読まれる文章には「ゴール設定」と「ターゲット設定」が重要(第1回)
連載筆者の中野氏に学ぶWebライティング講座が2020年10月14日(水)に開催されます。
文章を書くのがうまくなりたい!
とつぶやいた友人に私は、次のように言い、その方法を教えました。
次々に読まれる文章を書くコツ、教えてあげるよ。
そのアドバイスを注意深く聞いていた友人は、後日、興奮して報告してくれました。
文章を書くのが本当に楽しくなってきた。ブログのPVも3倍になっちゃったよ。ありがとーっ!
私が何を伝え、彼がいったい何をやったのか? これから4回の連載で、「次々読まれる文章を書くコツ」を解説していきます。1回目の今回は、次の3つについて紹介します。
- 文章を書くとき「ゴール設定」していますか?
- その文章は「誰」のために書いていますか?
- 文章を一気に書こうとしていませんか?
文章を書くときゴール設定していますか?
文章を書くとき、「どう伝えようか?」という自分への質問とともに、“あなたが書きたいこと”を書いていませんか?「そんなのあたりまえだろ!」と怒られてしまうかもしれませんが、それではダメなんです。
「どう伝えるか?」よりも重要なことがあります。それは、「どう伝わるか?」です。なぜなら、前者は主役が自分なのに対して、後者は相手(読み手)が主役となるからです。
日記などのパーソナルなものを除いて、文章は基本的に読み手ありき。だからこそ、「どう伝えるか?」よりも「どう伝わるか?」の方が重要なのです。
しかし、「どう伝わるか?」でもまだ不十分。それよりも大切なことがあります。それは、「相手に伝わって、その相手の感情や行動がどのように変化したらいいか?」というゴールを設定することです。
読み捨てられる文章ではなく、あなたの文章が共感され、意味を持つためには、それが相手の感情や行動を変化させ、相手とあなたが今より少しでも良くなること、あるいは「読んでよかった!」になることが大切です。
文章を書くことによって、あなたが得たいゴールを設定することが重要です。しかし、仕事やビジネスにおいては、当たり前のようにするゴール設定が、「文章を書く」ときには、すっかり忘れ去られてしまうのは、驚くことです。
ちなみにこの記事にも「ゴール設定」があります。「この記事の内容があなたに伝わって、あなたの感情や行動がどのように変化したらいいか?」という質問に対する私の答えは、「文章作成がふっと軽くなり、いますぐ文章を書きたくなってほしい」です。
文章を書く前にゴールを決める。まずは、これを意識してみてください。
その文章は誰のために書いていますか?
前段落で設定したゴールの「相手」、つまりあなたの文章を読んでほしい「ターゲット」を誰にするかによって、ゴールは同じでも文章が変わります。
ちなみに、この記事のターゲットは、文章が苦手な人です。もっと具体的には高校の国語の成績が「2」だった人(過去の私)です。このターゲットが文章の苦手な小学生だとしたら、ゴールは同じでもまったく異なる文章になることは想像の通りです。
次に、ターゲット設定の方法について詳しく説明していきます。
ターゲット設定にペルソナは使わない
ターゲット設定には、「ペルソナ」という象徴的なユーザーモデルを想定する方法があります。
ペルソナとは、サービスや製品、Webサイトのユーザーを調査し、その結果を分析・統合した架空の人物像です。実在する個人を指すものではなく、ユーザーを代表するモデルですから、ペルソナを使えば文章を読む相手を明確にイメージができます。
しかしながら、私はペルソナを推奨していません。なぜなら、自分の都合が介在しないペルソナを作ることは、良い文章を書く以上に難しいからです。ペルソナは自分の都合によってカメレオンのように変化してしまっては意味がありません。
そこで、簡単で効果的な方法として、私自身が使っているのは、その文章を読んでほしい理想の読者として、具体的なひとりを設定することです。
具体的なひとりとは、「実在するあなたが知っている人」です。
パッと思い浮かぶ人もいらっしゃると思いますが、ターゲット設定のための3ステップを書いておきます。
- その人があなたの文章を読んでくれたら、先に設定したゴールを達成できそうな人を選択します。
- あなたはその人が好きですか?(もしくは嫌いじゃない)
イエスなら「3」へ、ノーなら「1」へ戻る。 - あなたの文章を読んでその人はハッピーになりそうですか?
イエスならターゲットは決まりです。ノーなら「1」に戻る。
ターゲットには、好きな人(嫌いじゃない人)を選びましょう。そうすることで、相手に伝わりやすく、思いを寄せた文章を書きやすいからです。
ターゲット設定を忘れないために名前を入れて文章を書く
せっかく設定したターゲットも忘れてしまっては意味がありません。そうならないためにも、私がおすすめしている方法は、ターゲットの名前を文章中に入れながら書いていくことです。
実名を入れて文章を書くことで、常にターゲットをイメージしながら文章を書けます。書き終わったら、「その人の名前」→「あなた」と置換することで、誰もが読める文章になります。
ターゲット設定の盲点
より多くの人にあなたの文章(コンテンツ)を届けようと思ったとき、あなたがその道のプロフェッショナルであるほど、気をつけなければならないポイントがあります。
それは、情報(コンテンツ)の内容を深めれば深めるほど、その内容を求める人は比例して減っていくということです。
一般的にある情報について「知識の深さ」と「人口」の関係は、次のピラミッドのように表されます(情報配信ピラミッド)。
あなたが専門的な情報配信をすればするほど、それを求める人(理解できる人)は反比例しながら減っていくのです。逆に、深い知識を求める人からは、強い共感を得やすくなります。
つまり、どれだけ深い内容にするかは、どのくらいの広さの人に情報を届けたいかによって決めるべきなのです。
多くの人に情報を届けたいのに、自分にとっての当たり前が深まり、専門的になっていることに気づかないまま情報配信を続けて「どうしてわかってくれないんだ」というジレンマに陥っているとしたら、このミスマッチが原因です。
情報配信を続けていくと、「こんなこと当たり前すぎて書くのが恥ずかしい」といった感情になることもありますが、あなたにとっての当たり前が、相手にとっての当たり前とは限りません。むしろ、その逆の方が多いでしょう。
- 多くの人に情報を届けたいのか?
