オンラインショッピング利用者の15%が10万円以上の高額ショッピングを経験/消費行動に関する調査
Webマーケティングガイドでは、モバイルインターネット調査会社のネットエイジアと共同のもと、パソコンと携帯電話によるオンラインショッピングの利用状況に関する調査を行った。携帯電話を併用しているユーザーとパソコンのみのユーザーとの違いや、オンラインショッピングに費やすお金と実生活でのお金の関係など特徴的な調査項目をピックアップしている。
- 携帯電話でのインターネットの利用頻度は高く、「ほぼ毎日」が6割を占める
- 80%以上がパソコンまたは携帯電話のいずれかでオンラインショッピングを経験済み
- パソコンと携帯電話を使い分けてショッピングをするユーザーの比率が最も高く、その傾向は特に女性で強い
- 15%のユーザーがオンラインショッピングで10万円以上の高額ショッピングを経験
- いずれの年代においても3割強がパソコンと携帯電話の両方でオンラインショッピングを行っている
- 自由に使えるお金が多いユーザーほど、ネットの利用頻度が高まる傾向に
- パソコンと携帯電話の両方からインターネットを利用しているユーザーは、パソコンのみのユーザーに比べ、オンラインショッピングの利用頻度が高い
オンラインショッピングの利用経験は8割越え
女性は携帯電話からのみの利用比率が高い
まずは、パソコンと携帯電話の双方におけるインターネットの利用頻度を尋ねた(図1)。「ほぼ毎日」という回答では携帯電話が64.0%、パソコンが42.0%という結果となった。ユーザーに最も近い位置にあるメディアと呼ばれる携帯電話の利用頻度の高さがうかがえる結果であるが、今回の調査がモバイルのネットリサーチによって行われていることも影響していると考えられる。
初出時、図1-2のグラフに誤って図1-1と同じグラフを掲載しておりました。読者の皆さま、また関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
Web担当者Forum編集部 2009年7月29日19:00
パソコン、携帯電話を問わないオンラインショッピングの利用経験では、8割以上のユーザーが利用経験があると答えている(図2)。未経験者である「どちらもない」の比率は全体のわずか2割に満たない18.6%であった。
デバイス別にみると、「パソコン、携帯電話の両方から行ったことがある」が35.4%で最も高く、パソコンのみの比率が29.4%、携帯電話のみの比率が16.6%という結果となった。図1のようにデバイス別のインターネットの利用頻度に差がみられることからも、ユーザーはパソコンと携帯電話を使い分けてオンラインショッピングをしているといえる。
そして、この結果を男女別にみたのが図3のグラフだ。
デバイス別のオンラインショッピングの利用経験を男女別にみると、「パソコン、携帯電話の両方から行ったことがある」と回答したユーザーは、女性で40.0%、男性で30.9%と10ポイント近い差があることがわかった。また、女性は携帯電話からのみの比率が男性に比べて10ポイントほど高く、反対に男性はパソコンからのみの比率が女性に比べ7ポイント以上高い結果となっている。
オンラインショッピングの上限金額は3万がネック
ただし、10万円以上の利用経験者も1割強
前問で、オンラインショッピングを利用したことがあると回答した285人に対して、今までに購入した商品の中で「最も高かった金額」と「最も安かった金額」を尋ねた。その結果、「最も高かった金額」では「1万円以上~3万円未満」が34.4%で最も高く、次いで「5,000円以上~1万円未満」の16.8%となる。オンラインショッピングにおける一般的なユーザーの上限金額はおおよそこの3万円程度であることがうかがえる(図4)。
ただし、「5万円以上~10万円未満」が13.7%、そして「10万円以上」と回答したユーザーも14.4%存在している点には注目する必要がある。「ネットで高額な商品は買えない。実物を見てみないと……」といった問題はもう昔の話なのかもしれない。前回の調査記事でも触れたように、最近のネットユーザーは、実店舗で実際の商品を見たり手に取ったり、ネットを駆使してクチコミ情報集めたり金額を比較したりと、購入までに単一のメディアではなく複数のメディアに接触していることが多い。約15%のユーザーが、オンライン上で10万円以上の高額ショッピングを行っている背景には、こういった事実が隠されているのではないかと考えられる。各メディアに適切な役割を与え、Webだけではなくリアルも含め消費活動全体として捉えていく必要があるだろう。
