【レポート】Web担当者Forumミーティング 2016 Autumn

自動入札って使うべき? なぜ? どう?

自動入札って使うべき? なぜ? どう?

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ヤフー株式会社
マーケティングソリューションズカンパニー デジタル広告営業本部
パートナーディベロップメント2部 セールス2
マネージャー
富岡 拓海氏

富岡 使うべきではと考えています。特にスポンサードサーチのような検索連動型広告では、キーワードをどんどん追加していくとアカウントがどんどん肥大化していきます。

本来ひとつひとつのキーワードに対してクリエイティブも入札も細かく指定するべきですが、限られたリソースでは限界があると思います。

さらに、時間帯やマーケットニーズを汲み取ろうと思うと工数がかかってしまうことがあるのではないでしょうか。

自動入札を使えば、マーケットデータを元に適切なキーワードを適切な価格で機械が自動的に入札してくれます。

特に力を入れてやりたいところにリソースを投下するためには、自動入札をうまく使っていく必要があると感じます

  クリエイティブを見つつ、膨大なキーワードに対してひとつひとつていねいな価格帯を導いて設定しようとすると、それだけで日が暮れてしまいます。

自動入札を使うべきだというのはわかりますが、Adwordsとスポンサードサーチでは機能的に異なる点もあると思います。

スポンサードサーチの自動入札機能を使う場合の工夫やノウハウといったものを教えてください

富岡 データの統計優位性を保たせディープラーニングを行う必要があると思います。

そのために、スポンサードサーチでも構造をシンプル化すると良い傾向にあります。今まで分散していたアカウント構造やプロモーション構造をまとめて、データの集約を行ったうえで、あとは機械の学習に任せれば、機械が質の高いターゲティング、入札設定を実現してくれます。

  自動入札はどのようなものに使うかで効果が180度変わるととらえています。

どういったデータをインプットするかというのももちろんですが、不必要なデータをきっちり外すことも重要です。また、どのようなグルーピングに対して、どのような目標設定をするかによっても動きが変わってきます。

弊社の事例を見ていくと、最初は低めの目標値にしながら徐々に高くしていくケース、逆に最初は高めに設定しておいて、徐々に下げていくほうが成功するというケース、どちらもあります。

また、アカウントにおけるキーワードの数、いわゆるビッグキーワードとテールキーワードの獲得値の比率がどちらに寄っているかによっても、最初の目標設定が変わってきます。

なんとなく機械がやってくれるんだろうと任せてしまうと自動入札はうまくいきません。

ブラックボックスではありますが、アルゴリズムを極限まで理解したうえでアカウントに対して最適なやり方を探っていくことが重要です。

ツール自体は有用ですが、使い方を誤ると暴走してしまうこともあるということです

富岡  データをたくさん入れるというのは、あくまでも参考書を渡しているにすぎません。ご理解いただきたいのは、参考書を買っただけでいきなり頭がよくなるわけではなく、学習までには時間がかかるという点です。

早ければ2週間程度で効果がでてきますが、長い時は1か月ほど安定しない場合もあります。

導入する際は、短期的な挙動に捉われず様子を見ていただければ幸いです

  ヤフーでもGoogleでも、「最初の1か月はがまんしてください」と言われますね。

ただ、代理店の立場からすると、お客様のことを考えて1か月は放置できないだろうというのが本音ではあります。

試行錯誤した結果、最初は過去のデータが少ないため、いろいろなことを試しつつ最低でも1週間は様子をみなければいけないというのが社内共通の見解です。

それでもだめなときは、目標値やグルーピングの設計を組み換えたりいろいろなことを試しますが、やはり1か月待つのは厳しいと思っています

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媒体社は何を自動化する? 代理店は何を自動化する?

富岡  短期的にはヒトをどう捉えるかの自動化ではないかと思います。ターゲティング設定、時間帯、どの枠でアプローチするのか。このあたりは人の手を介さなくても、自動化できるところではないかと思っています。

中長期的には、クリエイティブをどうするかが焦点になってくると思います。

パターンの組み合わせで生成するなら容易ですが、パターンなしでクリエイティブをイチから作るのは、相応の技術力や時間が必要になってくるのではないかと思います。

また、オフラインのプロモーションとオンラインをどうつないでいくのかという課題もあります。

データでつなげない文脈のあるところは代理店の力を借りながらしっかり設計していく必要があると思います

  「クリエイティブがこういうふうに自動化されればもっとおもしろいのに」といったアイディアはありますか?

富岡  素材を用意してもらい、出し方をパターンに応じて実際の掲載結果画面にあてはめていき、一番いいパターンを使って効果を最大化していく「ダイナミックバナー」と呼ばれる仕組みは、すでに各媒体社がやっています。

この先は、フォーマットが動画素材になったとき、そのクリエイティブをどう生成していくかもポイントになると思います。

近い将来、素材ゼロから動画を作るといった世界が来たら面白いですね。

  広告代理店の観点からは、「パターン化」や「ルール化」というキーワードが大事だと思っています。

たとえばEC、飲食店、ホテルなど店舗名や商品名が変更されることが多いクライアントでは、データベース上で変更しても広告などにうまく反映されないことも多く、クレームにつながります。

このようなことを防ぐためには、データベースといろいろなものを接続したうえで、内容が更新されたら掲載内容も更新するという処理や置き換えのルールを設定していく必要があります。データベースと連動したルール設定は今後自動化していけるだろうと考えています。

また、異常値がでたときのアラートなども自動化されていくでしょう。

そうなると広告代理店の仕事はなくなっていくのでしょうか。

わたしはそうは思いません。飛行機の運転は基本自動運転ですがパイロットは必ず乗っています。パイロットの役割は、なにかが起こったとき、ちょっとした微修正を機械に与えることです。この先いろいろ自動化されていっても、すべてを機械に任せるという時代にはならないと思います。

正しく動いているかどうかのモニタリングや、そうでない時に少しでも早く軌道修正を行うことが広告代理店の役割になると思います。

「飛行機のパイロット」や「教習車に乗っている教官」のような役割こそが広告代理店が提供できる付加価値になるかなと感じています
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