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いろいろ話題の「バーチャルYouTuber」、企業・自治体の活用例やスタート方法を10分で把握!

「バーチャルYouTuber」の企業採用が増えてきた。自社でもやってみたい? では方法をお教えします

バーチャルYouTuberとは、CGやモーションキャプチャなどの技術を利用して作られた架空のキャラクター群のことです。バーチャルYouTuberの活動は、当初は文字通り動画投稿サイト内にとどまっていましたが、テレビに出演したり、企業広報として活用されたりするようにもなり、注目を集めています。

この記事では、バーチャルYouTuberの基礎知識と企業による活用事例、バーチャルYouTuberを始める際に必要なツールについて解説いたします。

バーチャルYouTuberとは?

大手企業や地方自治体も広報活動などに活用しており、バーチャルYouTuberの注目度が高まっています。バーチャルYouTuberとは、どのような存在なのでしょうか。

最新技術を利用した新時代のタレント

バーチャルYouTuberに厳密な定義はありません。主にYouTubeなどの動画サイトで人間と同じように配信活動を行う、バーチャルキャラクター(アバター)のことです。その多くがモーションキャプチャやリップシンクといった技術で動かされています。

▲イメージ

バーチャルYouTuberが注目を集め始めたのは2017年の冬ごろのことで、その人数は2018年9月に5000人を突破しています(ユーザーローカル調べ)。バーチャルYouTuberという呼び名は、2016年12月に「キズナアイ」が投稿を始めた際に自称したのが最初と言われており、「VTuber」と略した呼称も広まっています。また、名称にYouTuberと付いているものの、活躍の場はYouTubeに限らず、ニコニコ動画やSNSなどで活動しているキャラクターもいます。

使用している機材の能力や精度によっても差はありますが、バーチャルYouTuberはモーションキャプチャという技術によって人間に近いリアルな動きができます。そのため、YouTuberと同じように「歌ってみた」(既存の楽曲やオリジナルソングを歌うこと)や「ゲーム実況動画」「生放送で視聴者とやりとり」といった内容を配信することが可能です。そのほか、企業とコラボレーションして広告動画を配信したり、企業のイメージキャラクターとしてデビューしたりするなど、バーチャルYouTuberがビジネスに活用される動きも拡大しています。

株式会社CA Young Labが発表したデータによると、国内におけるYouTuber市場の2017年の市場規模は219億円です。同データで2022年の市場規模は579億円と試算されており、今後も拡大が見込まれています。また、2018年4月にはグリー株式会社がバーチャルYouTuber市場へ参入し、今後1~2年で100億円規模の投資を予定していることを発表。バーチャルYouTuber市場は、これから急成長する市場としても注目されています。

※データ提供:ユーザーローカル
※データ出典:「CA Young Lab、2017年国内YouTuber市場調査を実施」株式会社CA Young Lab

実際にモーションキャプチャを体験!

バーチャルYouTuberを動かす際に使われるモーションキャプチャは、一般的にはあまりなじみのない技術かもしれません。そこで、特殊な機材なしでも、モーションキャプチャを体験できるWebアプリをご紹介します。

FaceVTuber

FaceVTuberはスマートフォン、またはインカメラかWebカメラの付いたPCがあれば、ブラウザ上で動作可能なWebアプリです。顔の向きだけでなく、目や口の開閉も感知します。

操作の手順

  1. 「Start」をクリックする。
  2.  カメラの使用許可を求めるポップアップが表示されるので、許可する。
  3. 「Set」を押すと、モーショントラッキングが始まる。

    ▲ツールには録音・録画機能もあり、自作の3Dモデルを用意すれば動画配信に使用することもできます。トラッキングするのは顔のみですが、キャラクターの腕はマウスで動かすことが可能です。

企業・自治体のバーチャルYouTuber活用事例

バーチャルYouTuberの中には、企業の宣伝に活用されたり、公式バーチャルYouTuberとしてデビューしたりしているキャラクターもいます。今回は、その一部をご紹介します。

株式会社ウェザーニューズ:WEATHEROID Type A Airi(ウェザーロイド・タイプ エー・アイリ)


※画像提供:株式会社ウェザーニューズ

ウェザーロイドAiriは株式会社ウェザーニューズ所属のお天気お姉さんとして2012年から番組に出演。人工知能による言語処理機能を搭載し、GoogleアシスタントやLINE Clovaなどのスマートスピーカー、メッセンジャーアプリでも展開している、最古にして新人のバーチャルYouTuberです。2018年5月にAiri公式チャンネルを開設し、お天気雑学やほかのバーチャルYouTuberとのコラボレーション動画などを配信しています。


※画像提供:株式会社ウェザーニューズ

今回バーチャルYouTuberとしてデビューするにあたり、名称にカッコ書きで「ポン子」と記載されています。「ポン子」は彼女の言動からファンが非公式的に呼んでいた愛称で、長年キャラクターを慕ってくれているファンに対し、計らいの意味を込めて記載されているようにも感じられます。


※画像提供:株式会社ウェザーニューズ

ウェザーロイド Airi(ポン子)公式チャンネル

中京テレビ放送株式会社:大蔦エル(おおつたえる)