続いて、オンラインショッピングの利用状況を年代別にみると、パソコンからのみのユーザーは年代が上がるにつれて比率が増え、携帯電話からのみのユーザーについては若年層ほど比率が高くなる結果となった(図6)。
注目すべきは「パソコンと携帯電話の両方から行ったことがある」と回答したユーザーの比率がどの年代においてもほとんど変わらない点で、パソコンと携帯電話の両方からオンラインショッピングを利用しているユーザーは年代に関係なく3割程度を占めている。
自由に使えるお金が多いユーザーほど
ネットの利用頻度が高まる傾向に
インターネットの利用頻度を、回答者個人の1か月の収入から生活費やローンなどを差し引いた自由に使えるお金の金額別にみたのが次のグラフである。パソコンによるインターネット利用頻度が最も高いのは、金額が「10万円以上」のユーザーで、79.3%がヘビーユーザー(週に4日以上インターネットを利用)に該当する(図7)。次いで、「3万円以上~5万円未満」の60.3%と続くが、全体としては金額が上がるにつれ、インターネットの利用頻度も高まる傾向にある。
モバイルインターネットに関しては、最もヘビーユーザーが少ない層(自由に使えるお金が「1万円未満」)においても60%以上のユーザーが週に4日以上利用すると回答しており、パソコンに比べて高いネット利用率がうかがえる(図8)。
自由に使えるお金はオンラインショッピングにも直結
ただし、モバイルでは異なる傾向も
続いて、オンラインショッピングの利用頻度を自由に使えるお金の金額別にみると、パソコンによるインターネット利用では金額が高いほどヘビーユーザーが多く、モバイルに関してはその逆で、金額が低いほどヘビーユーザーが多い傾向にあることがわかった。
パソコンに関しては、「1万円以上~3万円未満」が18.8%と飛びぬけてはいるものの、「1万円未満」が8.1%、「3万円以上~5万円未満」が 8.9%、「5万円以上~10万円未満」が15.8%、そして「10万円以上」が22.7%と、金額が高くになるにつれヘビーユーザーが増える傾向にある(図9)。
モバイルインターネットに関してはパソコンとは異なり、金額が低いユーザーほどヘビーユーザーの比率が高い(図10)。ただし、ライトユーザーまでを含めると金額に応じて利用頻度が高まる傾向はパソコンと変わらない。
最後に、デバイス別のオンラインショッピング利用頻度をみると、「パソコンのみ」からインターネットを利用しているユーザーよりも、「パソコンと携帯電話の両方」からインターネットを利用しているユーザーの方が利用頻度が高いことがわかった(図11)。前者に関してはヘビーユーザーの割合は8.7%なのに対し、後者は20.2%と2倍以上にも多くなっている。
「若年層はモバイル」といったように、年齢や属性などからメディアに対する先入観を持ってしまうことがある。もちろん、年代ごとの“傾向”は確かに存在するが、今回の調査データにもあるように意外なところに共通点があったり、予想を裏切るような新事実が潜んでいたりすることがある。
そして、何より新しい事実が見つかれば(たとえそれが仮説であったとしても)、新たなことにチャレンジすることが出来る。マーケティング調査の本質は、確率を高めたり効果を検証したりするのと同じくらい「チャレンジの糸口を見つけること」にあるのかもしれない。
調査概要
- 調査対象者:20歳~49歳のモバイルユーザー350人
- サンプリング:性別での均等割付 キャリア比はDocomo:54.9%、au:34.0%、SoftBank:11.1%
- 調査期間:2008年11月28日~2008年12月1日
- 調査方法:モバイルリサーチ
- 調査機関:ネットエイジア株式会社
- 本調査は、業界の全般的な調査であり、あくまでも指標となるものですので、参考データとしてご活用下さい。業種や取り扱っている商品、またユーザーの属性によっても調査結果は大きく異なると考えられます。
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