テレワークにおける従業員管理のポイント、ベテランは「健康変化の兆候を見逃すこと」に不安【リクルートMS調べ】
リクルートマネジメントソリューションズ(リクルートMS)の組織行動研究所は、「テレワーク緊急実態調査」を実施した。「テレワーク環境下で、ビジネスパーソンに必要なスキル」「それがすでに身に付けられているかどうか」「テレワーク環境下において、管理職が不安に感じていること」「逆に機会と感じていること」などについて、従業員規模300名以上の企業に勤務する、一般社員・管理職から回答を得ている(販売系/営業系/企画・事務系/開発系)。
テレワーク経験者は3割弱、終日より一部の人が多い
この調査では、テレワークの形態を「終日の業務」「数時間から半日程度の業務」「メール・資料確認などごく一部の業務」の3つに分類。その結果、テレワーク経験者は3割弱で、「ごく一部の業務」とした人の割合が多かった。一般社員・管理職の比較では管理職のほうが高い。また、所属企業の従業員規模では規模が大きいほうが、経験者率が高かった。なお、職務系統別にみると「販売系」の経験率が、他職種の半分~3分の1以下と特に低い。
マネジメントの不安は「チームビルディング」、ベテランは「健康変化の兆候を見逃すこと」に注目
「テレワーク下のマネジメントの不安」「テレワーク下のマネジメントの機会」について管理職に聞くと、テレワーク経験あり・なしにかかわらず、多くの管理職が多様な不安をいだいていることが明らかとなった。どの項目も半数を超えるが、とくに「部下とのコミュニケーションが減り、チームビルディングが出来ないと感じる」という声が多かった。テレワーク経験あり・なしで見ると、テレワーク経験のある管理者ほど、「部下の心身の健康について、悪化の兆候を見逃してしまうこと」を不安に感じていた(経験あり66.8%、経験なし61.4%)。
一方、「テレワーク下のマネジメントの機会」という観点では、「部下がワーク・ライフ・バランスを改善するいい機会だと思う」という意見が多数派。経験あり管理職ほどポジティブに捉えており、すべての項目で、経験なし管理職を上回る。実体験で不安は解消されないが、機会として捉えるという管理職が多いことがわかる。
テレワークの効用は「生産性向上」、課題は「利用できる人・できない人の分断」
管理職・一般社員双方に、「テレワークの効用」を聞くと、管理職・一般社員ともに、テレワーク経験者の6割前後が「生産性が向上し、業績にプラスの効果があると思う」と回答した。管理職でテレワーク経験ありの場合「自分自身は頻繁にテレワークをしたいと思う」「仕事へのやる気が高まると思う」「会社への愛着が増すと思う」という意見も多い。逆に管理職で経験なしの場合は「自分自身はできればテレワークはしたくないと思う」という回答が、管理職で経験ありの場合を上回った。
「テレワークの課題」(経験者のみ)では、「テレワークを利用できる人と利用できない人の分断」が、管理職・一般社員ともに1位。続いて、「テレワークで使用するコミュニケーションツールに未習熟な人がいるため、業務遂行に支障がある」が2位となった。
テレワーク環境下で、あらためて「文章力」が必要スキルに
さらに、「心理・生活・生産性の変化」「コミュニケーションの変化」「必要度が高まるスキル」を聞いた。
心理・生活・生産性の変化については、いずれの項目においても「テレワークでは変わらない」と考える人が多かった。それぞれ減少しそうな項目としては「会社に対する、批判的・否定的な感情」「労働時間」「人から話しかけられて仕事を中断する頻度」という声が多かった。
「コミュニケーションの変化」では「ビデオや音声での会話」「メールなどでの情報共有」「チャットなどの同時性の高いテキストコミュニケーション」が増えそうだが、一方で内容面において「感謝の言葉をかけたり、かけられたりする機会」「雑談や思いつきレベルのアイデアの共有」などは減ると予想されている。
こうした予想から「テレワーク環境下で必要なスキル」においては「文章で人に情報や要望を分かりやすく伝えること」79.0%、「仕事の計画を自分で立て、進捗を管理すること」65.1%、「上司や関係者への報告を適切に行うこと」62.6%が上位となった。
調査概要
- 【調査対象】従業員規模300名以上の企業に勤務する、一般社員・管理職。所属している企業で「働き方改革」の取り組みが行われている、または働き方に何らかの変化を感じている人。
- 【調査方法】販売系/営業系/企画・事務系/開発系の4つの職務系統が均等になるように回答を収集。
- 【調査期間】2020年3月26日~28日
- 【集計サンプル数】一般社員2,040名、管理職618名に
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