自動でリンク切れチェックし、Webサイトの品質を保つ便利ツール8選
数百ページ~数万ページというWebサイトでは、人的な検査だけですべての問題点をチェックするのは実質的に不可能に近い。また、ページ数が少なくても、チェック漏れがあっては意味がない。
自動チェックツールを利用することで、問題点発見とその解決へのスピードは格段に上がる。現代のWebサイトでは、理想的な品質管理を実現するには、何らかのツールの利用は必須だともいえる。
最も効率良く診断できる専門ツール
手前味噌だが、日本アイ・ビー・エムが提供し、筆者の所属するバーチャルコミュニケーションズがサポートする「IBM Rational Policy Tester」は、Webサイトの高性能CTスキャンツールとして多数の企業に導入されている。利用には月額約20万円からの料金がかかるが、オンラインで利用するASPサービスのためインストールなどは必要なく、対象URLを設定するだけと導入が非常に簡便だ。Webサイトのクオリティ、プライバシー、アクセシビリティに対する潜在的な問題点を数百に及ぶ包括的な検査項目で定期的に自動診断し、問題点を可視化してくれる。
有償のサービスだが、チェックできる項目が幅広いこと、インストールなどの手間がかからないこと、定期的な自動チェックを行えることを考えると、忙しいWeb担当者の工数を削減するための費用としては高すぎるということはないだろう。
まず「品質検査を始める」ための入門フリーツール
中小企業などでは有料の専門ツールを導入するWebサイト予算が割けない場合も多いだろう。その場合は、フリーの検査ツールを利用するのがいいだろう。専門ツールの精緻な診断や便利さには及ばないものの、品質検査を習慣化しながら常に問題点に向き合うことは、品質管理への第一歩になる。予算を確保する前にまずはフリーツールで問題点をおおまかに確認するなど、Webサイト品質管理の入門としてはフリーのツールは有効だ。
ただし、品質管理には継続したアクションが必要であることには留意してほしい。納品直前やサイトの大幅な更新などが行われる際にフリーツールを活用して問題点をチェックすることもあるだろう。しかし、3か月に1回や1年に1回という低頻度でのチェックでは、なかなか高度な品質管理は行えないものだ。フリーツールを活用しても、毎週チェックするようなワークフローを構築することが望ましい。
以下に、Webサイトの品質チェックに利用できる代表的なフリーツール/サービスを紹介していこう。
Webサービス
W3Cリンクチェッカー
http://validator.w3.org/checklinkW3Cが提供するリンクエラー検出ツール。オンライン上でサイト内の指定範囲をチェックできる。調査対象サーバーへの負荷調整やリダイレクト先の調査、ページの詳細なレポート閲覧が可能。
W3Cマークアップ検証サービス
http://validator.w3.org/W3Cが提供するHTML文法チェッカー。指定したURLがHTML/XHTMLの仕様に合致しているかを検査できる。本ツールのチェックが有効な場合、W3Cの基準を満たすことを示すバナーを掲載できる。また、CSSを検証するサービスも同様に提供されている。
Another HTML-lint gateway
http://openlab.ring.gr.jp/k16/htmllint/htmllint.htmlHTML文書の文法をチェックし、100点満点で採点するサービス。W3Cの検証サービスではチェックできないような仕様上の制約などもチェックでき、チェック内容は細かく指定できる。作者のWebサイトから利用するサービス版以外にも、ダウンロードしてテスト環境で利用できるバージョンもある(いずれも営利目的での利用はフリーではないので注意)。
ソフトウェア
リンク切れカッター
http://www.vector.co.jp/magazine/spotlight/090918/sl090918102.htmlブラウザの「お気に入り」を整理できるツールだが「URLリスト 調査モード」で、指定URL内のリンク切れも検査可能。外部リンクの多いリリースやリンクページなどの検査に使える。
Website Explorer
http://www.umechando.com/webex/Webサイトを探査、ダウンロードできる高機能なフリーソフトで、HTMLページだけでなく、画像のリンク切れも検査可能。検査結果をExcel形式などでエクスポートできるなど使い勝手が良い(商用や法人での利用はフリーではないので注意)。
孤島発見器
http://hp.vector.co.jp/authors/VA014575/chicchi/kotou/readme.htmlWebサイトのリンクエラー検出ツールの老舗で、サイト内のリンク切れや参照されていない不要なファイルを検出できる。シンプルで使い勝手の良さに定評がある。
Web Developer 日本語版
http://lab.tubonotubo.jp/tools/webdeveloper/Firefox用アドオンとして提供されるWeb制作全般の確認ツールで、英語版の作者から許諾を受けて開発されている日本語版。ページ単位ではあるが、極めて多彩なチェックが行える。Firefoxにインストール後、[ツール]>[Web Developer]>[ツール]>[ページの構文チェックを表示する]にチェックを入れておくと、ページを表示するたびにW3Cの検証サービスで自動的にチェックしてくれる。
フリーの検査ツールも多々あるが、専門の検査サービスを利用することでより深く問題点をチェックでき、結果的に少ない時間で高い効果が得られることになる。品質管理を人の健康診断に例えるなら、フリーの検査ツールはドクターの問診、Policy Testerのような専門ツールはCTスキャンを使った診断だと言えるだろう。
次回は、ツールだけではカバーしきれないポイントを、品質管理チェックリストとして紹介する。
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