実践編

なぜこれらの項目をサイトのゴールとするのか?(1)〜(4)を徹底解説!

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なぜこれらの項目をサイトのゴールとするのか?
(1)〜(4)を徹底解説!

(1)訪問者数

総ページビュー数を測りたい会社が多いのだが、総ページビュー数は訪問者が何ページかずつ見たことの結果であるから、総ページビュー数を増やすにはもともと「(1)訪問者数」と「(2)訪問者の平均ページビュー数」を増やさなければならないのだから、ここからは除外している。

総訪問者数を増やすには、新規訪問者を獲得するか、リピーターを積み上げることが欠かせない。アクセス解析では、リピーターがどのコンテンツを見ているかをチェックする。リピーターがなぜリピートするのか。来るたびに会社概要を見る人もある。そうした人は会社を訪ねるのに地図が見たいだけなのかもしれない。しかし、詳細に調べていくとリピーターに評価されているコンテンツ(ニュースページやエンタテイメントネタ、便利な製品検索)があるのかもしれない。そうしたページは、

  1. 最初は新規訪問者として訪れた。
  2. いろいろなページを見るなかで、そのコンテンツが便利だと気づいた。
  3. リピーターになった。

というプロセスをたどっている。だから、引き続き新規訪問者を多く獲得している入り口ページから、より多くの人をリピーターコンテンツへ誘導できれば、リピーター定着率を上げることができると考えられる。となると、まずは新規訪問者の多いページに、リピーターに評価されているコンテンツへの(魅力的な)リンクバナーを設置して誘うことが不可欠だ。

このように、非常に初歩的な指標をゴールとして検討していくだけで、KPIのヒントが出てくるし、どのような施策を行えばサイトが良くなるのかが見えてくる。

(2)訪問者の平均ページビュー数

訪問者の平均ページビュー数は多くのサイトで6ページぐらいだと言われている。しかし一方で、平均2ページしか見られていないサイトもあるだろう。平均2ページのサイトがあと1ページ見られて、平均3ページになれば、訪問者数を増やさなくても総ページビュー数は150%に伸びる。こう言うと、必ずこの2つの反応が返ってくる。

平均ページビュー数は1ページでも、訪問者が納得して帰っているのであれば良いのではないですか?
平均ページビュー数は、リピーターが増えていくと減るのではないのですか?

最初の疑問は間違いではないが、次のことを考えると会社として得ではないことがわかる。1ページで帰っているということは、トップページで何のボタンもクリックされていないということになる。1ページで帰った訪問者が検索などからトップ以外のページに訪れているなら、そのページの本文内容だけで納得してしまい、どの会社の何のサイトだったか覚えていないことが多い。会社側のメッセージをまったく受け取ってくれていないとすると、非常にもったいないことである。

また、直帰しなかった人の平均ページビュー数は11ページぐらいになることが多く、商品購入や資料請求などのコンバージョンを行った人の平均ページビュー数は14~20ページぐらいあることが知られている。サイトが成果をあげている状態になれば、平均ページビュー数はある程度高まると考えておかなければならない。

2番目の問いは重要だが、ただ減らしたのではいけない。リピーターがいつも同じページばかりを見て帰る、ということを繰り返していると、新商品をリピーターに伝えることができないことになる。常に別の商品情報をリピーターに見せ、新たな商品に気づかせることはクロスセルやアップセルの原則から言って非常に重要なことなのだ。

既存顧客で非常に付き合いの長い会社であっても、新規事業分野などについて認識していないことが多い。1つの商品ユーザーが、その商品のオプションを全部知っているわけではない。こう考えると、サポートのページがどんな働きをしなければならないかがわかるはずだ。サポートページは、ただサポートするためだけに存在するわけではない。次なる営業機会だと考える必要があるのだ。こうした考え方に基づいて、リピーターも含めた平均ページビュー数がどれぐらいになるべきかを設定する必要があると考えられる。

  • 新規訪問者の平均ページビュー数を、現状の2ページから5ページへ増やす
  • リピーターの平均ページビュー数を、現状の2ページから3ページへ増やす

こうした目標を立てておけば、そのための行動がわかりやすくなるだろう。

(3)サイト全体の直帰率

訪問者全体の平均ページビュー数を引き上げるには、直帰率を引き下げるのが効果的だ。直帰率は、多くのサイトで、サイトのパフォーマンスを評価する指標として使ってもらいたい数字だ。先にも書いたように、1ページで帰る人が多いのでは、サイトは成果を高めづらい。多くのサイトで今でも47%の人が直帰していると言われている。半数がすぐに帰ってしまう状態ではコンバージョンレートなど計算してみても意味は薄いのだ。

直帰率を見ると2つの問題が考えられる。

直帰率が高くなる2つの問題
  1. 入り口ページが悪くてせっかくの訪問者を逃がしているのではないか?
  2. ミスマッチなニーズを持った訪問者しか集められていないのではないか?

