより大きな価値を引き渡す
- メインコンテンツの上部にあるリンクほど、強力な票になる
- 関連性の高いアンカーテキストを含むリンクは、より大きな価値を引き渡すことがある
- これまでリンクしてくれたことがないドメイン名からのリンクは、すでにリンクしてくれているサイトからのリンクよりも重要だ
- 他サイトからのリンクは、サイト内リンクより影響力が強い
- 信頼できるシードセットからの距離が近いリンクほど、より大きな価値を引き渡すことがある
- ページのトピックに関連性の高いページからのリンクは、より強力な票になることがある
- 鮮度の高いページからのリンクは、鮮度の低いページからのリンクより大きな価値を引き渡し得る
- リンク増加率は、鮮度のシグナルとなり得る
- グーグルは、スパムリンクや低品質リンクの価値を引き下げている(後編で解説)
- リンクエコー:リンクの影響は、リンクがなくなった後も残ることがある(後編で解説)
- オーソリティの高いコンテンツにリンクを張っているサイトは、そうでないサイトより高く評価されることがある(後編で解説)
- スパムページにリンクしていると、そのページからの他のリンクも、価値を下げられることがある(後編で解説)
- nofollowリンクはフォローされないが、場合によっては価値を渡すこともある(後編で解説)
- JavaScriptリンクの多くは価値を引き渡す――ただしグーグルがレンダリングできる場合に限る(後編で解説)
- 1つのページ内に同じURLへのリンクが複数ある場合は、最初のリンクが優先される(後編で解説)
- robots.txtとmeta robotsタグは、リンクの認識や取り扱いに影響を及ぼすことがある(後編で解説)
- 否認したリンクは価値を引き渡さない(通常は)(後編で解説)
- リンクではない言及が、データやオーソリティをウェブサイトに関連付けることがある(後編で解説)
22年前、グーグルの創業者らがPageRank(ペイジランク)を発明し、それ以降のウェブが変わった。既存のランキングアルゴリズムと比べてPageRankが大きく違っていたのは、次の点だ:
ウェブ上のリンクを票と見なす。最初の段階では、票はすべて平等だ。
得票数が多いページほど重要度が増す(そして、より上位に表示される)。
重要なページほど票の重要度が増す。
しかしグーグルは、そこで止まらなかった。さらに、
- アンカーテキスト
- トピックモデリング
- コンテンツ分析
- トラスト(信頼)シグナル
- ユーザーエンゲージメント
など、検索結果をよりいっそう改善する要素を取り入れたのだ。
リンクはもはや平等ではない。いや、平等とはほど遠い。
ランド・フィッシュキンがこの記事のオリジナルバージョンを公開したのは、2010年だ。はっきり言って、それはSEOの世界を震撼させた。ここでは、彼のオリジナル記事から非常に多くの部分を引用しているが、ランドは寛大にも今回のアップデートに協力してくれた。
この記事では、SEO担当者たちが観察したりテストしたりしてきた「リンク評価の20の原則」を紹介する。
グーグルが認めたものや特許を取得しているものもある。これらは厳然たるルールというわけではなく、相互に作用し合う原則であることに注意してほしい。たとえば、次のような具合だ。
鮮度の高いリンクを一挙に公開すると、強力なリンクを凌駕する場合が多い
スパムリンクは鮮度の高いリンクの効果を鈍らせることがある
これらの原則を、ぜひ自分でテストしてみることを強く推奨する。ランドの言葉を引用すると、「SEOについて学ぶには、実際に試してみるより効果的な方法はない」のだ。
リンクの原則#1
人気が高いページからのリンクほど、強力な票になる
基本原則から始めよう。この概念は、グーグルによる当初のPageRank関連特許の基盤になったもので、グーグルが世界で最も利用されている検索エンジンへと瞬く間に躍進する助けとなった。
PageRankは、あっという間にきわめて複雑なものともなり得るが、単純化して言えば、次のようなものだ。
獲得する票(被リンク)が多ければ多いほど、そのページに付与されるPageRank(や、その他の潜在的なリンクに基づくシグナル)が高くなる。
より多くの票を貯め込んでいるページほど、発リンクを通じて他のページに渡す票も多くなる。
簡単に言い直すと、人気が高いページとは、それ自体が多くの票を貯め込んでいるページのことだ。人気のページからリンクを獲得すると、一般的には、さほど票(リンク)を集めていないページからリンクを獲得するよりも、大きな力となり得る。
リンクの原則#2
独自のメインコンテンツの「中」にあるリンクは、サイト共通部分のリンクより大きな価値を引き渡す
同じページ内にあるコンテンツやリンクでも、
- 「サイドバー」「ヘッダー」「フッター」などのいわゆる「ボイラープレート」(サイト内で共通に使い回すことを前提としたテンプレート的な部分)
よりも、
- ページ独自の本文領域
に配置されているコンテンツやリンクの方を重視していることを示唆しているものが、グーグルの特許にはいくつかある。次のような特許だ:
- Reasonable Surfer
- Page Segmentation
- Boilerplate
これは確かに理にかなっている。というのも、ボイラープレートリンクの本質は、通常は(たとえ人がそこに配置する決定をした場合でも)CMSによって自動的に挿入されるものであり、内容に関わるものではないからだ。グーグルの検索品質評価ガイドラインでは、ページの「メインコンテンツ」を重視するよう評価担当者に求めている。
同様に、SEOに関する複数の実験から、(CSSまたはJavaScriptを使っている)展開可能なタブやアコーディオンメニューの中に隠れているリンクは、完全に見えているリンクよりも影響力が低い可能性があることがわかっている(ただしグーグルは、こうしたリンクも完全にインデックス化して重み付けをしていると述べている)。
リンクの原則#3
メインコンテンツの上部にあるリンクほど、強力な票になる
次の2つのリンクから選べるとしたら、どちらを選ぶだろうか?
