2024年度の「賃上げ実施予定率」は85.6%で過去最高に。一方で賃上げ率の中央値は3%にとどまる【TSR調べ】
東京商工リサーチは、2024年度「賃上げに関するアンケート」を実施した。賃上げの実態を把握することを目的に、4,527社に調査している。
企業の賃上げ実施予定率は85.6%、調査開始以来過去最高を更新
まず、2024年度に賃上げを実施するかを聞くと、85.6%の企業が「実施する」と回答し、調査を開始した2016年度以降過去最高となった。企業規模別に見ると、大企業(93.1%)と中小企業(84.9%)では8.2ポイントの差がついていた。
産業別で見ると、「実施する」の割合が最も高いのは「製造業」で88.6%。以下「運輸業」の87.9%、「建設業」の87.8%と続いた。前回調査(2023年8月)との比較では、特に「不動産業」「金融・保険業」「運輸業」においてそれぞれ5ポイント以上の大幅な上昇が見られた。
具体的な賃上げの内容としては、「定期昇給」が81.5%と最も多く、ついで「ベースアップ」が前年度から6.1ポイント増加して62.5%となった。規模別で見ると、「定期昇給」「ベースアップ」では大企業が中小企業を上回った一方で、「賞与(一時金)の増額」では中小企業の方が5.2ポイント高かった。
賃上げ率の中央値は3%、連合の春闘方針「5%以上」達成見込みは3割以下
賃上げ率は前年度比でどの程度を予定しているかを聞くと、全体では「3%以上4%未満」の32.7%が最多。賃上げ率の中央値は3%で、政府が要請する「前年を上回る賃上げ」は、中央値ではすべての規模・産業で未達成だった。
なお、日本労働組合総連合会が2024年の春闘方針として掲げる「5%以上」の賃上げを回答した企業は25.9%にとどまり、前年度から10ポイント以上の大幅低下となった。
賃上げを実施するうえで必要なこととしては、67.0%の企業が「製品・サービス単価の値上げ」と回答。以下「製品・サービスの受注拡大」の58.7%、「従業員教育による生産性向上」の51.6%と続いた。
一方で、「賃上げを実施しない」と答えた企業にその理由を聞くと、53.8%が「コスト増加分を十分に価格転嫁できていないため」と回答した。
調査概要
- 【調査期間】2024年2月1日~8日
- 【調査方法】インターネットによるアンケート調査
- 【有効回答】4,527社
- 【備考】「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義。資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
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