マーケティングオートメーション(MA)とは? 選び方を解説
マーケティングオートメーション(MA)は、日本でもその言葉が広く知られるようになり、企業でも導入が進んでいる。一方で、MAを導入したもののうまく使いこなせないといった声をよく聞く。今回は、MA導入前に最低限押さえておきたいポイントや正しいツールの選び方、活用事例などを加えて解説する。
マーケティングオートメーションとは?
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動全般を支援するツールのことで、具体的にはこれら4つのプロセスを支援する仕組みだ。
- 見込み客のデータを集める(リードジェネレーション)
- 集めたデータを整理する(データマネジメント)
- 見込み客を潜在客に育てる(リードナーチャリング)
- 成約確度の高い客に絞り込む(リードクオリフィケーション)
4つのプロセスを経た見込み客のデータは、営業部門に引き渡される。
営業現場でよく使われるSFA(営業支援システム)が、営業のプロセスや進捗状況を管理して営業活動を効率化するためのシステムであるように、MAはマーケティングのプロセスを管理して効率化するものだ。
企業におけるマーケティング活動の目的の1つは、見込み客に対して商品の認知を高め、訴求をすることで、商談につなげて、最終的に購買や利用につなげることだが、MAはその活動を支援する。
マーケティングオートメーション選定のポイント
そのため、BtoB 企業がMAの導入選定を行うときのポイントとしては、
- MAに入れる見込み客のデータがあるのか
- データを名寄せして整理できるのか
- 見込み客を育てるためのコンテンツはあるのか
- 営業部門と足並みがそろった確度の高い見込み客の定義はあるのか
- 確度の高い見込み客に営業・電話をしていく組織があるのか
といったことが重要であり、「商談を生み出す仕組み」そのものが企業のなかになければ、MAを導入しても使いこなせない。
「マーケティングオートメーション」という名前のとおり、MAはマーケティングを自動化(オートメーション)するツールではある。しかし、ツールを導入したら、確度の高い見込み客(ホットリード)が自動的に創出されるわけではない。
上記①~④のプロセスを自動化するための仕組みが「マーケティングオートメーション」であることは導入前に確認しておきたいポイントだ。
導入してもうまくいかないパターン
リードが無い問題
見込み客のデータを集めるためのマーケティング活動、たとえば「展示会への出展」「セミナー開催」「ホワイトペーパー資料作成」などをMA導入とともに行う必要があるし、そもそもこういったマーケティング活動をしておらずリードがほぼゼロに等しい、という場合はMA導入する前にまず見込み客のデータを集めるマーケティング活動に注力すべきである。
コンテンツが無い問題
見込み客データはExcelや他のツールで管理できないほど大量にあるという場合でも、そもそも見込み客に育てるためのコンテンツが無い、コンテンツの作り手がいない、ということも大いにある。
逆に、Webサイトには大量の情報がありコンテンツはあるから心配ない、という場合でも油断してはならない。Webサイトに情報があると言っても、それが確度の高い見込み客に育成するためのコンテンツでなければ、一向に育たない。
たとえば、カタログに載っている製品情報をただWebに掲載しただけでは、とても見込み客の育成には使えない。そもそもそういった製品情報を見に来ている客は、既存客の可能性が高い。そういった客にメルマガを送り続けても永遠に商談化することはない。むしろ逆効果の場合もある。購入してもらうためのコンテンツが無ければ、いつまでたってもMAの本当の成果は得られないだろう。
営業とマーケその他部署が連携が取れてない問題
さらに、上述の①~④の仕組みがすでにあったとしても、MAがうまく活用されない理由に、企業の組織体制も大きく影響している。MAを導入して活用していくのは、もちろんマーケティング部門だが、見込み客を絞り込んだら営業部門に引き渡すことになる。つまりマーケティングオートメーションは営業部門との連携なくして、MA活用の成功は難しいだろう。
自社に合ったMAを選ぶためには
MAツールを選定する段階になると、よく機能表だけでツールを比較することがある。MAに限った話ではないが、ツール導入の鉄則は、まず「何をしたいのか」という目的を明確にすることが重要だ。
「海外展開しており最終的にはグローバルでの導入を目指している企業」と「支店もなく単一企業のみで導入する場合」では、選ぶツールも基準も異なるのが当たり前のように、MAツールを比較して高機能なツールを導入するといった選び方ではなく、「MAを導入してどんなことをしたいのか」のマーケティングにおける戦略を定めてからツール選定をしていく。
MAには、膨大なデータの分析や集計を自動化して、販促や顧客育成を最適化するといった数多くの機能があるが、それらを目的や用途ごとに個別に切り出して単機能ツールとして、提供されているものもある。
高機能なツールではなくシンプルな機能で事足りることも十分にあり得るし、ROI(費用対効果)の側面から見れば適正な金額感も見えてくる。「自社ではどんなマーケティングをしたいのか」の目的をもって、ツール選定することをお勧めする。
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