- ページの1段落目の目立つ場所に配置されているリンク
- 何段落か下に配置されているリンク
もちろん、君は訪問者がクリックする可能性の高いリンクを選ぶだろうし、グーグルも同じように考えるだろう。グーグルは、「ユーザーが実際にクリックすると思われるリンク(ページ上のより目立つ位置に配置されているリンクを含む)」の方により大きな重み付けをする方法について、Reasonable Surfer特許に関する資料で説明している。
よく知られていることだが、グーグルのウェブスパム担当チームを率いていたマット・カッツ氏は、かつてSEO担当者らに対し、「ページの最初に配置されたリンクに注意を払い、重要なリンクは埋没させないように」と呼びかけていた(出典)。
リンクの原則#4
関連性の高いアンカーテキストを含むリンクは、より大きな価値を引き渡すことがある
グーグルのReasonable Surfer特許に関する資料には、関連性の高いアンカーテキストを含むリンクをより重視するという考え方も記載されている。グーグルの特許には、アンカーテキストが重要な役割を果たしているものがいくつかあり、これはその1つにすぎない。
関連性の高いアンカーテキストの影響力は、長年にわたるさまざまな実験で何度も確認されている。こうしたアンカーテキストによるリンクがあると、平凡なアンカーテキストや関連性のないアンカーテキストによるリンクの場合よりも、ページが上位に表示される可能性が高くなる。
注意すべきなのは、関連性の高いアンカーテキストの価値向上を提案しているReasonable Surfer特許には、「テーマから外れているアンカーテキストや無関係のアンカーテキストは、価値を落とすか、あるいは一切無視する」とも書かれていることだ。
完全に一致するアンカーテキストをページに詰め込むべきというわけではない。データの一般的な傾向として、上位に表示されるページに対しては、関連性の高いアンカーテキストを健全かつ自然に組み合わせたリンクが張られている場合が多い。
同様に、リンクの周囲や近くにキーワードやキーフレーズを使って構成された文章が配置されている場合もある。確かな証拠には乏しいが、このことはグーグルの特許で言及されており、「トピックに関連するコンテンツの中にあるリンクは、そうでないリンクより文脈から考えて関連性がより高くなる」のは理にかなっている。
リンクの原則#5
これまでリンクしてくれたことがないドメイン名からのリンクは、すでにリンクしてくれているサイトからのリンクよりも重要だ
これまでの経験からわかっていることとして、
- すでに自分のところにリンクを張ってくれているサイトからリンクをさらに500件獲得する
よりも、
- 異なる50個のドメイン名からそれぞれ1件ずつ、合計50件のリンクを獲得する
方がはるかにいい。
これも理にかなっている。というのも、グーグルのアルゴリズムは、1つのサイトからの人気だけでなく、ウェブ全体における人気を測定するよう設計されているからだ。
実際、この考え方は、これまでに行われたほぼすべての検索順位決定要因の相関性調査で裏付けられている。「リンク元となっている個別ルートドメイン名の数」はほぼ常に、グーグルの検索順位について、「サイトのリンク総数そのもの」よりすぐれた予測因子だ。
ただし、ランドは、この原則が常に正しいわけではないことを指摘している。こういうわけだ。
「ニューヨークタイムズ(NYT)から2つ目または3つ目のリンクを獲得する」か「オーソリティの低いどこかのサイトから新しいリンクを獲得する」かを選べるとしたら?
