「マコなりです!」というハツラツとした挨拶から、バイタリティあふれる熱いスピーチが繰り広げられるマコなり社長のYouTube動画。チャンネル開設から1年3カ月ほどで、非有名人のビジネス系YouTuberとしては異例のチャンネル登録者数約40万人超を達成しました。
マコなり社長の動画は、なぜこれほど多くのビジネスパーソンの心を捉えることができたのでしょうか。
今回はマコなり社長こと株式会社div代表取締役の真子就有さんに、YouTuberとしての成功のポイントを聞きました。
(取材・文:Marketing Native編集部・早川 巧、撮影:永山 昌克)
※視聴回数、登録者数はいずれも2020年2月3日現在。
二度の事業失敗でも、心が折れなかった理由
――真子さんは、株式会社じげんの内定者インターンを経て起業し、サービスを2つ立ち上げて失敗した後、現在の教育事業を始められたとのこと。大学を卒業してから教育事業の立ち上げまで、どれくらいの期間がありましたか。
2012年3月に大学を卒業する1カ月前に会社を起こして、TECH::CAMP(テックキャンプ)を始めたのが2014年10月ですから、2年半くらいかかっています。
――その2年半の間にモチベーションが落ちて気力を失ってしまう人もいると思いますが、くじけずに挑戦し続けられた理由は何でしょうか。
「なぜ生きるのか?」ということを考え続けてきたからですね。
――なぜ生きるのか?
はい。そこに自分が答えを出していたからだと思います。じげんでインターンをしているとき、平尾(丈・代表取締役社長)さんは圧倒的な存在でした。頭は良いし、仕事が速い。知識量が違いすぎて、同じ次元の人ではないような、そんな印象すら受けました。
また、自分は学生ながらに、マーク・ザッカーバーグのような世界的なリーダーになりたいと漠然と考えていたのですが、大学時代にFacebookを生み出したザッカーバーグと、21歳でプログラミングを始めた自分との差が大きすぎて、「このままでは無理だ」「どうすればいいんだ」と日々、思い悩んでいました。
そんなときに、岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』という本と出合い、「やりたいことをやり抜くこと。それ以上に大事なことはない」と気づいたんです。「自分が面白いと思ったことを、自分に嘘をつかずにやる。それに尽きる」と。
そう決意してから、私は変わりました。成功するとは限らないし、人に嫌われるかもしれない。非難されるかもしれないけど、「誰が何と言おうと、自分はやりたいことやるぞ」と心に誓ったのです。たとえサービスが失敗しても、仲間が全員辞めてしまっても、自分は絶対に最後の最後まであきらめない、1人でもやり抜くと覚悟を決めた結果、「心が折れる」「あきらめる」という概念が人生から消えました。
もし仮にやりたいことをやりきった末に、野垂れ死ぬんだったら、それほど最高な人生はないじゃないかとも思いました。もっとも、今の時代に野垂れ死ぬことは難しいと思いますけどね(笑)
――確かにそうですね(笑)
最初に始めた事業が失敗して仲間が全員辞めたときも、自分の未熟さは認めながら、「でも自分はやりたいことをやったし、言いたいことをちゃんと言ってきた」「価値観は皆それぞれ違うし、何が正解かはわからない」「全ての人を満足させることはできないのだから、いかに自分の信念を貫き通せるかが大事であり、そのことでしか自分は幸せになれない」と感じていました。だから心が折れなかったというのが答えですね。
YouTuberとしての挑戦を決意したきっかけ
――YouTubeの話を伺います。始めたのが2018年11月で、きっかけはYouTuberで友人の「仮メンタリストえる」さんに刺激を受けたからだということですが、チャンネル登録者数は真子さんが約40万人、「える」さんが約37万人で、いつの間にか追い抜いてしまいました。具体的に「える」さんの動画の何が良かったんですか。
初めて「える」の動画を見たとき、心を揺さぶられました。ビジネスパーソンにも役立つ内容を短い時間でわかりやすく伝えていて、その圧倒的な顧客目線をカッコいいと感じたんです。
ビジネス系のYouTuberは大勢いますが、余談が多くて尺が20~30分ある動画もあり、なかなか視聴する気になれませんでした。一方、「える」の動画は無駄な要素がカットされていて、ブランディングも作り込まれていました。「こういう動画なら自分も作ってみたい」と思いを募らせていたときに、2人で話をする機会があり、「自分もYouTuberになろう」と決意しました。
――YouTubeを通して世の中に訴えたいことがあったのでしょうか。
いえ、特にはありませんでした。
――意外ですね。
