これからのリスティング広告プレイヤーに求められる2つのスキル、成果を出し続けるために必要なこと
リスティング広告はどのように変化をしていくのか
その変化のなかで成果を出し続けるために求められるスキルとは
ここ数年でリスティング広告(検索連動型広告)をはじめとする運用型広告では、テクノロジーの進化によってプロダクトが急激に進化してきています。これらの潮流によって、リスティング広告のプレイヤーに求められるスキルも変わってきています。
「100点を狙うことができるプレイヤー」――これが求められる姿ではないかと、運用型広告を専門に実践してきたなかで筆者は考えています。そこで重要になるのは、
- ユーザーの検索意図を理解できるスキル
- 競合優位に立つためのディレクションスキル
の2つです。この記事では、これら2つのスキルついて説明し、後編で実践的な「テクノロジーとともに進化したプロダクトを活用するためのTIPS」をお伝えします。
リスティング広告プレイヤーにスキルが求められる理由
これからリスティング広告に求められるスキルとして、「検索意図を理解できるスキル」と「競合優位に立つためのディレクションスキル」の2つを挙げましたが、なぜ、これらのスキルを持ったプレイヤーが重宝されるようになっていくのでしょうか。現在の運用型広告の背景を交えながら説明をしていきます。
1. アドテクノロジーの急激な進化
リスティング広告、特にGoogle AdWordsでは、
- データフィードを広告に活用した商品リスト広告や動的リマーケティング
- Googleの持つサイトのインデックス情報を活用した動的検索広告
- 設定目標内でコンバージョンを最大化する自動入札ツールのコンバージョンオプティマイザー
など、次々とテクノロジーを活用したプロダクトが現れ続けています。
後述するGoogle AdWordsの商品リスト広告ではデータフィードが、同じく動的検索広告ではWebサイトのコンテンツが、といったように広告主の持つデータを外部データとして広告に活用できるようになってきており、これらの外部データを上手に活かす機会が増えてきています。
2. データフィードを活用した広告の出稿量が急激に伸びている
次の図は、Google AdWordsの商品リスト広告(PLA)やCriteoといった、データフィード広告の出稿額などをまとめたものです。
データフィード広告に対する出稿額やその比率、導入をすすめる広告主の数は期を追うごとに成長し続けており、今後もデータフィードを活用した広告が、さらに重要視され続けることが容易に想像できます。
リスティング広告運用自動化の流れ
ここまでの背景を踏まえ、本記事のテーマであるリスティング広告、そしてリスティング広告におけるデータフィードの活用といった点に視点を移してみましょう。
図2はGoogleの検索結果の例です。赤色の部分が従来のリスティング広告、緑色が商品リスト広告です。商品リスト広告は、従来のリスティング広告と重複して広告を掲載できます。つまり、商品リスト広告は、単純に広告の占有率を高めることが見込めるプロダクトだといえます。
商品リスト広告は、入札キーワードの設定が不要のいわゆるキーワードレスな広告プロダクトです。広告表示の仕組みは、Google AdWordsと紐付けられたGoogle Merchant Centerに登録されている商品の中から、検索語句に最も関連した商品が選出されるというものです。そのため、先述したように入札キーワードの設定を行う必要がありません。
Google AdWordsには、商品リスト広告と同様に、キーワードレスでリスティング広告を出稿できる「動的検索広告」というプロダクトが存在します。図2で、商品リスト広告が緑色で囲んだ広告枠に広告が表示されるのに対して、動的検索広告では赤色で囲んだ従来のリスティング広告の広告枠に広告が表示されます。
動的検索広告を一言で表すと、Googleがクロールしてインデックスしたページのコンテンツ内容を基にして、動的に広告を生成するという仕組みです。検索語句と最も関連性が高いと判断されたページをランディングページとした広告を動的に生成できるため、運用者が想像もできなかった検索語句や対応漏れなどで拾いきれなかった検索語句をカバーすることが可能です。
ここで、従来のリスティング広告、商品リスト広告、動的検索広告を仕様という点で比較してみます。
― | 従来のリスティング広告 | 商品リスト広告 | 動的検索広告 |
---|---|---|---|
入札キーワードの設定 | 必要 | 不要 | 不要 |
広告表示のトリガー | 検索語句と一致もしくは最も関連性が高い入札キーワード | 商品フィードの中で検索語句と最も関連性が高い商品 | インデックスされている広告主サイトのページ群の中で、検索語句と最も関連性が高いページのコンテンツ |
図2で広告が表示される場所 | 赤枠 | 緑枠 | 赤枠 |
この表1で注目すべきは、「商品リスト広告」と「動的検索広告」の両方のプロダクトを活用すると、事実上、キーワードレスでアカウントが運用できるという点です。
