YouTubeの国内月間ユーザー数は2023年5月時点で7,120万人を突破し、幅広い年代で利用されています。
最近では長尺動画だけでなく短尺動画(YouTube ショート)の視聴も拡大していることや、インターネットに接続した「コネクテッドTV」の普及に伴い、YouTubeをテレビ画面に映して視聴する人も増えていることから、YouTubeは人々の日常になくてはならない存在になりつつあります。
その流れを受けてYouTubeチャンネルを開設・運用する企業も増えてきました。ここではYouTubeの特徴と企業チャンネルの作成方法、企業活用事例などについて紹介します。
YouTubeとは
YouTubeとは、インターネット上の動画共有プラットフォームです。アップロードされた動画を見るだけではなく、自分で動画を制作してアップロードすることもできます。2023年5月時点で日本のYouTube月間利用者数は7,120万人を超え 、その存在は「人々の日常に欠かせないもの」になりつつあります。
YouTubeの利用者層と利用動向
YouTubeの動画視聴というと若年層が中心と考えられがちですが、ユーザー数のうち 2,680 万人以上が 45 歳から 64 歳のユーザーと、若年層に限らず幅広い世代で利用が進んでいると発表されています。
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングとテレビ視聴の注視データを取得するREVISIOが実施した『コネクテッドTV白書2024』によると、インターネットに接続した「コネクテッドTV」の普及に伴い、コネクテッドTV視聴世帯におけるYouTubeの平均視聴時間は地上波も合わせたランキングで2位にランクイン。SNS、動画配信サイトという枠組みからテレビと同等のものに変化していることがわかります。
参考:https://www.cross-m.co.jp/news/release/20240411_pr1/
また、かつては長尺動画が主流でしたが、2021年に国内でのYouTube ショートが提供されてから、短尺動画や縦長動画の視聴も増加しました。Z世代(18〜24歳)のうち、70%がYouTubeショートを利用していると回答しており、特に若年層での利用が進んでいることがわかります。
参考:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2023-2/
YouTubeを企業が活用する意義
動画SNSであるYouTubeには他のSNSにはないメリットが あります。
・動画中心のコンテンツ配信
YouTubeはもともと動画共有プラットフォームとして利用が拡大し、長尺コンテンツの視聴があたりまえです。そのため、 他のSNSでは飛ばし見されてしまうような長尺の動画も視聴してもらえるのが特長です。例えば商品の使い方や使用メリットなど、短い時間では伝えきれない情報をより深く、わかりやすく伝えることができます。
・YouTubeの利用拡大
総務省が毎年発表している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 」によると、X(Twitter)、Facebook、Instagramなども利用率は増加傾向にあるものの、年齢層によって偏りがあるのに対して、YouTubeは年齢、性別問わず幅広い層が利用しているメディア です。また、その数も年々増加傾向にあります。
利用者の増加に伴い、チャンネル数や共有されるコンテンツも増えています。2021年時点で10万人以上の登録者数がいるYouTubeチャンネルは日本に4,500以上あります。YouTubeにはさまざまなジャンルのチャンネルがあり、視聴するタイミングやコンテンツの選択肢が多い事がYouTubeの特長でもあります。
・SEO(検索エンジン最適化)に強い
Googleなどの検索エンジンを使っていると、YouTubeの動画が検索結果に表示されることがありませんか?
