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数字で学ぶキーワード広告の費用対効果――指標CPA、ROAS、ROIを知る

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この記事の最新版 「ROAS」「CPA」「ROI」を理解してリスティング広告の正しい効果測定を を公開しましたので、そちらをご覧ください。

この記事は、第8章「広告の費用対効果を管理する 予算の決め方とコスト管理の指標」の記事です。

広告コストと実際の利益を把握する

本書の第6章および第7章では、「スポンサードサーチをいかに成約(コンバージョン)に結びつけるか」という視点から、レポートの見方や広告の改善方法を説明してきました。とは言えどれだけコンバージョンを得られたとしても、商品やサービスの売り上げから得られる利益を広告費用が上回ってしまうようでは、意味はありません。

たとえば単価が1000円で利益率が3割の商品があったとしましょう。この商品を販売するために300円の広告コストがかかってしまったら、利益はゼロになってしまいます。商品1点につき、それ以上の広告コストがかかるようだと、コンバージョンを得れば得るほど赤字が拡大してしまいます。

コンバージョンは広告を運用していくうえで極めて重要な指標であることは確かです。しかし上記は極端な例だとしても、コンバージョンの増加は、ビジネスの成功と必ずしもイコールではありません。ビジネスをより確実に成功に導くには、コンバージョンと広告コスト、売り上げと利益を考え、広告の費用対効果を正確に把握したうえで、スポンサードサーチを管理する必要があります。そこで活用したいのが、費用対効果を表すための指標です。

費用対効果を見る指標

費用対効果を見る代表的な指標には、CPA(コスト・パー・アクイジション:Cost Per Acquisition)とROAS(リターン・オン・アドバイタイジング・スペンド:Return on Advertising Spend)があります。第6章でも触れましたが、もう一度簡単におさらいしておきましょう。なお、繰り返しになりますが、この2つの指標をスポンサードサーチのレポート機能で表示させるには、コンバージョン測定用タグをウェブサイトに設置する必要があります。

CPAは1コンバージョンあたりのコストのことで、コンバージョンの獲得単価を示し、数値が低いほど費用対効果の高い広告だと言えます。計算式は下記の通りです。

CPA=コスト÷コンバージョン数
※コスト=クリック数×平均CPC(注)

(注)平均CPCの計算上、この式で求めたコストは管理画面に表示されている数値と誤差が出る可能性があります。

たとえば月間10万円の広告費用をかけてスポンサードサーチを運用し、100件のコンバージョンが得られた場合には、「10万円÷100」でCPAは1000円になります。1コンバージョンを獲得するのに1000円がかかっているわけです。

一方、ROASは、投資した広告費用の回収率(何倍になって返ってきているか)のことで、広告掲載料1円あたりの売上額を示します。CPAとは逆に、数値が高いほど費用対効果も高く、効率的に広告が運用できていることになります。計算式は次の通りです。

ROAS=売り上げ÷コスト×100(%)

たとえば売り上げが50万円あり、広告費用が10万円かかったとしましょう。このケースでは「50万円÷10万円×100」で、広告コストの回収率は500%、広告掲載料1円あたり5円の売り上げになります。

CPAとROASを使い分ける

CPAとROASは、ウェブサイトのビジネスの内容によって使い分けるのがいいでしょう。

CPAは会員登録や資料請求など、オンラインで購買活動が完結しないタイプのウェブサイトの費用対効果を測定するのに役立つ指標です。たとえば転職や不動産などのウェブサイトです。また、扱っている商品が1種類だけのオンラインショップや、複数の商品を同一価格で販売しているウェブサイトにもCPAは役立ちます。

しかし、価格帯の異なる商品を多数販売しているウェブサイトの場合は、CPAで効果を測定するのは困難です。たとえば50万円の液晶テレビを販売するのに要したCPAと、1000円のマウスパッドを販売したときのCPAを、同じ土俵で比較することはできないからです。このような場合には、目安とする数値としてROASの利用をおすすめします。ROASはオンラインで購買活動が完結し、かつ価格帯の異なる多種多様な商品を販売しているウェブサイトに有効な指標です。

広告戦略を成功させるには、投資した広告費用に対し、これらの数値を用いてどれだけの売り上げや利益がもたらされたかを把握し、改善していくことが重要です。

CPAが想定より高い場合は、コストを抑えるか、コンバージョン数を増加させる対策が必要です。入札価格の見直し、予算設定の見直し、広告の品質の向上、リンク先URLとリンク先ページの見直しなどの対策を講じましょう。

