キーワードは「プロモーション3ステップ」
キーワードは「プロモーション3ステップ」
ECサイトのトップページは、いわば企業の顔であり、保くんのようにデザインに力を入れたくなる気持ちはわかる。しかし、進出初期段階では、デザインに注力する前にプロモーションに力を入れなくてはいけない。
前回までに触れたタオバオ内での進出初期段階のプロモーションのポイントは2点だ。
キャンペーンなどで商品を配って、使って知ってもらう機会を増やす。
「直通車」などのタオバオ内のリスティング広告に出稿し、検索結果の表示優先順位を上げる。
上記2点を長期的に地道に行い、購買者による店舗評価を獲得していくということだった。確かに、地道に評価を集めることはベースにある。しかし、それだけではプロモーションとしては力不足だ。
では、佳子が参入するアパレル業界で、ちょうど現在のような冬の時期に進出し、プロモーションを行っていくためにはどうしたらいいか考察しながらポイントを説明していく。鍵は次の3ステップだ。
- 信用向上
- 告知範囲の拡大
- コンバージョン率向上
[ステップ1] まずは販売実績の確保で「信用向上」
消費者が最重要視するのは、商品の販売数だ。販売実績が多いほど商品に対して信頼を持つのだ。
そのため、たとえばこの時期ならば、開店後3か月間はターゲット層にヒットする春物の商品、できれば冬から春先まで着られるものを3品番~5品番ほど選択し、生産に注力する。
タオバオモールでは、無料広告資源という有名旗艦店舗が開店する際にタオバオモールが無料で支給してくれる広告枠を有効活用し、予算を決め運用できるリスティング広告を最適化する。店舗内の販売促進活動につなげてランディングし、売上数量を作っていくのだ。
まずは最低でも3ケタの数量を地道に稼ぐ。特にプロモーション商品の3品番については力を入れて目標値に到達したい。プロモーションについては、店舗内外でそれそれぞれまとめると以下のことを並行して行っていく。
新店入店、ブランド推薦
→タオバオモールへ申請すると無料で出稿できる広告枠直通車
→タオバオ内で出稿する有料リスティング広告
開店プロモーション
期間限定特価プロモーション
春物(新作)限定販売
冬物在庫一掃セール
販売実績がたまるまでに3~4か月の期間は必要だろう。
[ステップ2] ネクストステップは「告知範囲の拡大」
販売実績が目標値に到達し、商品を初めて見た消費者からも信用を得られる基礎づくりが完了したら、次は知名度を大幅に上げるプロモーションを開始する。
リスティング広告を継続しつつ、インプレション保証型バナーなどの有料広告に出稿し、タオバオモール主催のプロモーションイベントに積極的に参加。そうしたことで、購買者が商品を見つけられる接点を増やしていくのだ。
店舗内外で行うことは以下のとおりだ。
インプレション保証型バナー
タオバオ主催のイベントへ参加
直通車
期間限定特価プロモーション
夏物(新作)限定販売
春物在庫一掃セール
注意しなくてはいけないことがある。情報を広めるならばメディアなどを利用したマス広告を利用して大多数に告知していくことを考えるだろうが、これはほとんど有効ではないのだ。実店舗を全国に展開しているならばマス広告も有効ではあるが、ECに関しては費用対効果が低いのだ。
それよりも、コストが安価なモール内の広告に力を入れよう。モールの来店者に対してモール店舗前でビラ配りを行うような感覚で告知していくほうが非常に効果的である。
[ステップ3] 最後は「CVR率向上」でプロモーションを完璧に!
販売実績の確保、告知体制が固まったら、最後はCVR(コンバージョン率)の向上を目指す。まずは、基本的な露出施策を強化していく。直通車などの店舗内プロモーションを行いながら以下の2つの施策を行っていく
- タオバオマネー(淘金币)
→ タオバオ内で使用される専用通貨。キャンペーンなどで、無料で取得できる。こちらの通過を使用することで、キャンペーンで値引きしたり、実際に商品を購入したりできる。
- 秦石展位
→ CPM保証型のバナー広告。1000インプレッションで課金される
さらに、ユーザーの声を集め、商品やプロモーションの成果についてフィードバックできる体制を築く。そのためには、以下の3項目を利用することが有効だ。
- 試用中心
→ サンプリング専用ページ。利用者の商品に対する詳細な意見を聞くことができ、無料で利用できる。
- 超級マイバー
→ 大安売りセールのイベントキャンペーン。参加に有料で、利益率は非常に低くなるが購買に高確率で繋がり、その分購買者からの意見を集められる。
- 淘分享
→ タオバオ内にある短いコメントをリアルタイムにやりとりできるソーシャル機能で、無料で利用できる。店舗や購買商品情報を告知することができ、インタラクティブに消費者と交流ができる。口コミ情報を重宝する中国人にとってかなり有効なサービスである。
企業によっては専任の口コミ対策人を雇用しだしたブランドもある。
さらに、CRM施策で顧客データを有効に活用、店舗に対して購入経験がある有力購買者に対してアプローチしていく。たとえば、携帯電話番号を利用し、商品の発送のお知らせや到着確認。使用感想を直接聞いたり、新製品や割引セールなどの店舗の情報を定期的に知らせていく。
ポイントは、実売と広報を並行して効果的に行っていくことだ。参入初期のプロモーションを「信用獲得」「告知範囲の拡大」「コンバージョン率の向上」の3ステップで完璧にすることによって、スムーズかつ、今後のEC事業展開を強力に進める仕組みを構築するのだ。
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