もちろん、自分は一般のビジネスパーソンより濃密な経験をしていると思いますし、学生時代にビジネスプランのコンテストで優勝したりして成功体験もそれなりに持っていますので、伝えられることはたくさんあります。ビジネスの話は社内でもよくしていますし、納得感のある伝え方ができるだろうとも考えていました。
しかし、だからといって世の中に何かを訴えたかったわけではなく、むしろ著名な経営者が誰もやっていないから始めたというのが率直なところです。TwitterやInstagramには力を入れていても、YouTubeを頑張っている経営者は、当時見たことがありませんでした。YouTubeは動画配信プラットフォームとして、これからますます注目されるのは確実ですし、「経営者が誰もまだ成功していない」という点に強い興味を持ちました。
――とはいえ、「える」さんは仮面をかぶっていますし、素性は不明です。一方、真子さんの場合は企業の社長で、実名・顔出し。リスクも当然大きいと思うのですが、それでもあえて決断したのはなぜですか。
「やめたほうがいい」と言われるのが、私のモチベーションになるんです。弊社の社員からも「YouTubeをやるなんて、真子さん、ハートが強いですね」と言われましたが、「普通はやらないよね」と否定的なことを言われれば言われるほど、燃えてきます。
もちろん、どう考えても無理で、明らかにおかしなことには手を出しませんが、10人中1人くらいの割合で「面白そう」と言ってくれるなら、チャレンジする気はあります。
ウケる動画作成に欠かせない3つのポイント
――ご自身ではなぜこんなに自分の動画がウケたと思いますか。
そもそもYouTubeにおいての「ウケる」とは何かというと、YouTubeアプリの「あなたへのおすすめ」や「次の動画」にいかに登場できるかだと考えています。
では、どんな動画ならそこに登場できるかというと、視聴者が長い時間見続けてくれる動画です。そのためには当然、最後まで興味を持って見てもらえる面白い内容にする必要があります。私の動画は凝縮されていて「余白」がありませんし、内容は起業から二度の失敗を経て、現在の教育事業で実績を上げるまでに経験したリアルなサクセスストーリーを基に、「明日から使えるアクションプラン」を伝えていますから、見て損のない、価値のある動画だと自負しています。
話し方も「大事なポイントは3つあります」「第5位から発表していきます」などと、「この先どうなるのか?」「もっと知りたい」「もっと見たい」と思わせ続けられるように工夫しています。だから一度視聴し始めるとクギ付けになり、最後まで興味を持って見てもらいやすいと思います。
つまり、
・余白のない凝縮されたカットのつなぎ
・ビジネスパーソンを惹きつける内容
・次が気になる話し方
この3つを掛け算した結果、視聴維持率、ロイヤリティの高い動画をたくさん作成することができました。それがYouTubeに良質な動画だと評価されたため、「あなたへのおすすめ」や「次の動画」に登場できるようになったのだと考えています。
――最初は視聴回数もチャンネル登録者数もなかなか伸びなくて、登録者数が1000人に達するまで3カ月くらいかかったと聞きました。その間にやめようと思ったことはなかったですか。
そこまでは思わなかったですね。ただ、その状態があと半年続いていたら、思ったかもしれません。でも、当時は数字が伸びないことよりも、動画を作ること自体が楽しくて、夢中になっていました。最近こそ動画の順位や視聴回数をしっかりとチェックしていますが、始めた当初は単純に「もっと良い動画を作りたい」という一心でした。
――登録者数が1万人を超えたところから一気に伸びたとのことですが、ブレイクスルーのきっかけとなった動画は何でしょうか。
『【9割の人ができない】「仕事が遅い人」がやっていないたった一つのこと』(2019年2月3日公開、視聴回数約88万回)です。このあたりから加速がかかって10万人まで一気に駆け上がりました。おそらくどこかのタイミングでYouTubeのアルゴリズムが私の動画を良質で、もっと露出すべき内容だと判断したのだと思います。突然スイッチが入ったように急に変わりましたので、驚きました。
『【9割の人ができない】「仕事が遅い人」がやっていないたった一つのこと』
タイトルの付け方で工夫したポイント
――最も視聴回数が多いのが『身近にいる絶対に関わってはいけない人』(2019年7月1日公開)で約155万回、ほかには『いますぐ辞めるべき会社ワースト3』(2019年7月26日公開)が約117万回、『凡人で終わる人の悪い習慣ワースト5』(2019年8月6日公開)が約110万回と、ネガティブ訴求のタイトルが多いですね。
人間には損失を回避しようとする「プロスペクト理論」のような傾向がありますので、何かを得られるという打ち出し方よりは、「もしかしたらすごく損をしているかもしれませんよ」というタイトルのほうが興味を喚起しやすいのではないかと思います。
