コンバージョンの約5割をLINE広告が占める! 日本初“削る”ファンデがLINE広告で成果を上げた6個のTips
コスメやサプリメント、オーラルケアなどの商品開発・販売を行うフロムココロが2021年に販売した“削る”ニードルファンデ「NNE グラインディングファンデーション」(以下、NNEファンデ)。「LINE広告」を活用してブランディング重視のプロモーションを実施し、CPA(顧客獲得単価)を抑えながらも新たなユーザーの獲得に成功している。
本記事では、日本国内の月間利用者数9,200万人(2022年3月末時点)ものLINEユーザーに広告配信ができる「LINE広告」をどのように活用して成果を挙げたのか、フロムココロが実施した施策のポイントと、LINE広告の配信効果を高めるためのTipsを紹介する。
“ブランドイメージ重視”にプロモーションの舵を切る
フロムココロは、これまでもデジタル広告の運用をはじめとしたオンラインマーケティングに積極的に取り組んでいたが、2021年8月に発売した「NNEファンデ」については、これまでと大きくプロモーションの方針を変えたという。
NNEファンデのブランドマネージャーを務めるフロムココロの西嶋茂幸氏(以下、西嶋氏)によると、一般的に、オンラインマーケティングと相性が良いとされているコスメの多くは、見た目や使用感をアピールしつつも、「初回980円」や「初回50%オフ」など、安価さや割引率を訴求することが多い。多くのユーザーの目に留まりやすく、購買行動に期待できるためだ。
その一方で、安価さや割引率を重視した訴求では、安価さを求めるユーザーにアピールできても、商品の本質を理解して買い求めるコアなユーザーには届きにくく、継続購入につながりにくいという課題があった。
金額だけで選ばれる売り方にはいつか限界がきます。そこから抜け出したいという課題感は常にありました。そこでNNEファンデのプロモーションでは、広告運用においてもただ新規獲得を目的にするのではなく、ユーザーにしっかりと商品のメリットや機能を理解していただくこと、ブランドイメージを大事にすることを意識しました(西嶋氏)
価格訴求に頼らず、約9カ月で4回の“売り切れ”を達成
NNEファンデは、使うたびにファンデーションとコンシーラーを本体から削り出して混ぜ合わせる“ニードルファンデーション”と呼ばれる製品だ。高いカバー力とスキンケア力を備えつつも厚塗りに見えないという特長から、30~40代の女性を中心に支持を集めている。
西嶋氏は、同商品の定価が7,980円(税込)とコスメの中ではやや高額なため、「使用イメージだけでなく、機能や性能についてもしっかりと伝えることがブランディングにとって重要だと考えていた」と話す。
そこでフロムココロは、“ターゲティングとブランディング”を強く意識しながら、コアターゲットとなる30~40代の女性を中心に、商品特性を訴求するプロモーションを実施した。その結果、発売から約9カ月の間に4回も売り切れるほどの人気を得ることに成功したという。
LINE広告の“審査の厳しさ”が、ブランディングにプラスの効果
それでは、具体的にどのような施策を展開してきたのだろうか。
まず販売開始前に、Instagramを通じて美容関係のインフルエンサーを活用したマーケティングを実施。商品の体験や座談会の実施によって、使用感や効果などをインフルエンサーに語ってもらい、テスト販売を行なった。その購入者の属性や反応などの分析から、コアとなるターゲット層のペルソナを作成。発売と同時にLINE広告やFacebook(Instagram)広告、ニュース系アプリ、リスティングなど各種広告のターゲティングに反映させた。
デジタル広告の中でも力を入れたのが「LINE広告」だ。その理由について西嶋氏は、「圧倒的なリーチ力」に加え、「ブランドイメージを損ねない広告品質」を挙げた。
9,200万人ものLINEユーザーにリーチできる魅力は言うまでもありませんが、実はLINE広告の“広告審査が厳しい”ことが、ブランディングにとってプラスに働きました。審査が厳しいと、広告主側は大変かもしれません。しかし、それは裏を返すと、“炎上の恐れがある広告”や“怪しい広告”に並んで当社の広告が出る恐れが少ないということです。ブランドイメージを重視したい当社にとって、審査を厳格に行うLINE広告はとてもありがたい媒体でした(西嶋氏)
さらにもう一つ、西嶋氏が実感しているのが、広告配信機能の充実度と精度の高さだ。年齢・性別・興味関心などのセグメントを絞って配信できる「オーディエンスセグメント配信」や、自社が保有する顧客データなどを活用した「類似配信」をはじめ、様々な配信機能が用意されているため、堅実な運用によって成果が出ることを実感しているという。
NNEファンデがLINE広告で成果を挙げた6つのTips
ここからは、NNEファンデのプロモーションを成功させたLINE広告の配信設定および配信効果を高めるコツについて、西嶋氏に加え、デジタル広告の運用を担当する広告代理店Hide&Seekの若松知里氏(以下、若松氏)にも話を聞き、Tipsとして紹介してもらった。
Tips ① まずは「オーディエンスセグメント配信」を活用してコンバージョンデータを蓄積しよう
