どうなるSHEIN? 関税免除の撤廃、第二次トランプ政権による厳しい課税など越境ECの少額輸入規制を進める米国の動向 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ | ネットショップ担当者フォーラム

このページは、外部サイト ネットショップ担当者フォーラム の情報をRSSフィード経由で取得して表示しているため、記事の一部分しか表示されていなかったり、画像などが正しく表示されなかったり、オリジナル記事が意図したデザインと異なっていたりする場合があります。
完全な状態のオリジナル記事は 「どうなるSHEIN? 関税免除の撤廃、第二次トランプ政権による厳しい課税など越境ECの少額輸入規制を進める米国の動向 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ」 からご覧ください。
米国が輸入する際、通関が免除されるルールの恩恵を受けているSHEIN Grpupですが、米国政府によるルールの見直しに伴い恩恵がなくなる見通しです。このほか、CBPの新たな税関検査プログラムに参加するなど、米国への輸出に関連するSHEIN Grpupの動きに注目します

800ドル以下の小口貨物には関税を課さずに簡易な手続きだけで輸入できる米国の制度「デミニミスルール」(通称)の恩恵を受けている、ファストファッションブランド「SHEIN(シーイン)」をグローバル展開するSHEIN Grpup(シーイン・グループ)。そのSHEIN Grpupは米国税関・国境警備局(CBP)の試験的な税関検査プログラムに参加し、自社の透明性やコンプライアンスを遵守する姿勢を示しています。しかし、米国政府は2024年9月にデミニミスルールの改正を発表。SHEIN Grpupは通関免除の恩恵が受けられなくなることになり、強固に反発しています。

米国の試験的税関プログラムに参加

SHEIN Grpupは2024年初頭から、CBPの試験的プログラム「セクション321データパイロット」に参加しています。

「セクション321データパイロット」はグローバル展開するEC事業者や輸送業者などが貨物の通関を効率化できるようにする一方で、CBPが違法性や危険性のある貨物を特定し、税関をすり抜けてしまわないように検査の対象とすることができるかどうかをテストするものです。

「セクション321データパイロット」に参加できる事業者(画像はCustoms City Global Solutionのサイトから編集部がキャプチャして追加)「セクション321データパイロット」に参加できる事業者(画像はCustoms City Global Solutionのサイトから編集部がキャプチャして追加)

SHEIN Grpupは、競合の越境ECサイト「Temu(ティームー)」を展開している中国EC大手PDDHDと供に、1930年に制定されたアメリカ関税法第321条、通称「デミニミスルール」の恩恵を受けています。これは、800ドル以下の小口貨物には関税を課さずに簡易な手続きだけで輸入できる制度です。

「セクション321データパイロット」の試験運用は、この条項にSHEIN Grpupのビジネスが大きく依存していると考える米国議員からの監視の目が強まるなかで立ち上がりました。

デミニミスルールの適用により、個人が1日あたり800ドルまでの商品を輸入する場合、申告義務が少なく、関税も税金もかかりません。この規定により、低価格の貨物の輸入が効率化される一方で、偽造品や麻薬などの違法商品がすり抜けやすくなってしまいます。

SHEIN Grpupの広報担当者は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の取材に対し「SHEIN Grpupは、輸入時のコンプライアンス遵守を最優先事項としており、その中にはデミニミス規定に関する米国法上の報告義務も含まれています」とメールで回答しました。「セクション321データパイロット」に自主的に参加したことで、SHEIN Grpupは自社の透明性と、コンプライアンスを遵守する姿勢を対外的に示していると言えます。

デミニミスルール適用貨物の増加

EC取引の成長にけん引され、デミニマスルールが適応される貨物は現在、米国に入港する全貨物の92%を占めています

そして、その数は増え続けており、CBPは毎日約400万件の小額貨物を処理しているそうです。この数字は、1年前の280万件から大幅に増加しています。

米国国際貿易委員会の2023年のブリーフィングによると、これらの輸入貨物のほとんどが中国からのものであることが明らかになりました。「SHEIN」と「Temu」の商品が、2022年の米国へのデミニミスルールが適応された輸入貨物の30%以上を占めていたそうです。

中国から各国・地域への小口貨物の輸出量(輸出金額ベース)。米国向けの輸出量は群を抜いている(独立行政法人日本貿易振興機構のサイトから編集部がキャプチャして追加)中国から各国・地域への小口貨物の輸出量(輸出金額ベース)。米国向けの輸出量は群を抜いている(独立行政法人日本貿易振興機構のサイトから編集部がキャプチャして追加)
中国企業のEC売り上げはグローバルで半数近くのシェアを獲得している(独立行政法人日本貿易振興機構のサイトから編集部がキャプチャして追加)中国企業のEC売り上げはグローバルで半数近くのシェアを獲得している(独立行政法人日本貿易振興機構のサイトから編集部がキャプチャして追加)
危険性や違法性の高い貨物の特定を効率化する「セクション321データパイロット」とは