私は本当に価値があることを話していると思いますし、そのために動画1本あたりの原稿の準備に4~5時間かけています。だから、少しでも見てほしいと願っていますし、そのためにはまず目を留めてくれる引きのあるタイトルを付けることが重要です。それは「釣り」とは考えていません。
――なるほど。
ほかにも、ランキングを付けられるときはタイトルになるべく「ベスト」「ワースト」という表現を入れるようにしています。
――『仕事が遅い人の「やっていること」トップ3』(2019年9月12日公開、約114万回)、『【絶対にやるな】器が小さい大人の行動トップ3』(2019年10月11日公開、約89万回)などですね。
「ネガティブ訴求×ランキング」は鉄板です。ランキング形式で紹介するテレビ番組もありますが、内容をわかりやすく伝えられますし、最後の1位発表まで視聴者を惹きつけやすいと感じます。
『身近にいる絶対に関わってはいけない人』
話し方のコツは、経験を基に本気の思いを伝えること
――話し方はいかがでしょうか。チャンネルのトップにある『「常識人間」は成功しない』(2019年7月4日公開、約43万回)を筆頭に、毎回とても熱く語っている印象があります。話し方という点で意識したり、真似をしたりしている人はいますか。
キング牧師ですね。何度も動画を見ていますが、「この人は本気で語っているな」と感じて、見るたびに胸が熱くなり、泣きそうになります。見たことがない人は絶対見たほうがいいと思います。
1人の人間が「自分は本気でこれをやりたいんだ」「人生を懸けて、絶対にやり遂げてみせる」と語っている動画は、やはり胸を打ちますし、スピーチも優れています。そういうところは参考にしました。
――確かに真子さんの動画からは本気の思いが伝わってきます。
本気さを伝えるのに大事なのは、話し方だけに限りません。私の原体験にあるのは、高校時代に苦手だった体育教師の思い出です。あるとき、運動会のリーダーが集まる合宿があったのですが、最後の日にその先生がいきなり上半身裸で会議室に入ってきて、卒業した大学に古くから伝わる舞踊のような応援スタイルを披露したんです。最初はみんな「えっ?」「先生、どうしたの!?」と戸惑っていたのですが、全身に力を入れ、本気で表現している先生の姿に圧倒され、会議室にいた全員が泣いてしまいました。私以外。
――私以外(笑)
でも、危なかった。負けたくなかったから必死で涙を我慢しましたけど、「本気で何かをやるとは、こういうことだぞ」と教えてくれた気がしました。「いつも怖い先生だけど、恥ずかしさを捨てて自分の思いを本気で伝えている姿って、人が泣くほどカッコいいんだな」と学びを得ましたね。それが原体験にあります。
――素晴らしいですね。
私の話し方はスティーブ・ジョブズのようなイノベーティブでカッコいいプレゼンとは違います。泥臭くて、でも自分の信念を本気で語っているのが特徴だと思っています。
TEDに植松努さん(株式会社植松電機 代表取締役)の「思うは招く」という動画があります。これが本当に泣けるんです。
「Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo」©TEDxSapporo
北海道の町工場の社長によるロケットづくりの話です。子供の頃から飛行機やロケットが好きで、いつかロケットづくりを仕事にしたいと夢見ていたのですが、中学の先生に「宇宙の仕事は頭が良くないとダメだし、すごくお金もかかる。おまえにできるわけがない」「どーせ無理」と否定されて、すっかり自信を失ってしまった、と。しかし、「“どーせ無理”というのは、やったことがない人、挑戦していない人の言葉なんだ」と気づき、ある人との出会いをきっかけに宇宙航空関連の技術・研究開発の仕事に就く夢を実現したという内容です。初めて見たときにとても感動して、生き方に影響を受けました。現在は社員研修で、全員に見てもらっています。
――本気で言っているから、心が動かされるんですね。
YouTuberさんは大勢いますが、テクニックだけを話している動画を見ても、表面的で薄っぺらい印象があり、「本気でそんなふうに思っているの?」と感じてしまいます。
その点、植松さんの動画は人生のストーリーをベースに話をしていますので、説得力が違います。私の『「常識人間」は成功しない』も、自分がなぜこう考えるに至ったのかというエピソードから話していますし、ほかにも自分の動画の多くにストーリーを入れています。そこが1つのポイントです。
――動画の最後に、視聴者が明日から使える「アクションプラン」を提示しています。これもいいですね。
そうですね。ただし、アクションプランだけでは視聴回数は上がらないと思います。なぜそのアクションプランに至るのか、やはり自分のストーリーを踏まえて伝えているから説得力を持たせられるのだと思います。
