ソーシャルメディアを活用した広告で次のブレークスルーを狙う

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ソーシャルメディアを活用した広告で
次のブレークスルーを狙う

その後ディスカッションは、国内のネット広告事情に関するより詳細な話に踏み込んでいった。その随所でソーシャルメディアを活用した広告に注目する様子が伺われた。

たとえば、サイバーコミュニケーションズ(以下、CCI)の最高執行責任者、新澤氏は次のように語った。

昨今、ユーザーは高額商品を買う時、必ずネットで調べる文化がある。そのため、以前はマス媒体中心だった広告主の多くも今ではネット広告に押し寄せてきている。

ただ、バイイングの中心は依然Yahoo! JAPANに集中している。特にトップページのブランドパネル広告から、各カテゴリー広告、最近は行動ターゲティング広告に至るまで、Yahoo!サイトには広告主のニーズに合わせた広告商品が設計されている。

しかし、最近、企業が注目しているのは、ソーシャルメディアをいかに活用するかだ。その点でネット広告はまだまだ出遅れており、ここを盛り上げることで、もう一つブレークスルーがあるのではないか

オプトの取締役会長、海老名氏は、ソーシャルという言葉はかなり一般的に根づいてきているが、バイラル・コミュニケーションという切り口で着目しているとコメント。アドウェイズの代表取締役、岡村氏は、自社売上の半分以上が、SNSやブログといったソーシャルメディアからの売上になっていると話した。

一方で、ディーツーコミュニケーションズ(以下、D2C)のCOO、宝珠山氏は、mixiのオープン化などについて、広告屋にとってはあまり嬉しくない面もあることを指摘。なぜなら、広告主が自分で広告を作って載せてしまうことが容易になるため、その人達は儲かっていいけど、広告屋の役割が乏しくなる可能性があるので厳しいという見方を示した。

セプテーニの佐藤氏は、ソーシャルメディアがPRやイベントと連動しているものが生まれてきていることについて言及。何億円のテレビのワイドショウがあるように、媒体費に換算すると数倍~数十倍の価値を生むソーシャルメディアもでてきている。しかし、エコシステムとしてはまだ十分ではない。たとえば、広告主やmixi、Yahoo!だけなどにとってうまくいっている状態では、まだ利益がうまく配分されてないということだ。ブログや個人など、もう少し小さいところへも含めて、全体への配分がうまくいくと、エコシステムとして発展するのではないかと語った。

企業によるモバイル広告
キャンペーンは行うが、常設サイトが少ないのがまだ課題

モバイル広告については、D2Cの宝珠山氏は、一般企業がまだまだケータイサイトを持っていない問題点を指摘した。PCでは、街角のクリーニング屋さんでもWebサイトをもっているのに対して、ケータイサイトは、大手一般企業の30%くらいしか持ってない。キャンペーンはやるが、常設サイトがないのが実情だと語った。

CCIの新澤氏は、モバイル広告はクライアントの顔ぶれが偏っているのが課題とした。広告主の上位50を見ると、PCとモバイルではガラリと違う。PCのネット広告では、上位50位のうち、40位は日本のマス広告の広告主上位40社くらいがちゃんと入っている。これに対して、モバイル広告の大半はコンテンツプロバイダーで、その他を含めても一般企業が占める割合はせいぜい5割くらいとのことだ。また、現在の広告業界では、PCのネット広告を売る人と、モバイルの広告を売る人が別々に存在しているのも課題。ありとあらゆるプラットフォームに対応できる広告会社でないと、5~10年後生き残れないのではないかと話した。

セプテーニの佐藤氏は、ネット広告が伸びた背景には、インターネットが生活に密着しより便利になったという大きな要因があった。これに対してケータイは、生活に密着し便利なデバイスになってきてはいるが、検索クエリの伸びを見るとPCと同じように検索しまくろうという状態にはまだ至っていない。もっと手軽に検索したくなる便利なデバイスがあると、もっとモバイル広告も伸びるだろうと述べた。

D2Cの宝珠山氏は、ケータイ広告市場はまだ921億円、広告市場全体の1.5%でしかない。早く3,000~6,000億円くらいにならないかと思ってやっているが、それには、もっと優秀な人材を採らなければと話した。

アドウェイズの岡村氏は、ユーザーはモバイルを使っているが、広告費用の決済を行う企業の意思決定者が、まだまだモバイルに遠いところにいるという見方を示した。

◇◇◇

すでにマスメディアの1つともいえるほど成長しているネットというメディアだが、ソーシャルメディアやケータイ対応など、既存のマスメディアとは異なる側面が多々ある。

猛烈な勢いで伸びているネット広告だが、今後さらに成熟していくために克服するべき課題はまだ多いようだ。

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