大蔦エルは株式会社アイデアクラウドと中京テレビ放送株式会社が共同プロデュースしたバーチャルYouTuberです。2026年に愛知県名古屋市で開催される「第20回アジア競技大会eスポーツ」の、公式アナウンサーになることを目指しています。テレビ局に所属するバーチャルYouTuberは大蔦エルが初めてで、地上波放送で出演者達と共演したり、先輩アナウンサーによる新人研修風景やゲームの実況動画を配信したりしています。

※画像提供:XRエンターテインメント

ツタエルちゃんねる / tsuta-l channel

茨城県:茨ひより(いばらひより)

茨城県はYouTube公式チャンネル「いばキラTV」で、バーチャルYouTuberの茨ひよりをアナウンサーとして起用しています。地方自治体としては、初の試みです。難読地名クイズや名産品ニュースなどをニュース形式で配信し、茨城県のPRに貢献しています。

※画像提供:茨城県

いばキラTV
いばキラTV YouTube公式チャンネル

バーチャルYouTuberで動画配信を始めるために必要なもの

バーチャルYouTuberを始めるためには、動作可能なキャラクターモデル、モーションキャプチャ用ソフト、Webカメラ、動作範囲やソフトに応じた機材などが必要です。

3Dモデルを作る

3DモデルはBlenderなどの3DCGソフトで作成することができます。しかし、通常の3DCGソフトで人型モデルを作成するためには多くの知識や技術が必要です。今回は、知識や技術があまりなくても簡単に作成が可能なツールをご紹介します。

VRoid Studio

ピクシブ株式会社が提供している、人型モデル専用の3Dモデリングソフトです。ソフトの利用は無料で、作成したキャラクターを商用利用することもできます。3Dモデリングの知識は一切必要なく、ペンタブでイラストを描くのと同じような感覚でほとんどのパーツを編集可能です。3Dモデリングで難しいとされている髪の毛の編集も簡単で、ペンタブの動きに沿って毛束の3Dオブジェクトが描かれ、毛束の太さや毛先の向きなどはパラメーターで調整します。作成したキャラクターはVRM(人型の3Dキャラクター用データのファイルフォーマット)対応のプラットフォームであれば、アバターとして使えます。

現在ベースモデルは女性のみですが、男性ベースモデルについても開発中であることがアナウンスされています。

Live2D Cubism

株式会社Live2Dが開発したソフトで、2Dイラストに立体的な動きを付けることができます。イラストを動かすためには、動かしたいパーツに分けた画像データを用意し、ポリゴンを割り当てて制作します。現行の最新バージョン「Live2D Cubism 3」のFREE版は、年間売上1000万円未満の一般ユーザーもしくは事業者であれば、商用利用も可能です。

※画像出典:Live2D Cubism

3Dモデルを動かす

FaceRig

FaceRigはルーマニアのHolotech Studios SRL社が販売しているソフトです。PCのスペックがそれほど高くなくても、Webカメラを利用してモーションキャプチャを行い、3Dアバターに反映することができます。手指のトラッキングが可能なLeap Motionなどの外部ツールと連動させれば、手や指も動かすことが可能です。また、Live2Dで作成したアバターをインポートし、動作させることもできます。ただし、デフォルトで同梱されている3D モデル以外を動かすのは難しいようです。

コンテンツを掲載したチャンネルからの広告収入や活動資金の寄付が1カ月に500ドル未満であれば、1480円のFaceRigClassicを利用できます。1カ月に500ドル以上発生している場合は、FaceRig Pro DLCやFaceRig Studioなどにアップグレードすることで商用利用も可能です。Live2Dとのセットライセンスも存在し、事業規模や使用用途によって価格は異なるものの、永続ライセンスとして販売されています。

※画像出典:FaceRig

FaceRig STEAM

ライブ配信を行う

Virtual Cast

Virtual Castは株式会社バーチャルキャストが運営・提供するVRライブ・コミュニケーションサービスで、利用規約の範囲内であれば無料で商用利用ができます。HTC VIVE、Oculus Rift + Oculus Touch、Windows Mixed RealityなどのVR端末に対応し、ヘッドセットと付属の両手のコントローラーでキャラクターを動かします。表情についてはコントローラーで操作し、リップシンクには対応していません。

Virtual Castの大きな特徴は、バーチャルキャラクターになれば、公開中のスタジオに乱入できる点です。また、VR端末を持っていない視聴者も同じ仮想空間内に招待し、生放送にコメントで参加してもらえます。

推奨機材としてVR端末とPCが併せて20万円程度で販売されていますが、メモリやグラフィックボードなどを増設するか、買い替えれば少し古いPCでも動作するでしょう。ただし、場合によっては、CPUや電源などの買い替えも必要です。

(C)DWANGO Co., Ltd. / infiniteloop, Co., Ltd. All rights reserved.

今後も拡大が予想されるバーチャルYouTuber

バーチャルYouTuberの人数は2017年末から増え続けており、これからも拡大が予想されています。思い通りのイメージを反映してデザインできるため、公式キャラクターとしてバーチャルYouTuberを起用し、積極的に動画配信を行う企業も出てきています。3Dモデリングやモーショントラッキングの簡易化、VR端末の普及、Virtual Castやcluster.などの仮想空間での相互コミュニケーションを可能とするサービスの増加によって、バーチャルYouTuber市場は今後もさらなる盛り上がりが期待できるでしょう。

「Marketing Native」掲載のオリジナル版はこちら話題のバーチャルYouTuberとは?企業の活用事例と始め方 | Marketing Native(マーケティング ネイティブ)

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