メンタルヘルス不調経験者、「勤務先を退職した」のは4人に1人。20代では約4割【パーソル総研調べ】
パーソル総合研究所は、「若手従業員のメンタルヘルス不調」に関する調査結果を発表した。取締役・社長を除く20~69歳男女3,025人が回答している(正規雇用者1500人、20代非管理職1000人、管理職500人、メンタルヘルス不調経験者1000人。重複あり)。
本調査における「メンタルヘルスの不調」とは、“生活の質に影響を与えるような強い不安や悩み、気分の落ち込み、ストレスからくる体の不調など”を指す。
若年層ほど、上司からの叱責などでストレスが高まりやすい
まず「過去3年以内のメンタルヘルス不調経験者(当時正規雇用者)」の退職率を調べると、25.3%が退職。年代別では20代が35.9%と他年代と比べて高い。
「過去3年以内に休職した人」に「仮病を使ったことがあるか」を聞くと、「身体的病気やけがの仮病」0.9%に対し、「精神的な病気の仮病」1.0%と同程度合。実態として「仮病」の割合は低い。ただし職場では仮病への懸念が根強く存在する場合もある。
一方「メンタルヘルス不調になった部下の対応をした管理職」に負担感を聞くと、4割以上が「精神的な負担が大きかった」「業務のしわ寄せで他の部下が疲弊した」「業務上の負担が大きかった」「知識が不足していると感じた」と回答している。
メンタルヘルス不調の要因としては「拒否回避志向(怒られたくない、人目を気にする、受け身の姿勢、失敗への恐れ、対立回避)」が考えられ、拒否回避志向が高いと上司などからの叱責でストレス反応が高まりやすい。また若年層ほど拒否回避志向が高く、20代と他年代との間には統計的有意差・有意傾向が見られた。背景として、保護的な教育環境やSNS利用の影響などが考えられる。
管理職向けの啓発施策の実施率は約8割と高いが、非管理職向けは低い現状
メンタルヘルス不調経験者に「不調を感じたとき、どう行動したか」を聞くと、「医師やカウンセラーに相談した」49.3%が最多。また「職場内での相談・報告(上司・同僚・人事部などの総計)」46.1%も多い。このうち「上司に相談した」という人は30.6%を占める。
一方、不調を職場に相談しなかった人に理由を聞くと、「相談しても解決につながらないと思った」34.5%が最多。なお正規雇用者の約4割が、「職場で相談しても相談後の職場の対応イメージがない」と回答している。「自身の評価が下がる」「職場に居づらくなる」という意見もあがった。
ただし、相談者の約8割は「職場からの支援的な対応(相談に乗る、業務負担の軽減、医療受診の勧奨など)を受けた」としており、相談後の対応は実際は良好なケースが多い。
なお非管理職と管理職で「相談後の職場の対応イメージ」「職場の対応についての知識」をどれだけ持てているのかを比較すると、ギャップが大きいことが判明した。相談後の対応、休職・復職の手続き、相談窓口の利用に対して、非管理職はイメージを持てていない傾向が強い。
また実際に「セルフケア研修」や「情報提供・啓発」といった非管理職向けの啓発施策の実施率は34.7%と低い。一方で「ストレスチェック」「ラインケア研修」といった管理職向けの啓発施策の実施率は79.8%に達している。
調査概要
- 【調査対象】取締役・社長を除く20~69歳男女
- 【調査方法】調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
- 【調査時期】2024年8月6日~8日、8月29日~9月5日
- 【有効回答数】3025人(正規雇用者1500人、20代非管理職1000人、管理職500人、メンタルヘルス不調経験者1000人。重複あり)
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