ブラウザの概念すらなくなる時代が来る? 「リアルWeb担当者に喝!」生田氏の語るWebサイトの未来
キノトロープは、Web担当者Forumで連載中の『生田昌弘のWeb担当者に喝!』を書籍化。出版を記念するセミナー「リアル Web担当者に喝! 番外編」を10月18日(金)に都内で開催した。
本セミナーは書籍『生田昌弘のWeb担当者に喝!』が10月29日(火)に発売されることを記念し、少人数制で開催。筆者の生田昌弘氏が登壇し、「インターネットの流れを振り返るセミナーパート」と「参加者からの質疑応答」の2部構成で行われた。
前半:セミナーパート 劇的に変わるインターネットの世界
前半のセミナーパートでは、インターネット黎明期から現代までの流れを振り返った。
かつてインターネットを利用する人はPCが中心であった。しかし、現在PCでインターネットを利用する人は減少傾向にあり、スマートフォンのみでインターネットを利用する人が5割に上る。スマートフォンとPCの併用も合わせると、9割の人がインターネットをスマートフォンで利用している時代だ。
ユーザーのライフスタイルは「スマートフォンの普及により激変した」と生田氏は言う。
旅行に検討しているユーザーの行動を例に、目的地決定から宿の予約までの流れをスマートフォン普及前と後で比較する。
- 行き先を決める
- インターネットやガイドブックで下調べ
- Webサイト上や電話で宿の予約を取って詳細を印刷
- SNSで流れてきた情報をもとに旅行先決定
- スマートフォンで交通手段予約
- 現地で宿を予約
スマートフォン普及前、ユーザーは目的地を決定するために、じっくりと自分に最適な情報を探し、吟味していた。そのため、Webサイトにはユーザーが意思決定をするための判断材料を豊富に取りそろえることが求められていた。
しかし、スマートフォン普及後は、目的地を決めるまでの時間が短くなっている。そのため、スマートフォン上で当日に予約ができて、素早く手続きが完了できるような、自分に最適化されたWebサイトが求められる。
つまり、ユーザーは検索したら素早く必要な情報だけが欲しい時代になっている。スマートフォン利用者が増えた今、Webサイトは「スマートフォンファースト」が求められているのだ。
前半:セミナーパート ブラウザの概念すらない時代へ
さらに、生田氏は「ブラウザというものを認識している若い世代も減ってくるだろう」と語る。Web担当者Forumの調査ニュース記事でも度々紹介しているが、現在SNS上で検索するユーザーが非常に増えている。
InstagramやTwitterで何かを検索し、URLを踏んでページが表示されても、それはSNSアプリの延長であり、ブラウザでページを見ているという認識がない人もいるという。
今後、この傾向はさらに顕著になり、いずれはアプリを使っているという認識から、スマートフォンを使っているという認識へと移っていくだろうと生田氏は語った。
そして、Webサイトはよりスマートフォンに適した、シームレスな作りを求められるようになる。ユーザーがインターネットに求めるものの変化スピードは年々上がり、この変化にいかに適応していくかが重要だと生田氏は言う。
後半:質疑応答 Web担当者の悩み
セミナーの後半では、生田氏が参加者から寄せられた悩みに答えていった。主な悩みは以下のようなものが多かった。
- 社内への理解を得る方法
- 予算が取れない
- どんなデザインが自社のWebサイトユーザーに最適なのか
企業の中にはまだWebサイトの重要度が低いところもあるようで、リニューアルしようにも上司からの理解が得られないという場合もあるようだ。
生田氏は、「Webサイトは顧客の最初の接点になり、企業のイメージを大きく左右するものであるという認識を社内に持ってもらうことが重要だ」と語った。
書籍『生田昌弘のWeb担当者に喝!』10月29日(火)発売
そんな悩める担当者の答えが詰まった一冊が10月29日(火)にインプレスより出版される。
26年の歴史を持つWeb構築のスペシャリスト集団「KINOTROPE」。その代表で、業界のエバンジェリストである生田昌弘がWeb業界のダメなアレコレに喝をいれるWeb担当者Forumの人気連載が書籍化。
本書では、日々の運用と雑務に追われて見失いがちな、コンテンツが果たすべき本来の役割やモバイルファーストの意味、CMSが単なる運用ツールでなくマーケティング基盤の構築となることなど、課題解決のための道筋を紹介。
雑務に追われ、ときには理不尽な思いをしつつ、迷えるWeb担当者への熱い叱咤激励メッセージを収録した一冊だ。
単行本、電子版ともにインプレスブックス、Amazonなどから10月29日(火)に発売を予定している。
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