誰もがCMを簡単作成できるサイト「コマーシャライザー」
誰もがCMを簡単作成できるサイト「コマーシャライザー」
続いて登壇したのは株式会社リクルート メディアテクノロジーラボ チームリーダの長友肇氏。「コマーシャライザー」は、写真をアップロードし、簡単なコメントを付けるだけで、自由に動画コマーシャルを作ることができるサイトだ。実際に長友氏はデモということで、目の前ですぐに動画CMを作ってしまった。その時間はわずか5分ほど。特別なスキルがなくても、表現力豊かな迫力あるCMを誰もが作成できるのだ。
長友氏によれば、「もともとは街の飲食店などがコマースで使うと思っていた。しかし実際に公開したら、個人による、思いもよらない使い方が多数登場した
」という。その使い方というのは、子供やペットの自慢スライドショー、結婚おめでとうCM、さらには映画予告編風の合コン不参加のお詫び、草野球のチームメイト募集などがあったという。一見カオスにも思えるが、CTRがとにかく高い(そもそも広告だから)というメリットも機能して、当初想定していた、中小企業や個人商店のCM動画作成サイトとしてもしっかり機能しているという。さらに今後に向け、リクルートの他サイトとの連携によるビジネスモデルを考案中とのことで、まずは旅行サイト「じゃらん」の広告主が、自由に広告を作ってじゃらんの中で流せるようになるという。長友氏個人は勝手広告にも興味アリとのことで、デジタルサイネージで動画を流すといった活用事例についても言及を行った。
“広告”の本質を考え直そう「芸者東京エンターテイメント」
続いて登壇したのは芸者東京エンターテイメント株式会社 代表取締役CEOの田中泰生氏。同期間に開催されている東京ゲームショウ 2008からの連続参加とのことで、少し遅れて登場となったが、氏自身はあくまで「ゲームクリエイター」であり、CGAやその環境を作っているわけではない。実際、東京ゲームショウに出展していた製品も、拡張現実を使った電脳フィギュア「ARis アリス」だったりする。
ただ、田中氏が目指すのは「広告の価格破壊」であり、氏が薫陶を受けたエニックスの社長の言葉を引き合いに出し、「広告を出すような商品を作っているようなもんはアホ
」という極論を展開した。これはCMの全否定だが、ようは商品そのものが魅力的であれば、CMなどは必要なく、ちゃんと売れるということだ。「広告作るよりコンテンツを作ろう
」というのが氏の考えであり、1つの例として奈良県の1300年祭の公式キャラ「せんとくん」を例に出す(せんとくんは、ネガティブな印象が話題となり、逆にどんどんと著名になっていった稀有なキャラクタだ)。
そういう発想のもと、芸者東京エンターテイメントが展開しているのはキャラクタビジネス。具体的には、著作権やキャラクタグッズのコントロール権は彼らが保持するが、企業側に包括的なプランを提案し、最適なコンテンツを作成する“エンタメソリューション”というスタンスだ。飲料品メーカーのポッカとは「ふってふってゼリー」でタイアップ。芸者東京が制作を担当した公式サイトでムービーが評判となり、filmoで「ふってふってゼリー」のCM募集を行うことで、さらに勝手広告が作られるという、2次創作が3次創作を生み出すような状況となっているという。
一方で地方放送局の深夜枠(放送していない砂嵐状態)を有効活用する、として、オリジナルムービーを作成、それを放送することで、地元のレジャー観光地などでキャラクタビジネスの展開ができるのではないかと、複合的なプランを進めているという。いわば「勝手広告を会社ぐるみでやっている
」状態だという。
動画の効果を測定し指標化する「Mitter」
最後に登壇したのは株式会社メタキャスト チーフヴィジョナリーの井上大輔氏。メタキャストは、動画の動向を調べる「Mitter」などのサービスを提供しており、CGM(Consumer Generated Metadata)から見たCGAという視点で、現在のCGA周辺事情への展望を切り取った。
CGMを駆使することで、見たい動画を見たいときに見られるようにするのがメタキャストの事業ビジョンとのことで、やはりなにより「最終的にできあがった動画をどうするか」というのが同社にとっては最大の関心事となる。Mitterでは動画に関するCGM(履歴+コメント)が蓄積されることで、各動画の人気度、さらには視聴率が計測可能となっている。さらには、M DataによるテレビのCM放送履歴、データセクションによるブログの書き込み履歴、Mitterによる動画の再生履歴、SHINQOO(ShoppingFinder)によるネットショップ購買経路調査などを横断的に調査することで、従来ではわからなかったような消費者動向を把握できるとしている。
CGAにおいてもそれは同じで、各動画の視聴率的なもの+視聴質的なものを指標化することで、ビジネスを発展させたいとした。最後に「究極の効果測定サービス」ということで、実際に動画を視聴している他ユーザーの表情が見られるという、みんなと一緒に動画を楽しむ仕組みを紹介するなどして、話を締めくくった。これなどは、“ニコニコ動画の表情版”ともいえるだろう。
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