ROASが低い場合は、売り上げをアップさせるか、コストを抑えるかする必要があります。コンバージョン率の向上、売上増に結びつくリンク先ページの構築、入札価格と予算設定の見直しなどを行ってください。

CPAROAS
用語の意味Cost Per Acquisition
コンバージョンの獲得単価
Return On Advertising Spend
投資した広告費用の回収率、または広告掲載料金1円あたりの売上額
計算方法コスト÷コンバージョン数売り上げ÷コスト(%)
適しているサイト会員登録などオンラインで購買活動が完結しないタイプのウェブサイトなどオンラインで購買活動が完結し、なおかつ多くの商品を販売しているウェブサイト
適さないサイト販売商品の価格帯がさまざまなウェブサイト会員登録など実際の売り上げを測定できないウェブサイト
CPAとROASの使い分け

ROIは投資対効果を利益で表示

CPAやROASに加え、1クリックあたりの投資効果を、利益ベースで表す指標を用いる場合もあります。ROI(Return on Investment:リターン・オン・インベストメント)という指標です。ROIは次のように計算します。

ROI=(コンバージョン数×平均利益単価−コスト)÷コスト×100(%)

たとえば、1000円の利幅を見込める商品がスポンサードサーチ経由で300個販売でき、広告コストは10万円だったとします。このケースでは、(300個×1000円−10万円)÷10万円×100で、ROIは200%。広告掲載料1円につき、2円の利益を生み出している計算になります。

ROASを測定するには?

ROASを測定するためには、顧客が購入した金額(売上額)を集計する機能のついたコンバージョン測定用タグを作成し、ウェブサイトに設置する必要があります。具体的にはアカウント管理タブ内「効果測定の設定」で、「固定平均値」と「動的な値」のどちらかを選択し、前者の場合はその右側の空欄に金額を入力したうえで、コンバージョン測定用タグを生成・設置します。

固定平均値とは、コンバージョン1件あたりの固定売上額です。たとえば、会員登録などを目的としていて、1件あたりのコンバージョンが1500円に値すると仮定した場合、固定値に1500円と指定します。固定平均値の数値は運用開始後に変更することもできます。コンバージョン1件あたりの売上額が変わった場合、新しい数値を入力して保存するだけで、タグを設置しなおす必要はありません。

一方、動的な値とは顧客が商品またはサービスを購入したときに、売上額を動的に更新するものです。販売案件ごとの金額が動的な値として自動的に取り込まれます。

多種多様な商品をオンラインで販売しているウェブサイトは、「動的な値」を計測可能なコンバージョン測定用タグを設置するのが理想です。しかし実際に「動的な値」を得るには、HTMLだけでなくショッピングカートのシステムに手を入れる必要があり、専門知識がないと動作させるのが難しいかもしれません。そのような場合は、「固定平均値」に平均客単価を入力しておくことで、簡易的にROASを求めることができるようになります。

固定平均値に客単価を設定
固定平均値に客単価を設定
書籍『オーバーチュアスポンサードサーチ公式ガイド』表紙
  • 『検索連動型広告 オーバーチュアスポンサードサーチ公式ガイド』
  • ISBN 978-4844325550
  • 1,890円(税込)
  • オーバーチュア株式会社 編
  • 株式会社インプレスR&D

この記事は、書籍『オーバーチュアスポンサードサーチ公式ガイド』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

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オンライン版では紹介した内容以外にも、利用申し込みのステップ、基本となるアカウント構造についての理解、キャンペーン管理、さまざまな広告主がスポンサードサーチを活用しどのようにビジネスを発展させているのかの事例などがある。

オンライン版で紹介する、キーワードの選定に必要な発想法や広告作成のヒント、また運用に必要なレポートの見方やパフォーマンスの改善に関する情報、費用対効果の改善などの実践的なアドバイスと併せて、手元に置いておけばオーバーチュアスポンサードサーチでのキーワード広告の大きな助けとなるだろう。

用語集
CPA / CPC / HTML / ROAS / ROI / SEM / panama / オーバーチュア / キーワード広告 / コンバージョン / コンバージョン率 / スポンサードサーチ / リスティング広告 / リンク
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