商品リスト広告はその名の通り、小売業向けのプロダクトではありますが、2014年秋にすべての業種でデータフィードを活用した動的リマーケティングがローンチされていることから、全ての業種でデータフィードを活用できるリスティング広告が登場するのも時間の問題と思われます。
さらに、指定したコンバージョン単価の中でコンバージョンの最大化を目指す「コンバージョンオプティマイザー※1」による自動入札の精度も高まってきており、これらのテクノロジーを組み合わせた自動化運用だけでも70点~80点をとれる時代に差し掛かってきています。
※1 2015年9月末現在では商品リスト広告でコンバージョンオプティマイザーはまだ利用できません。
求められるのは100点を狙えるプレイヤー
前項でデータフィードとテクノロジーの活用により、今後は自動化だけで70点~80点は取れる時代になるだろうと話しました。前述の理由から、今後は100点を狙うことができるプレイヤーは大変重宝される時代が到来することは間違いなく、今が100点を目指すスキルを身につけるチャンスだと言えます。
そこで必要になるのが、冒頭でも紹介した、リスティング広告のプレイヤーに今後求められる2つのスキルです。2つのスキルについて、より具体的に説明しましょう。
1. 検索意図を理解できるスキル
Googleは、消費者に「何かをしたい」という意図が生じたとき、すぐに目の前にあるデバイスを使って調べる・買うといった行動を起こす瞬間を意味する「Micro-Moments」を活かそう※2と提唱しています。
※2 Google と考える Micro-Moments(1):マーケターにとって見逃せない瞬間「Micro-Moments」とその活かし方より。
たとえば、「プリンター 故障」という検索語句で検索された場合を考えてみます。この消費者の検索意図はどういったものでしょうか。この質問をしたときの回答として「プリンターが故障したので修理の方法や修理をしてくれる業者をさがしている」というものがよく聞かれますが、残念ながらこの回答は間違いです。
この消費者の検索意図としては「印刷がしたい」が正解です。印刷がしたいからプリンターの故障をなんとかしたいのです。現在のテクノロジーでは、まだ検索語句から検索意図までをこのように読み解ける力はありません。だからこそ、検索意図を正しく読み解くことができるプレイヤーは必ず重宝されます。
ちなみにこの例では解決策として、
- プリンター修理サービスの利用
- プリンターの買い替え
- データを持ち込んでオンデマンド印刷をする
などが考えられます。1つの悩みに対する解決手段は必ずしも1つではないことは理解しておきましょう。
2. 競合優位に立つためのディレクションスキル
商品リスト広告や動的リマーケティングのほかCriteoにも当てはまりますが、これらは商品画像を用いるプロダクトであることから、広告をクリックしてもらえるような商品画像を用意する必要があります。
ここで1つ例を挙げてみます。消費者が32型液晶テレビの購入を検討していて、図5の検索結果を見た場合、この消費者はどの商品を選ぶでしょうか。
恐らく「32V型」と商品名に明記されているものは選択肢のうちに入ると思いますが、サイズの異なる「19V型」や32型かどうかわからない商品については、選択肢に入らない可能性が高いでしょう。特に家電製品の場合は、商品外観だけでは差別化が図れないケースが多く存在します。
次の図6は、前述の液晶テレビと同様にGoogleで「エアコン 6畳用」と検索した場合の商品リスト広告です。こちらは図5の例と違って、商品画像をうまく使って「この商品の特徴は何であるか」を表すことができています。
このように商品画像を活用する場合、商品画像に関わるポリシーと照らしあわせて、問題のない範囲で、競合する広告主よりも選ばれる画像を制作するためのディレクションを行う必要があり、これは自動化することはできません。仕組みとルールを知り、検索意図も理解できるプレイヤーだけが競合優位に立つことができる商品画像をディレクションできるのです。
テクノロジーの進化によって、データフィードの広告への活用やリスティング広告におけるキーワードレス化が浸透し始めてきています。テクノロジーの流れは不可逆で、活用しなければまわりから取り残されてしまいますが、テクノロジーと寄り添っていち早く活用することで競合優位に立つこともできます。
現状維持は衰退とも言われるように、今までと同じやり方で終わってしまうプレイヤーは、テクノロジーの波に飲み込まれてしまうことになるでしょう、新しいものを一方的に毛嫌いするのではなく、まずは実践してみるという姿勢も大切だといえます。100点を狙えるプレイヤーを目指しましょう。
今回の前編ではどのようなスキルが求められるかに着目しましたが、後編では、テクノロジーとともに進化したプロダクトを活用するためのTIPSを紹介します。
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