この2つは同時発生することもあるから、それぞれ対策を行わなければならない。入り口ページが悪い場合には多くの場合リンクが悪いので、リンクを増やしたり、リンクの文言を変えたりして、もっと誘導することが必要になる。アクセス解析で、入り口ページ(閲覧開始ページ)の直帰率を点検し、訪問者が多いのに直帰率が50%を超えているようなページを見つけだす。そのページの詳細を点検し、そこに訪れているキーワードや、誘導元サイトを調べて、訪問ニーズを知る。見出しを変えてその訪問ニーズをきちんと受け止め、そのニーズに応えてさらに関連情報が別のページにあることを伝えるリンクを掲載すれば、クリックされることが多くなるのだ。

キーワードがあまりにもミスマッチであることがわかれば、これは直帰されても仕方がないということになる。たとえば、B2Bサイトが商品の説明のために「維新のころ、坂本龍馬は~」といった例え話を書いていたために、多数の龍馬ファンが訪問してしまうというケースがあった。もちろん、龍馬ファンのなかにもその商品を評価してくれる人がいるかもしれないから、龍馬ファンを排除することもない。しかし、たいていの龍馬に関するコンテンツを期待したファンは直帰してしまうはずだ。商品そのものが評価されることは少ないのだから、別の、商品ニーズを持った人を集めることを優先するべきである。

入り口ページ(閲覧開始ページ)を順に点検し、毎週1ページで100人を帰らせないようにしていけば、大きな効果が現れる。今、全体の平均ページビュー数が6ページぐらいであっても、2ページ以上見ている人(直帰しなかった人)の平均ページビュー数は11ページぐらいあるものだ。つまり、1ページで帰らない人はたくさんのページを見ている。直帰率が高い入り口ページが100人の人を直帰させなくすれば、その100人が見るページビュー数は、これまで100ページビューだったものが、300ページビューやそれ以上になる可能性が高いのだ。そうしたページを10ページ直すだけで3000ページビューを毎月のデータに上乗せできるのだ。しかもそれは偶然ではなく、こちらが誘った結果であるから、より望ましいページに誘導できているのだ。

(4)2ページ以上見た人の平均ページビュー数

前述したように、2ページ以上見た人(直帰しなかった人)の平均ページビュー数は11ページぐらいとなっている。なかには全体で4ページなのに2ページ以上見た人の平均ページビュー数も5ページしかない、というサイトもあるが、これは直帰しない人も比較的早く帰ってしまうということなので、コンテンツの不足を反映している。訪問者にもっと次のページ、さらに次のページと見てもらうことが大切なのだ。トップページに訪れた人が、

  1. トップページ
  2. 商品情報トップ
  3. 商品Aトップ
  4. 商品A詳細
  5. 商品Bトップ
  6. 商品B詳細

と移動したとすると6ページビュー。ここで商品Bが良い商品だと思った人が、その導入事例を3ページ見て、そこで自分の会社に合致した商品だと思って、企業情報→会社概要と確認したあと、資料請求のページに移動すると、ここまでで12ページ見たことになるのだ。さらに資料請求のフォームに入力して、確認画面→送信完了画面と移動すれば、14ページぐらいに到達する。

いずれにせよ、まずは現状の実態を調査しなければならない。2ページ以上見た人の平均ページビュー数は初期状態で表示してくれるアクセス解析ツールはほとんどないので、次のような計算が必要となる。

総ページビュー数 − 直帰者のページビュー数 = 非直帰者のページビュー数

総訪問者数 − 直帰者数 = 非直帰者数

非直帰者のページビュー数 ÷ 非直帰者数 = 2ページ以上見た人の平均ページビュー数

※直帰者は1ページしか見ていないのだから「直帰者数=直帰者のページビュー数」となる。

実例で考えると、次のようになる。

まず、総訪問者数が10万人、総ページビュー数が30万人、直帰率が40%の場合で考えてみよう。

項目数値計算式
総訪問者数10万人――
総ページビュー数30万PV――
直帰率40%――
全体の平均ページビュー数3PV30万PV ÷ 10万人
直帰者数4万人10万人 × 40%
非直帰者数6万人10万人 × (100% - 40%)
直帰者のページビュー数4万PV4万人 × 1PV
非直帰者のページビュー数26万PV30万PV - 4万PV
非直帰者の平均ページビュー数4.3PV26万PV ÷ 6万人

一方、同じ総訪問者数10万人で総ページビュー数が30万PVでも、直帰率が60%である場合はどうだろう。

項目数値計算式
総訪問者数10万人――
総ページビュー数30万PV――
直帰率60%――
全体の平均ページビュー数3PV30万PV ÷ 10万人
直帰者数6万人10万人 × 60%
非直帰者数4万人10万人 × (100% - 60%)
直帰者のページビュー数6万PV6万人 × 1PV
非直帰者のページビュー数24万PV30万PV - 6万PV
非直帰者の平均ページビュー数6PV24万PV ÷ 4万人

サイト全体の直帰率がいかに平均ページビュー数を引き下げているかが、わかるだろう。

逆に直帰者を放置して、コンテンツを追加し、2ページ以上見た人の平均ページビュー数を0.5ページ伸ばしたとしたらどうなるのか。直帰率40%の場合で見てみよう

項目数値計算式
総訪問者数10万人――
直帰率40%――
直帰者数4万人10万人 × 40%
非直帰者数6万人10万人 × (100% - 40%)
直帰者のページビュー数4万PV4万人 × 1PV
非直帰者の平均ページビュー数4.8PV4.3PV + 0.5PV
非直帰者のページビュー数28万8000PV6万人 × 4.8PV
総ページビュー数32万8000PV――

コンテンツを増やして0.5PV伸ばすことでも、総PV数を上乗せできるわけだ。

◇◇◇

さて、これ以降は次回に説明を続けていくことにしよう。

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