たいていはNYTから追加でリンクしてもらうほうが検索結果の上位に表示される可能性が高まり、マーケティングにも役立つ。
リンクの原則#6
他サイトからのリンクは、サイト内リンクより影響力が強い
上述した「リンクの原則#3」の考え方を広げると、
- 他サイトからのリンク
は、
- 自分自身のサイトのなかで張ったサイト内リンク
より価値が高いことになる。
同じ相関性調査から、上位に表示されるサイトはほぼ常に、下位に表示されるサイトより多くの外部リンクと結びついていることがわかっている。
検索エンジンは、「君について他者が言うこと」は「君が君自身について言うこと」よりも重要だという考え方に従っているようだ。
だからと言って、サイト内リンクが無意味だというわけではない。それどころか、サイト内リンクや優れたサイト構造は、グーグルの検索順位で非常に大きな影響力を発揮することもある。
とはいえ、外部リンクビルディングは、検索順位を上げてトラフィックを増やす最速の方法である場合が多い。
リンクの原則#7
信頼できるシードセットからの距離が近いリンクほど、より大きな価値を引き渡すことがある
「TrustRank(トラストランク、信頼ランク)」は、何年も前からある概念だ。ビル・スロースキー氏がここで取り上げている。
もっと最近では、グーグルが元のPageRankの特許を更新し、シードサイトを利用した「信頼」という概念を盛り込んだセクションを追加した。信頼できるシードサイトからのリンク距離が近ければ近いほど、そのサイトが検索上位を獲得する力は強まる。
理屈から言うと、ブラックハットのプライベートブログネットワーク(PBN)は、信頼性の高いサイトからのリンク距離が遠ければ、たいして効果がないということになる。
グーグルが信頼性を評価する可能性があるリンク以外の方法として、次のような情報の利用がある。
- ネット上の評判(オンラインレビューや感情分析など)
- 正確な情報(事実)
これは、「ユーザーの今後における幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える」YMYL(Your Money or Your Life:資産や人生)ページで特に重要な要素だ。
つまり、誤解を招くとか危険だとグーグルが見なすサイトからのリンクは、より評判の良い情報を記載しているサイトからのリンクほど価値がないとされる可能性があるということだ。
リンクの原則#8
ページのトピックに関連性の高いページからのリンクは、より強力な票になることがある
酪農場のサイトを運営しているとしよう。すべての条件が同じだとしたら、次のどちらからのリンクを選ぶだろうか。
- 全国 酪農 協議会
- 自動車整備 協会
関連性がより高いと判断して、前者の酪農協議会を選ぶはずだ。
こうした判断を行うメカニズムは、
- トピック反応型PageRank
- フレーズに基づくインデックス化
- ローカルの相互接続性
など複数あるが、グーグルはトピックについての関連性が高いリンクに対して同じように対処する可能性がある。
こういった考え方は、関連性のないページからのスパムリンクを無視するのにも役立つ。
上に画像を掲載したが、グーグルによるトピックについての関連性の使い方をめぐる概念は、きわめて複雑だ。SEOの関連性シグナルに関する基本情報として、以下の記事を推奨する。
- トピックのSEO:リンクの関連性とグーグルの検索順位に関する7つの概念
(Topical SEO: 7 Concepts of Link Relevance & Google Rankings) - キーワードを超えて:高度なオンページSEOに関する7つの概念
(More than Keywords: 7 Concepts of Advanced On-Page SEO)
リンクの原則#9
鮮度の高いページからのリンクは、鮮度の低いページからのリンクより大きな価値を引き渡し得る
鮮度は重要だ。
グーグルは、鮮度に基づいてコンテンツを評価する方法をいくつか採用している。ページの関連性を判断する方法の1つとして、そのページに張られているリンクの鮮度に注目することがある。
基本概念として、
- 鮮度の高いページ(新しいページや定期的に更新されているページなど)から張られたリンクを含むページ
は、
- 鮮度の低いページやしばらく更新されていないページからのリンクが多いページ
よりも関連性が高いと考えられる。
このテーマに関する優れた読み物として、ジャスティン・ブリッグ氏がこの概念を「FreshRank(フレッシュランク、鮮度ランク)」と命名して説明している。
より鮮度の高いページからのリンクを一気に追加したページは、過去10年にわたって同じ古いリンクが含まれるページと比べて、直接的な関連性が高いかもしれない。こうしたケースでは、リンクの増加率やリンク元ページの鮮度がランキングに大きな影響を及ぼす可能性もある。
注意すべきこととして、ページが「古い(公開してから時間が経っている)」からといって、鮮度が低いとは限らないことを指摘しておきたい。鮮度が低いページとは、次のようなページのことだ。
- 更新されておらず、時代遅れになったコンテンツが多い
- 時間が経つにつれて、新規リンクの獲得件数が減少している
- ユーザーエンゲージメントが低下している
これらの要件に合わないページは、鮮度が高いと見なせる(実際のページ公開からの経過年数に関係なく)。ランドが次のように指摘しているとおりだ。
ページが最新の状態に保たれている場合は特に、古く硬直したリンクも非常に貴重なものとなり得る。
リンクの原則#10
リンク増加率は、鮮度のシグナルとなり得る
グーグルから見て、ページに張られる新規リンクが急増した場合、これは関連性を示すシグナルとなる可能性がある。
これと同じようなことで、全体のリンク増加率が低下すると、ページの鮮度が落ちたことを表し、検索結果で価値が引き下げられる可能性が高い。
鮮度に関するこれらの概念はすべて、他の情報も含めて、グーグルの特許「履歴データに基づく情報検索(Information Retrieval Based on Historical Data)」で言及されている。
ウェブページのリンク増加率が上昇すると、検索エンジンにとっては関連性を示すシグナルとなる可能性がある。たとえば、結婚することになった人の個人サイトにリンクする人が増えると、このサイトは(その最新のイベントに関する限り)より関連性が高く、鮮度が高いと見なされる可能性がある。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。前編では、20のポイントのうち10個を紹介した。後編となる次回は、残る10個のポイントを見ていく。→後編を読む
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