多言語サイトSEOのベストプラクティス ―― コンテンツマーケティング・リンクビルディング編
この記事は、3回に分けてお届けしている。最終回となる今回は、国際的SEOにおけるインバウンドマーケティングやリンクビルディングについて考えてみよう。まず第1回から読んでおく
インバウンドマーケティング、リンクビルディング、そして国際的SEO
これで、僕らの多言語/多国向けサイトは最適化された。
しかし、サイトが持つ既存のドメインオーソリティとそのリンク資産のフローを追い風として最初の勢いを付けるためにサブディレクトリという方法を選択したとしても、検索エンジン結果ページ(SERP)で表示されるようにするには、やはりなお、その言語/国をターゲットとするサブディレクトリのオーソリティと信用度を高めなければならない。
ccTLDオプションを選択した場合、このことは一層緊急な課題となってくる。
それなのに、国際SEOのリンクビルディング・キャンペーンの予算総額が、国内市場向けキャンペーンに比べて小規模になりがちなのはなぜだろう?
理屈では、1番目の回答(「ほぼ同額……」)が最も多くなるはずだったのだが。
こういう結果を正当化しようとして、次のような理由付けがされることがある。
X国でのリンクビルディングの方が簡単だから。
X国のほうがリンクビルディングのコストが低いから。
しかし、次のような理由から両方とも間違っている。
それぞれの国でリンクビルディングを行うのは、見かけよりも難しい。たとえば、イタリアでのリンクビルディングは、想像するほど簡単ではない。イタリアでは、ゲストブログという概念がいまだに「進歩的」と考えられているくらいだからだ。
イタリアでは(自国の例ばかりで恐縮だが)、サイトリンク、ソーシャル共有、ブランド認知を獲得するRCS(Real Company Stuff)を行うのに相当な額の予算が必要だ。優れたインフォグラフィクス(インタラクティブなものや動画ではない)を作成するにも、平均で1000~1200ドル程度かかってしまう。
僕がお勧めするのは、かなりのコストを、国際的SEOのためのコンテンツマーケティング、リンクビルディング、そして最終的にはソーシャルメディアマーケティングに投資することだ。
また、リンクビルディングのキャンペーンを社内で手がけるという一般的なケースであっても、できればその地域のリンクビルダーの意見に耳を傾けることを心がけるべきだろう。
実際、各地域のリンクビルダーは、その国におけるリンクビルディングの実状を知るのに最適の情報源だ。たとえば、中国のウェブマスターたちが正式なアウトリーチを行う場合、他の手段よりもメールを使うのを好むということを、どれだけの人が知っているだろう? 僕自身、質問するまで知らなかったことだ。
現在のリンクビルディングはもはや、かつてのようにディレクトリへの登録やdofollowコメント、あるいはフォーラムへの署名を意味するものではない。コンテンツマーケティングを燃料とし、最強の味方としてソーシャルメディアを使うという、より洗練されたアートに、リンクビルディングは進化している。
このため、ターゲットとする国の文化に合わせてサイトのコンテンツをローカライズしたら、サイトのプロモーションのために計画するコンテンツマーケティング活動もローカライズしなくてはならない。
幸い、多くのSEO業者がこの必要性を認識している。
しかも、そうしたSEO業者たちは、その地域の専門家と組んで仕事をすることが多い。
もっと大規模なインバウンドマーケティング戦略の一部としてSEOを考えるなら、SEOキャンペーンにおいてソーシャルメディアが果たす重要性を考える必要がある(ソーシャルシグナルとランキングの相関性に関するさまざまな研究を思い出そう)。
だから、特に極めて競争の激しいニッチ分野で国際SEOを実践している場合、支えとなる国際的なソーシャルメディア戦略が必要だという考えを受け入れなくてはならない。
結論
グーグルやBingを意識した国際的SEOも、やはりSEOだ。それに疑問の余地はない。また、国内市場向けのサイトで実施しているSEOと比べても本質的な違いはない。
確かに、国際的SEOには多少専門的な側面がある。しかし、そうした専門知識は、米国におけるスペイン語のように、自国内で使われている他の言語を対象にする場合であっても必要なはずだ。SEOのその他の戦術については、使用言語を除けばまったく同じだ。
国際SEOにおけるリンクビルディングとインバウンドマーケティングに関連するすべてのコンセプトは、いつもやっているSEOの場合と変わりはない。ただ、対象とする国によって、どの戦術、どのような種類のコンテンツマーケティング活動が最も効果を上げるかに違いがあるだけだ。
国際SEOを「従来のSEO」よりもずっと困難にしてしまっているのは、実のところ、ターゲットにしたいと思う国や国民の文化を理解していないという基本的な点に尽きる。
ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』に出てくる人物でさまざまな言語をごたまぜにして話すサルヴァトーレのような人に、自分の国際サイトを書かせるという過ちを犯さないようにしよう。
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