動画のネタを見つける3つの方法
――動画のネタ、テーマはどのように見つけてくるのですか。
ネタの見つけ方には3パターンあります。1つ目は、日常の中での気づきです。例えば、会議で新規事業のフィードバックをしているときに、ふと「今伝えたアドバイスを基に動画ができるな」と感じることがあります。
2つ目は書籍や動画です。本を読んだりYouTubeを見て気づきを得たときに、提示したいアクションプランが頭に浮かびます。
3つ目は会議です。社員が集まって、ポストイットに書き出したネタを出し合って決めます。これが一番多いですね。大体30案ほど出てきて、採用するのは2案くらいです。
――私は真子さんの動画を見て、「おまえ」とか「おまえのために言ってるんだ」という言葉遣いをやめ、食事にも気をつけるようになりました(笑)。真子さん自身は、視聴者にどのような態度変容を望みますか。
それは一貫して「常識人間を捨てる勇気を持つ」です。それをサポートするのがチャンネルの裏テーマです。表のテーマは「人生に役立つ話をわかりやすく、短く教える」ですが、私は常識人間を捨てる勇気を視聴者に与えることを目的として動画を制作しています。
「常識人間を捨てる」とは、他人の目、他人の価値観を気にしながら生きることや、誰かの決めた人生の正解を生きるのをやめるということです。
確かに話し方や食べ物に関するおすすめのノウハウを伝えてはいますが、正解はないと思いますし、絶対的な正義を語るつもりもありません。でも、自分が囚われていた常識や思い込みから抜け出そうと努力を積み重ねる過程で、人は成功体験を積んで自信が付いてきますし、人生が面白くなってくるものです。そうすれば、周囲の人たちにも良い影響を与え、自分も仲間もハッピーになれると信じています。
常識人間を捨てて行動するにあたっては、1つ1つのアクションの中で失敗して、他人に迷惑をかけることがあるかもしれません。それでも人間は、挑戦をあきらめず、失敗から学び、修正・改善してネクストアクションへとつなげていくことで、自分の殻を破り、大きく成長していきます。
ですから「自分が当たり前だと思っていたことをいかに壊し、捨てて、新たな挑戦へ向けて一歩を踏み出してもらえるか」。これが視聴者の態度変容として一番実現してほしいことです。そのための手段の一環として、話し方、マネジメント、食事の仕方、関わってはいけない人などいろいろなTipsを動画では伝えています。ただし、それはあくまでヒントであって、「共感したら実践してください」くらいの認識で大丈夫です。本質のテーマは「こうするのが当たり前」という固定観念や「人からこう思われるかもしれない」という自分で勝手に決めてしまっている呪縛からいかに解き放たれるかです。
『「常識人間」は成功しない』
YouTubeを始めて大きく成長した会社と自分
――真子さんが社長を務めるdivの社員数や売り上げがこの1年で非常に伸びているのをTwitterで拝見しました。これはまさにYouTubeのチャンネル登録者数の伸びと正比例していると思ったのですが、実際にYouTubeはビジネスに良い影響を与えましたか。
会社への影響という点でいうと、ビジネスにおいては月間数千万円単位の送客貢献をしています。採用への貢献もおそらく月間数百万円単位に上ると思います。
数字で表しにくい部分では、社員教育への貢献です。一般的に、会社員の中には「社長が何を考えているのかわからない」「この会社にはどういう価値観があり、何が正しいのかわからない」と考えている人が一定数存在するものです。そういう「社長、または会社が本当は何を考えているのかわからない」という状態が不信感につながっていくのだと思います。
例えば、身だしなみ1つをとっても、きちんとすべきなのかラフでいいのか、基準が示されていないと、社員にストレスが生じる原因になり得ます。なぜなら、きちんとした服装をしている人がラフな格好をしている人に対して「もっとちゃんとした格好をしたほうがいい」と注意しても、ラフな格好の人が「誰にも迷惑をかけてないんだから別にいいじゃないですか」と反発すれば、正解がわからないまま議論になってしまうからです。
それに対して、私が動画で「ビジネスパーソンの身だしなみはこうすべきだ」と示していれば、議論にはなりません。自分の会社では何が正解か、価値観を示しているからです。
そんなふうにビジネスパーソンの在り方に関するいろいろな動画を作成していると、マニュアルを作成したり研修を行ったりしなくても、会社で正解とされる考え方が自然と浸透していきます。そういう点での貢献も大きいですね。
――真子さん自身はYouTubeを始めて、何が一番大きく変わりましたか。
2つあります。1つは、頭が良くなりました。
――どういうことですか。