新商品の場合、実際にどんなユーザーに購買されるのかは、販売してみないとなかなか分からないもの。NNEファンデでは、まず、予約販売時のデータから40代女性中心というペルソナを作成し、LINE広告の「オーディエンスセグメント配信(※1)」を行った。
(※1)これらのオーディエンスデータはLINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類した「みなし属性」および、実購買の発生した購買場所を「購買経験」として個人を特定しない形で参考としているもの(「みなし属性」には携帯キャリア・OSは含まない)。「みなし属性」とは、LINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴、 LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類したもの(分類の元となる情報に電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク内容等の機微情報は含まれない)。なお、属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っていない。また、特定の個人を識別可能な情報の第三者(広告主等)の提供は実施していない。
NNEファンデは予約販売時のデータを基にペルソナを作成してターゲティングに生かしましたが、そうしたデータがなければ、想像でペルソナを設定する必要があります。その場合は類似商品からターゲットとなるユーザーを推測したり、商品開発時に想定したターゲット像を活用すると良いでしょう。その上で、配信効果が期待できるユーザー属性を探っていきます。LINE広告はリーチできるLINEユーザーが多いため、同じセグメントで継続的に配信しても、配信ユーザーが豊富にいることが嬉しいですね(若松氏)
Tips ② 「類似配信」を活用しよう
LINE広告を運用してコンバージョンデータが蓄積してきたら、「類似配信」を活用しよう。「類似配信」は、ソースとなるオーディエンス(コンバージョンオーディエンスやアップロードした顧客情報)に類似したユーザーをLINE内で新たに探し、オーディエンスを拡張して配信する機能だ。
配信できるオーディエンスサイズ(LINEユーザーの数)は1~15%、もしくは自動で設定ができる。手動で設定する場合は1%からはじめて、3%、5%と少しずつオーディエンスサイズを広げていくのがオススメだ。
フロムココロが類似配信を行う際に活用しているソースオーディエンスが以下の2つだ。
①の電話番号を用いた類似配信は、すでに手元にある顧客データを活用できるため、配信初期から実施が可能だ。
一方で、②のコンバージョンオーディエンスは、運用が進むとコンバージョンデータが蓄積されていくため、新しいコンバージョンが得られるたびに配信精度が高まっていく。よりコンバージョンする確度の高いユーザーにリーチができるため、ぜひ活用してみよう。
広告運用を開始してからしばらく、当社は①の電話番号アップロードを用いた類似配信を積極的に活用していました。オーディエンスセグメント配信と電話番号を用いた類似配信で成果が上がってきたところで、LINE広告のサポート担当から『コンバージョンオーディエンスを活用した類似配信も試してください』とアドバイスを受けたんです。そこでチャレンジしてみたところ、期待以上の成果が出ました。
個人的な感想ですが、コンバージョンデータを基にした類似配信は、電話番号を用いた類似配信よりも、より“LINE広告でコンバージョンしやすい”ユーザーに広告を届けられる印象があります。既存顧客の電話番号データは、どの媒体経由で購入していただいたのか分からないデータも混じっていますが、コンバージョンデータはLINE広告からコンバージョンしたデータだけを基に類似配信ができるため、精度が高いのではないかと考えています(若松氏)
Tips ③ CPAを抑制しつつ、広告配信に最適なユーザーを見つける
運用型広告の活用では、「CPAはできるだけ抑制しつつ、多くのユーザーにリーチしたい」というニーズをよく耳にする。若松氏は「それぞれのニーズを意識した施策を並行して実施すれば、配信効果の持続性につながる」と語る。
そこで、LINE広告の管理画面で複数のキャンペーンを作成しよう。一つは配信効果の高いユーザーに絞って配信することで「CPAの抑制」を狙い、もう片方はセグメントをあまり狭めずに広く配信することで、「反応の良いユーザー属性を探す」というように、複数キャンペーンを並行した上での広告配信をオススメしたい。反応の良いユーザー属性が見つかったら、次の注力ターゲットとして活用しよう。
Tips ④ 「オーディエンス配信」はグループを分けて“手動で”単価調整
フロムココロでは、NNEファンデのWebサイトを訪問したことのあるユーザーに広告を配信する「オーディエンス配信」も実施している。
その際は広告グループを、サイト訪問日から「1~7日後」「8~14日後」「15~21日後」の3つに分け、かつ課金方法で “手動入札”を選択しているという。なぜ自動入札を利用しないのだろうか?
