(続き)マーケティング解析を始めるための基本的な4つの問いかけ
質問3 あなたのマーケティング活動は長期的にどれくらい成果を上げているか?
私たちは、前週比や前月比で成績が向上しているかどうかを知ることの重要性は認識しているものの、そこで止まってしまうことが多すぎる。しかし成功を追跡調査する場合には、詳細に観察すべきものが他にもたくさんある。
データ変動の勢いはどうだろうか?
その変動は長期的にどう推移していくだろうか?
こうした短期的な勝利を、どうやったら顧客の忠誠度や継続的なエンゲージメントにつなげられるだろうか?
マーケティング解析は、取り組みの全体的なパフォーマンス、そして改善の対象とする取り組み選び出すさまざまな方法に、より重きを置く。
昨日の結果だけ、または自分のサイトのパフォーマンスだけに基づいてマーケティングのロードマップを計画した場合を想像してほしい。ぞっとするって? その通りだ。
では、各チャネルのパフォーマンスは時間を追ってどのように変化してきたか、自分が注目しているすべての目標(お金、エンゲージメント、忠誠度など)について、個々の取り組みがどのようにリターンをもたらしたかを調べ、それに基づいてマーケティングロードマップを計画した場合を想像してみよう。こっちははるかによさそうだ。
あらかじめ時間を作ってこうした動きを正確に把握しておくと、自分のエネルギーを注ぐべきところはどこか、より包括的に判断できるだろう。
自分のマーケティング活動にどれくらいの見返りがあるかを把握する場合、以下のような質問も役に立つ。
質問4 マーケティング解析データは次の意志決定をどのように知らせるか?
私たちはみな、次のような前提を理解している。
投資は、十分な成果を出すものに対して行う必要がある。
これはパフォーマンスマーケティングでは非常によく用いられる方法だが、私たちのあらゆるマーケティング活動でも同様に、結果を次の活動につなげてループを閉じなければならない(やりっぱなしではなく、データを次の行動につなげ、分析と行動が回るようにする必要がある)。
マーケティング解析は、マーケティング活動と投資をつないでこのループを閉じるのに役立つ。常にうまく機能しているチャネルもあれば、まったく役に立たないチャネルもあるなどと考えるのではなく、どこにどのように時間を費やすかをテストし、その結果に基づいて次の四半期における投資の優先順位付けを行うべきだ。
これがいちばん簡単に適用できるのは人員配置や予算配分だが、さまざまな新しいツールや新しいプロセスの調査、新しいテストの作成、設計に費やす時間についても適用してはどうだろう?
自分は、しかるべきチャネルに時間をかけているだろうか?
マーケティング解析は、そうした問題の根幹を理解するのに役立ち、それによって十分に情報を手にした上で次の一手が打てるようになる。
マーケティング解析で犯しがちな3つの間違い
マーケティング解析に投資しようとする際には、いろいろな問題によく直面する。いくつか私たちが把握しているケースと、それを回避するヒントを以下に挙げてみる。
手を付けてほったらかしのジレンマ
こういう経験は誰にでもあるだろう。
新しくてクールな解析ツールができたという話を耳にし、早速設定してデータ収集を始めるが、状況がどうなっているかを確認したり、そのツールが教えてくれることを考えたりするところまでは行かない。
さらに悪いケースでは、週間レポートを受け取りながら、そのデータを読み解くことができずに貴重な知見が得られないこともある。これぞまさに「手を付けてほったらかし」のジレンマだ。
マーケティング解析にはもっと多くのことが期待できる。うまくやるためには、新しいチャンネルと新しいツールの両方をテストして、その成果を追跡する必要がある。
それから、データを詳しく見るための時間を作ることも必要だ。マーケティング解析を成功に導く重要な要素は、事前に対策を講じ、自分の意思決定の背後にあるプロセスの限界を押し広げようと継続的に取り組むことだ。それには時間がかかる。マーケターは時間に余裕がないものだが、これはいい時間の使い道だ。
マーケティングの解析はマーケティング責任者の仕事だと考える
マーケティングプログラムをどうやって発展させるかを決定するのは、最高マーケティング責任者(CMO)だけに任せておけばいいことだと考える勘違いが多い。
そうではなくて、自分の取り組みからどんな成果が得られているのか、そして次に何をすべきかを知ることは、マーケティングに関わる全員の責任だと考えるべきだ。また、その情報をチャネルのロードマップや自分の職務にフィードバックすべきた。
この作業を組織のトップに任せていると、ロードマップは一貫性のないものになる。これは、共同で討議しながら進めるべきだ。
成功事例と失敗事例を共有しない
展開の速い世界に身を置き、カフェインがないと生きていけないマーケターがよくやる間違いの1つは、自分の取り組みの結果を伝えないことだ。
マーケティング解析をチームの文化とし、企業にとって重要なものとするには、進捗状況を定期的に全員で共有する必要がある。
チームのメンバーに対しても「インバウンドマーケティングを利用してコミュニティメンバーの関心を引く」といったスタイルの説明をするのではなく、キャンペーンやコンテンツ、取り組みについて具体的に説明しよう。そして、どれが成果を上げているか、どれがてこ入れを必要としているかを示し、アイデアやフィードバックを求めるんだ。
チームのメンバーを巻き込めば、成功にもっと寄与してくれることだろう。
結論:アクセス解析もマーケティング解析も両方必要
マーケティング解析は、マーケティング計画を成功させるために欠くことのできないものだが、われわれはそれがアクセス解析に取って代わると言っているのではない。実際にはその逆だ。
われわれは、「マーケティング計画」と「アクセス解析」の2つの組み合わせが、チームを成功に導くのだと思っている。
サイトのパフォーマンスと自分の取り組みの成果を時間をかけて解析すれば、うまくいっているのは何か、手助けが必要なのは何か、思い切った転換が必要なのは何かなど、全体像が見えてくるだろう。
自分の取り組みが全体像にどのような影響を与えているかをマーケターが正しく理解するのに役立つツールやリソースは、ますます増えてきた。2013年には、さらに多数のツールが登場するだろう。多くのマーケターはすでに、この機能をすべて提供してくれる専用ツールがなくても、マーケティング解析がもたらす広い視野に注目を向けている。
マーケターの多くにとって、この作業は全体像を見るために複数のツールを必要とする手作業だ――しかし、やるだけの価値はある。マーケティング担当チームの規模が拡大し続け、マーケターの果たすべき役割が増えるにつれ、目標達成に向けてのプランを簡単に文書化できる成熟したツールを求める人が増えるだろう。
コンバージョンなどの二次的メトリクスだけを基に行動するよりも、自分たちがどのように行動しているか、どこにもっと多くのリソースを割り当てるべきかを理解しやすくしてくれる、より包括的なアプローチに対する需要が生まれるだろう。
ソーシャルもやってます!