動画で話すために必要な6000文字から8000文字くらいの原稿を作成していると、何となく理解しているつもりだったことが実はわかっていなかったことに気づきます。理路整然と視聴者に説明するためには、情報の正確性を担保するためにしっかりと調べつつ、腹落ちするレベルで自分が理解することが重要です。それを週3回行っているうちに、頭が良くなったと感じるようになりました。
もう1つは、世の中のことに関する知識を得られました。どういう意味かというと、自分の所属しているコミュニティの外側に自分とは異なる価値観の人たちがたくさんいると初めて気づいたんです。
もともと私はコミュニティを広げないタイプですが、YouTubeには毎日100件単位でコメントが来ます。中にはTwitterなどから「感激しました。私はこういうことで悩んでいて…」と長文で悩み相談をしてくる人もいます。残念ながら個別には答えられないのですが、1つ1つ目を通していると、「世の中の人は会社でこんなことを感じているのか」「こんな上司がいるのか」「こんな不満や願望を抱いているのか」と、よくわかります。その点はとても勉強になりました。
同時に、今の状況を良くしたい、少しでも改善したいと考えているから私の動画を見てくれていると思いますので、そういう意味ではYouTubeには希望があるし、素晴らしいとあらためて感動しています。だから私がもっと頑張ることで、常識人間を捨てる勇気を持ち、人生が良くなる人が増えるのであれば、自分のやっていることは決して無駄ではないし、世の中に何かしら価値を生み出すことができるのではないかと思います。そういう学びを得ました。
YouTuberとしての成功へ向けた再現性のヒント
――これからYouTuberになりたいと考えている人も多いと思います。真子さんのように、企画会議をし、原稿作成に4~5時間、撮影に約1時間、編集作業にさらに数時間をかけて1本の動画を作成するのはなかなかハードルが高いと感じますが、再現性についてはどうお考えですか。
再現性があるかというと微妙で、かなり戦略を練るマーケタータイプの人か、天性のキャラクター、面白さ、感性を持っている人でなければ、うまくいかないだろうと思います。考えてみれば当然で、どの業界、どのジャンルにおいても、その道で上り詰めるのは簡単ではありませんし、憧れだけで何となくできるなら誰も苦労はしません。
ヒントがあるとすれば、「いかに凝縮させるか」です。人々のコンテンツ消費量は昔とは比較にならないほど増えていますし、YouTubeにも毎日大量の動画が上がっています。
「2時間続けて見るのがキツいから映画を見ない」という人がいるそうですが、私も暇なときでない限り映画を見ようとはなかなか思いません。アニメ番組の25分でさえ飛ばしながら見てしまいます。だから5分から10分、最小単位ではTikTokのような15秒から30秒の勝負になると思いますので、「短く、面白く」をいかに極められるかが重要です。
――真子さんのような本気のメッセージを凝縮された時間の中に込める、と。
そうですね。視聴者に「見てよかった」と感じてもらえる動画にするためには、1秒単位で無駄なく、面白くする必要があります。その努力ができないのであれば、無理せずにやめたほうがいいかもしれません。私はたまたまYouTubeが向いていましたが、向き不向きがありますし、他の手段もあると思います。やるのであれば、本気で取り組むことをお勧めします。
――本日はありがとうございました。
Profile
真子 就有(まこ・ゆきなり)
株式会社div代表取締役。
1989年生まれ。福岡市出身。青山学院大学理工学部卒。大学在学中からプログラミングを独学で学び、大学4年次に起業。Webサービスやアプリを自社でリリース。2014年よりプログラミング教育事業「TECH::CAMP」、2016年より未経験からプロのエンジニアになれる「TECH::EXPERT」をスタート。現在は日本最大規模のテクノロジースクールとなっている。2015年Forbes誌「注目のUnder30起業家10人」に選出。
株式会社div
https://di-v.co.jp/
マコなり社長のYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC7I3QTra4_kC4TSu8f7rHkA/featured
マコなり社長のTwitter
https://twitter.com/mako_yukinari
[記事執筆者] 早川巧
株式会社CINC社員編集者。新聞記者→雑誌編集者→Marketing Editor & Writerとして30年のキャリアあり。Twitter:@hayakawaMN
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