CBPは2019年、Amazon、eBay、Zulily(ズーリリー。米国発の子育て世代向けECモール)などを含む9つの自主的な参加企業と「セクション321データパイロット」を開始。これは、デミニミスルールの貨物に該当し、かつ「リスクの高い貨物を効果的に特定し検査対象とする」ことを意図したものです。

「セクション321データパイロット」の試験運用プログラムに参加した企業は、出品者の情報、商品の写真、その他の貨物の詳細など、小額貨物に関する詳細なデータを共有。この可視性の向上により、CBPはリスクの高い貨物を見つけると同時に、コンプライアンスを満たした貨物の配送を迅速化し、CBPと参加企業の遅延を減らすことが可能になります。

「セクション321データパイロット」参加企業が貨物の可視性向上のために提供するデータ(画像はCustoms City Global Solutionのサイトから編集部がキャプチャして追加)「セクション321データパイロット」参加企業が貨物の可視性向上のために提供するデータ(画像はCustoms City Global Solutionのサイトから編集部がキャプチャして追加)

2023年2月、CBPは貨物のリスク評価、保留荷物の減少、スムーズな処理に向けての業務の改善を確認した後、プログラムを拡大しました。

SHEIN Grpupは2024年12月19日、「セクション321データパイロット」プログラムへの参加を正式に発表。プログラム開始から30日後、CBPは「SHEIN」の貨物データが技術的な問題や遅延なく処理されたことを確認しました。

CBPの「セクション321データパイロット」への参加は、『SHEIN』が透明性とコンプライアンスの基準にのっとっていることを再確認するものです。荷物の中身に関する詳細をより多く開示することで、CBPの負担を軽減し、正当な貿易の効率的な流れを維持しながら、公共の安全、米国経済、米国の消費者を保護するという重要な任務にCBPが集中できるよう協力します。(SHEIN Grpup 会長 ドナルド・タン氏)

CBPは、2025年8月まで実施予定の「セクション321データパイロット」に参加できる企業の数に制限は設けないとしています。SHEIN Grpupは、プログラムが終了するまで継続して参加する予定です。

バイデン政権、デミニミスルールの乱用を懸念。SHEIN Grpupら中国EC企業が恩恵を受けない方向に修正 関税免除の出荷額増加を受けて改革

米国のバイデン政権は2024年9月、特に中国のECプラットフォーム(「Temu」や「SHEIN」を含む)を対象に「デミニミスルールによる通関免除の乱用」を抑制することを目的とした新しい規則を提案しました。ホワイトハウスによると、このデミニミスルールによって関税が免除された商品の年間出荷額は、過去10年間で1億4000万ドルから10億ドル以上に急増したと言います。

提案されている新しい規則では、アメリカ関税法301条、232条、201条の関税の対象となる貨物(中国の繊維・アパレル製品、鉄鋼製品など)は、デミニミスルールの恩恵から除外されます。これらの貨物は関税、検査の強化、標準的な貨物報告要件に準拠することになり、標準的な貨物の輸入と同様のルールが適用されます。

SHEIN Grpupは見直しを提言

従来のデミニミスルールの適用による無関税の権利を失うと、「SHEIN」は値上げを余儀なくされ、サプライチェーンの見直しに多額の投資をしなくてはならなくなる可能性が高くなります。

SHEIN Grpupは貿易改革に協力する意向を示しつつ、2023年7月付のアメリカン・アパレル&フットウェア協会への書簡で、タン氏はデミニミスルール修正の「完全な見直し」を求めました

SHEIN Grpupは、より公平で透明性のある競争の場を作るために、米国政権が新しく提唱しているデミニミスルールの枠組みを改革するべきだと考えています。すべての小売事業者が同じルールを守り、企業の拠点や出荷国に関係なく、ルールが均等かつ平等に適用されるべきです。(タン氏)

第二次トランプ政権、中国輸入品にさらに厳しい課税を計画

第二次トランプ政権が誕生すれば、こうした圧力はさらに強まる可能性があります。対中貿易にタカ派的な姿勢で知られるドナルド・トランプ次期大統領は、以前にも中国からの輸入品に高率の関税を課しており、今回も中国からの輸入品には関税を引き上げて一律60%を課す計画を持ち出しています。

このような関税引き上げは、中国の輸出依存産業、ひいてはSHEIN Grpupのようなグローバルプレーヤーに大きな影響を与える可能性があります。

※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:どうなるSHEIN? 関税免除の撤廃、第二次トランプ政権による厳しい課税など越境ECの少額輸入規制を進める米国の動向 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

QOL
QOL(Quality of Life)とは、人生の質や生活の質を表す言葉。人間 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]