- 限られた人に深く情報を届けたいのか?
「誰に届けたいのか?」という対象を意識しながら、情報の深さ(専門的 ⇔ 入門的)を選択するようにしていきましょう。
文章を一気に書こうとしていませんか? 3ステップで楽に文章作成
「文章を書こうと思うと気が重い人」や「書くことに苦手意識がある人」には、文章を一気に書こうとする傾向があります。
具体的にいうと、
- 文章の内容を考えながら、
- 文章構成にも気を配り、
- 表現豊かな文章を書く
といった3つすべてを同時にやろうとしているのです。
あなたはいかがでしょうか?
一見、効率的に思えるこの並行作業が混乱を生み出し、目の前をまっ白にしてしまうのです。しかも、まるでハンコを押すように、ポンと1回で文章が完成するものだと思っているなら、その前提はあなたの文章上達をことごとく妨害し、混乱させます。
文章を書くには、先の手順を一気にやるのではなく、分解して一つずつクリアしていくことで格段に書きやすくなります。
そこで、3ステップで楽に文章作成する方法を紹介します。この方法を使えば、文章がスラスラ書けるだけではなく「共感」され、最後まで読んでもらえるようになります。
- ステップ 1:「内容(メッセージ)」をとにかく出す
- ステップ 2:「文章構成」だけを考える
- ステップ 3:「文章表現」にこだわりすぎない
ステップ 1:「内容(メッセージ)」をとにかく出す
設定したゴールを達成するためには「相手が何を知りたいのか?」という基本に立ち戻って、「内容(メッセージ)」を考えます。このとき、「良い」「悪い」などの判断はせず、とにかく出していきます。
この記事のゴールは、「文章作成がふっと軽くなり、いますぐ文章を書きたくなってもらう」です。「そのために相手が何を知りたいのか?」という問いの答えは、「具体的な文章作成ノウハウ」です。
たとえば、この記事を例にしてみると、具体的な「文章作成ノウハウ」として、思いつくものを下記のように、箇条書きでとにかく出します。
- 文章作成の3ステップ
- 文章作成のテンプレート
- ゴール設定
- ターゲット設定
- ターゲット設定の盲点
- ペルソナについて
- iEmpathy
- タイトルや書き出しのコツ
大切なのは、この時点では、文章構成(伝える順番)や文章表現、実際に使うかどうかは考えないことです。1人ブレインストーミングでアイデアを次々に出していくように、思いついたトピックをとにかく出していきます。
これが次のステップ「文章構成」をしていく際の「文章素材」になります。
ステップ 2:「文章構成」だけを考える
相手に共感してもらう文章を書くためには、もちろん「内容(メッセージ)」が、もっとも重要です。では、それと同じくらい重要なのは「文章構成」と「文章表現」のどちらでしょうか?
答えは、「文章構成」です。
どういった表現で伝えるか? も大切ですが、共感され読まれ、結果につなげるには、まずは「どういった順番(文章構成)で伝えるか?」に、より重きを置くべきです。実は、うまくいかない「文章構成」には、あるパターンがあります。それは「書き手の言いたい順、伝えたい順番になっている」ことです。
あなたの文章が最後まで読まれ、結果を出すためには、逆のことをすればいいのです。
“あなたが言いたい順番”で文章を構成するのではなく、“どういう順番で、読み手が知りたい(読みたい)のか”という「視点の反転」を文章に取り入れましょう。
「文章構成」は、結果を出す文章にするために極めて重要です。今回だけでは語りきれませんので、次回に、詳しく実践編として具体的な3つの「文章構成のテンプレート」を紹介します。
ステップ 3:「文章表現」にこだわりすぎない
「文章を書けるようになりたい」と思ったとき多くの人は、魅力的で、反応を得られる「文章表現」を学ぶことに、多くの時間を使います。
しかしながら、表現にこだわりすぎると、テクニカルな文章になり、相手に不快感をあたえてしまうことさえあります。あなたもそんな文章を読んで、不快になった経験があるかもしれません。
あなたが手っ取り早く結果を出したいのであればステップ 2でお伝えした「文章構成」にこだわってください。そして、周りのライバルが、「表現」を身に付けるために膨大な時間を費やしているうちに、読み手の知りたい「文章構成」を意識して、手早く結果を出してください。
まとめ
最後に、今まで説明してきた内容をまとめます。振り返りに活用してください。
- 文章を書くときゴール設定していますか?
- 「相手に伝わって、感情や行動がどのように変化したらいいか?」というゴール設定を文章作成前にする
- その文章は誰のために書いていますか?
- ペルソナではなく、実在する具体的なひとりを設定する
- 文中にターゲットの実名を入れるとイメージしやすくなる
- 情報配信ピラミッドのどこに届けたいかを考える
- 文章を一気に書こうとしていませんか?
[3ステップで楽に文章作成する]- ステップ1「内容(メッセージ)」をとにかく出す
- ステップ2「文章構成」だけを考える
- ステップ3「文章表現」にこだわりすぎない
次回は、文章構成のテンプレート「SDS法、PREP法、穴埋め文章作成法」を紹介します。
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