最初はオーディエンス配信でも自動入札を活用していたのですが、あまり配信ボリュームが出ずに苦戦していました。そこでLINE広告のサポート担当から、『オーディエンス配信で配信ボリュームを出したい場合は、手動入札を行った方が良い』とアドバイスをいただいたんです。そこで、手動で入札単価を調整するようにしたところ、自動入札を行っていたときに比べて配信ボリュームを増やすことができました。
その理由として、オーディエンス配信で自動入札を行うと、CPAの抑制を追い求める最適化がかかり、配信ボリュームが狭まってしまうことがあると聞きました。オーディエンス配信はもともと商品に興味を持ってくれているユーザーに広告を届けられるため、コストパフォーマンスに優れています。手動で入札単価を調整することで、さほど単価を高騰させずに、広く配信できました(若松氏)
若松氏は入札単価200円を基本として、本施策での予算や獲得単価と照らし合わせながら調整している。最も購買意欲が高いと考えられるサイト訪問日から1~7日のユーザーには入札単価を高めに設定し、8~14日では少し単価を下げ、15~21日ではさらに下げるといった設定を行っているという。
Tips ⑤ 遷移先のLPは記事風に、商品のネガティブなポイントも正直に伝える
一般的に、広告から直接商品の公式サイトに誘導するよりも、商品について解説するランディングページ(LP)に遷移させた方が、商品理解が深まり、コンバージョン率が上がると言われる。その際、LPと商品サイトにはそれぞれ異なる役割を持たせるのが望ましい。
フロムココロでは、商品サイトは商品の信頼性やブランディングの醸成を目的としたスマートなつくりにしている。一方、広告から遷移するLPは記事風にし、商品のアピールポイントを訴求しながら、ユーザーに寄り添ったリアルな使用感をネガティブな点も含めて紹介している。
商品の公式サイトには、マイナスになることはどうしても書きにくいですよね。しかし、LPではあえてユーザーの使用実感や商品に対して寄せられた意見を正直に紹介しています。ユーザーは“完璧な商品”を求めているのではなく、“自分に合っている商品”を求めています。ネガティブな表現も含めて、ユーザーの評価やコメントは商品を表す重要なコンテンツです。ユーザーに納得してもらい、「自分に合っている」と感じて選んでもらうほうが、リピーターになってもらえると考えています(西嶋氏)
Tips ⑥ クリエイティブはさまざまなパターンでテストを繰り返し、“響く”クリエイティブを模索する
ブランドイメージを重視したいNNEファンデでは、綺麗に撮影した商品写真を広告の画像に使用することが多い。さらにユーザーの興味を引くための工夫として、以下のようなキャッチーなテキストを組み合わせてクリックを促すようにしている。
タイトル
- 「予約待ちしてでも買いたい」針ファンデ
- 4度完売の殿堂入り針ファンデが優秀すぎ♡
ディスクリプション(広告の説明テキスト)(※2)
- 「高カバーなのに素肌感すごい」シミ・毛穴・くすみをカバーしながら美肌ケア。話題の引き上げファンデで毎日のメイク時間を味方に。
(※2)配信面によっては、ディスクリプションが表示されないこともあります
クリエイティブは、画像とテキストを合わせて、いかにユーザーに“響く”ものを見つけ出せるかがカギになります。そして、響くクリエイティブを見つけるには、ひたすらテストを繰り返すことが重要です。
LINE広告の運用開始当初は、毎日20パターンほどのクリエイティブを作成して検証していました。20パターンと聞くと驚かれるかもしれませんが、画像4パターンに、テキスト5パターンなどの組み合わせでもかなりの数になります。文字の色を変えたり、一つの画像に対してテキスの入れ方を変えてみるだけでも配信効果は変わります。
こまめにクリエイティブの効果を検証して、反応の良いものは残し、悪いものは入れ替えていくことで、配信効果の高いクリエイティブを見つけることができます。どんなにコンバージョン率が高いクリエイティブも、時間とともに効果が落ちてしまうため、常にテストを繰り返しながら刷新し続けることが大切ですね(若松氏)
地道な運用改善で高い効果を上げられるLINE広告
フロムココロの取り組みから紹介したTipsは、LINE広告の運用時に参考にしやすい内容だ。こうした地道な改善を堅実に続けた結果、フロムココロはLINE広告で高い配信成果を獲得した。
他社の運用型広告と比べ、LINE広告ではCPAを10~15%ほど抑制できています。また、広告経由の購入の約5割をLINE広告が占めています。LINE広告は新規ユーザーを獲得できる効果が良い媒体だと思います(若松氏)
最後に西嶋氏は、「LINEは自分にとってもすごく身近なコミュニケーションアプリです。その中で配信される広告も、ユーザーにとっては重要な情報・コンテンツであることは間違いありません。だからこそ、より良い広告を配信することがユーザーにとってもLINEというプラットフォームにとっても大切だと感じています。そうした質の高いコンテンツでLINEが埋まるようになれば、いちLINEユーザーとして僕も嬉しいです」と笑顔を見せた。
Web担当者ForumでもLINE広告の運用Tipsを紹介しているため、ぜひ参考にしてほしい。
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