検索結果が表示される際、動画コンテンツはユーザーにとって有益な情報と判断される傾向が高く、YouTube動画もGoogleの検索結果の上位に出てくることがあります。 詳細なアルゴリズムについては公開されていませんが、YouTubeで上位に表示される動画コンテンツは、Googleの検索結果でも上位表示されやすくなります。
コンテンツの充実や、視聴スタイルの変化などにより、人々の生活の中で定着しつつあるYouTube。媒体特性を踏まえて、ユーザーとのつながりを深めていくために企業のYouTube活用が増えてきました。
「とりあえずYouTubeを始めよう」と始めるには制作ハードルが高いため、目的を明確にしておく必要があるでしょう。YouTubeでの企業チャンネルの運用や広告配信をお考えの方、また他のSNS媒体と組み合わせたマーケティング施策をお考えの方は、お気軽にお問合せください。
YouTubeチャンネル開設の準備
YouTubeチャンネルを開設するためには、まずはGoogleアカウントの作成が必要です。YouTubeチャンネルはGoogleアカウントと密接に結びついているため、企業公式チャンネルとして運営する場合は、Googleアカウントも企業で利用することを前提として個人アカウントではなく、ビジネス用のアカウントで作成することをおすすめします。
Googleアカウントの作成ができたら、まずはYouTubeチャンネル開設に必要なものを準備しましょう。
① 写真(プロフィール写真)
YouTubeのアイコン画像です。チャンネルが表示される場面で動画やコメントの横に表示されます。
画像サイズは98×98ピクセルで表示される正方形または円形の画像(4MB以下)となっており、800×800ピクセルが推奨されています。
参考:https://support.google.com/youtube/answer/2972003
② バナー画像
チャンネル上部全体に表示される画像です。
アスペクト比が 16:9 で 2048 × 1152 ピクセル以上の画像(6MB以下)が推奨されています。
テキストやロゴの最小サイズにおける安全領域は1235 × 338 ピクセルとなっており、この範囲外にある画像は、一部のビューやデバイスではカットされて表示されることがあります。
③ チャンネル名
企業チャンネルとして運営する場合は、企業名やブランド名など、企業公式チャンネルであることがわかるものにしましょう。
④ 説明(チャンネルの説明)
チャンネルについての説明欄です。説明はチャンネルの[概要]セクションや検索結果などの場所に表示されるため、企業のサービス・商品、発信するコンテンツの内容など、チャンネルの詳細がわかる文章にしましょう。
⑤ リンク
企業ページや商品購入サイトなどのURLを入れることができます。
⑥ 連絡先情報
問合せ先としてメールアドレスを入れることができます。入力したメールアドレスは、チャンネルの[概要]セクションに表示され、ユーザーが閲覧可能です。
企業のYouTubeチャンネル作成方法
1.チャンネルの作成
事前に登録したGoogleアカウントでログインしYouTubeにアクセスすると、既にYouTubeにログインされた状態になっています。右上のアイコンをタップ、「チャンネルを作成」をクリックすると作成できます。
基本的には個人でチャンネルを作成する場合も企業チャンネルを作成する場合も、作成の手順は同じです。
「チャンネルを作成」をクリックすると「名前」:アカウント名と、「画像」:YouTubeアカウントのアイコン画像を入力する画面が立ち上がります。ここに準備していた①画像と③チャンネル名を入力し、「チャンネルを作成」をクリックします。
2.チャンネルの整備
チャンネルの作成ができたら「チャンネルのカスタマイズ」>「ブランディング」「基本情報」から、事前に準備した情報を入力し、ページを整えていきましょう。
①プロフィール画像
プロフィール画像サイズは98×98ピクセルで表示される正方形または円形の画像(4MB以下)となっており、800×800ピクセルが推奨されています。
YouTubeのバナー画像サイズは、2048×1152ピクセル以上、6MB以下のものを使用しましょう。
参考:https://support.google.com/youtube/answer/2972003
②説明
作成するチャンネルについての概要を入れましょう。企業のサービス・商品、発信するコンテンツの内容など、チャンネルの詳細がわかる内容を入力することをおすすめします。
③リンク
企業ページや商品購入サイトなどのURLを入れましょう。
④ 連絡先情報
問合せ先としてメールアドレスを入れることができます。企業のお客さま窓口の問合せ先などを入れましょう。
3.動画のアップロード
メニューリストの「コンテンツ」をクリックし、右上の「作成」から「動画をアップロード」をクリック。動画をアップロードします。
動画の「タイトル」と、「視聴者」情報のチェックは必須項目となっています。
その他の項目は任意ですが、ユーザーに効果的に情報を届けるため、動画の説明やサムネイルの設定なども行いましょう。
YouTubeアップロード画面の「視聴者」とは
「視聴者」情報は、児童を守るために設定が必要です。子ども向けコンテンツの場合は広告や通知が利用できませんが、その他の子ども向けコンテンツと一緒におすすめされる可能性が高くなります。アルコールなど年齢制限が必要な場合は詳細から設定しておくようにしましょう。
詳細情報の入力ができたら、公開設定を行います。「非公開」「限定公開」「公開」の3つから選択が可能です。
非公開の場合でも動画を共有することは可能です。
限定公開の場合はURLを知っている人のみへの公開となり、YouTube広告でも利用できます。
多くのユーザーに情報を届けるために、基本は「公開」設定にすることをおすすめしますが、例えばイベント参加者限定コンテンツは「限定公開」など、チャンネルの運用状況やコンテンツの内容に合わせて設定を行いましょう。
企業のYouTube活用事例
YouTubeをマーケティング施策の一環として活用する企業が増えてきていますが、チャンネルを開設して動画を公開するだけでは効果は見込めません。YouTubeの特徴を理解し、ユーザーが求めているコンテンツを発信していくことが重要です。
ここからは、実際にYouTubeの企業チャンネルを運用している企業の取り組みを紹介します。
■サントリー公式チャンネル(SUNTORY)
YouTubeチャンネル:サントリー公式チャンネル (SONTORY)
「サントリー公式チャンネル」は、サントリーホールディングス株式会社が運営するYouTubeチャンネルです。動画のカテゴリが整理され見やすいチャンネルであることに加え、コンテンツも充実した内容となっているのが特徴です。公開されている動画は、商品CMだけではなく、キャラクターとのコラボレーションコンテンツ、お酒の楽しみ方を紹介するコンテンツ、YouTubeドラマなど多種多様です。YouTube上でのオンラインライブなども実施しており、YouTubeオリジナルのコンテンツが豊富で、ユーザーを楽しませる内容となっています。
■北欧、暮らしの道具店
YouTubeチャンネル:北欧、暮らしの道具展
「北欧、暮らしの道具店」は、ECサイトで暮らしの道具や服を販売している株式会社クラシコムが運営するYouTubeチャンネルです。このチャンネルでは「フィットする暮らし、つくろう」をテーマに、ルームツアーやモーニングルーティーン、オリジナルドラマ、北欧での暮らし紹介など、さまざまなコンテンツが公開されています。動画ひとつひとつのクオリティが高く、見ている人も動画の中で流れている時間や空間を共有できる没入型のコンテンツが特徴です。YouTube動画の中では自社の商品の紹介などは行っておらず、動画コンテンツを通して、企業のブランディングを行っている事例といえます。また、YouTubeだけではなく、Instagramのフォロワー数約123万人、Facebookのファン数も約42万人と、他のSNSとの連動活用という点でも参考にできます。
■ViVi Channel
YouTubeチャンネル:ViVi channel
「ViVi Channel」は、女性ファッション誌『ViVi』を出版している株式会社講談社が運営するYouTubeチャンネルです。このチャンネルは紙媒体から、特に動画を活用したデジタルへの移行を目指して運用されており、 『ViVi』を身近に感じさせる工夫として、雑誌モデルやインフルエンサーを動画に起用しているのが特徴となっています。
このチャンネルは『ViVi』の認知、紹介商品の購入が目的として挙げられそうです。
まとめ:YouTube動画を活用して、企業や商品について深く伝えよう
YouTubeの国内月間ユーザー数は、日本人の65%以上の7,120万人を突破(18歳以上)し、幅広い年代で利用されていることがわかりました。
動画を使って視覚的にも多くの情報を伝えることができるYouTubeは、上手に活用することで、さまざまな企業のブランドイメージの向上や、商品UP・サービスに対する理解促進に貢献することができそうです。YouTube運用を行う場合はまず、 自社での活用の方向性や目的を定め、誰に向けて、どのような情報を発信していくかをしっかり考えましょう。
YouTubeはチャンネルを作成し、動画をアップロードすれば成功するという訳ではありません。YouTube広告を活用して、新しいユーザーにチャンネルの存在を知ってもらうこと、ユーザーに視聴してもらうために、魅力的なコンテンツを作成することが重要なポイントとなります。 YouTubeでの企業チャンネルの運用や広告配信をお考えの方、また他のSNS媒体と組み合わせたマーケティング施策をお考えの方は、お気軽にお問合せください。
総合広告代理店で営業として勤務した後、2019年に株式会社コムニコへ入社。 SNS広告運用を2年担当した後、現在は新規営業を担当。幅広い業界の企業のSNSマーケティングにおける課題解決の提案を行う。
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