定期購入事業者は知らなきゃマズい「改正特定商取引法」改定のポイント【事例あり】
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
「平成28年改正特定商取引法」(2017年12月施行)ではいくつかの大きな改定があり、EC事業者が知っておかなければならないのが、定期購入契約について、支払総額や契約期間などの販売条件を明記することが義務化されたこと。消費者庁が購入条件を明確に表示せずに申し込みを誘導する定期購入への対応を強化したものなんです。EC事業者が知っておくべきこと・順守しなければならないことなどをまとめました。消費者庁の情報と合わせてお読みください。
定期購入の申込ページに表示しなければならない内容と表示方法とは?
定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化(施行規則第8条第7号等)
「平成28年改正特定商取引法」では、いわゆる定期購入契約に関し、通信販売の広告やインターネット通販における申し込み・確認画面上に、下記の2点を明示することが義務付ました。
- 定期購入契約である旨、および金額(支払代金の総額等)
- 契約期間その他の販売条件(それぞれの商品の引渡時期や代金の支払時期など)
これは、健康食品や化粧品などの通信販売において、「“初回お試し500円”というコピーにひかれて申し込んだが、実際は1年間の定期購入コースへの加入が条件で、思った以上の料金を請求された」といった相談が急増したことを受けての改定です。
趣旨としては、顧客の意に反して売買契約の申し込みをさせようとする行為を禁止するものです。
「支払代金の総額」について、「1か月に1箱(○○円)」と決まっていない商品でも、半年または1年の消費量から、目安となる金額を明示する必要があります。以下に良いとされる例・悪いとされる例を示します。
良い例①のポイント
申し込みの最終確認画面に消費者が締結することになる定期購入契約の主な内容(契約期間または商品の引き渡しの回数、消費者が支払うことになる金額(各回の商品の代金、送料、消費税などの総額)がすべて表示され、その画面上で「注文を確定する」といったボタンをクリックして初めて申し込みが確定する。
良い例②のポイント
「内容を確認する」といったボタンをクリックすることにより、定期購入契約の主な内容のすべてが表示され、この操作を行って初めて申し込みが確定する。
悪い例①のポイント
申し込みの最終画面に定期購入契約のすべての内容が表示されていない。または、容易に認識できないほど離れた場所に表示されている。
悪い例②のポイント
申し込みの最終画面に定期購入契約のすべての内容が表示されていないか、容易に認識できないほど離れた場所に表示されており、「注文内容を確認する」といったボタンの設定や、「ブラウザの戻るボタンで前に戻ることができる」旨の説明など、契約内容を確認、または訂正するための手段が提供されていない。
定期購入契約に関する各事業者の取り組み
実例として、消費者庁のインターネット消費者取引委員会の配布資料より、ファンケルと「Rakuten RAXY」(楽天ラクシー、運営は楽天)の取り組みをご紹介します。
ファンケル
ファンケルでは健康食品とサプリメントの定期便「健康・得楽便」において、電話の場合はトークスクリプトの中に定期サービスであることや次回のお届けについて伝えるように徹底。ネットでは「ご利用ガイド」やFAQ、利用規約を設け、利用者がサービスについて調べやすい工夫をしているほか、下記のタイミングで繰り返しサービス内容を案内している。
Rakuten RAXY
コスメの定期購入サービス「Rakuten RAXY」には1か月プランと3か月プランがあり、解約手続きが行われなければ自動更新される。意図しない購入を防ぐために、プラン選択ページ、最終確認画面、メールやマイページでプランの詳細と解約について案内している。
また、利用者からの解約や住所変更についての問い合わせが多かったため、下記のような改善を行った。
まとめ
「平成28年改正特定商取引法」のガイドラインではECの定期購入の表示例を示していますが、施行規則の対象はカタログ通販やテレビ通販なども含んでいます。通販ビジネスに全般に対する規制なんです。
皆さん、数年でECビジネスに対する行政の規制強化が少しずつ強まっているのはご存知ですか?
記憶に新しいのが、消費者契約法・特定商取引法の見直し。「『勧誘』に広告を含めるようにし、不当勧誘にもとづく取消権(注文キャンセル)をECサイトでも認めるべきではないか」という「勧誘概念の拡大」が議論されました(結局は法律に盛り込むことは見送られることになりましたが、継続的に議論されています)。
こうしたことを含めて、法改正の動向を注視すると同時に、業界全体で問題を改善していかなければ「法律でビジネスががんじがらめにされてしまう」可能性はゼロではないということを知っておきましょう。
「平成28年改正特定商取引法」は、ECビジネスの台頭によって増加している悪質な定期販売事業者を排除することが目的にあります。
「平成28年改正特定商取引法」に関する行政の情報をまとめましたので、ぜひぜひ目を通してください
- 平成28年改正特定商取引法について消費者庁による解説(消費者庁がHPで用意したPDFが開きます)
- インターネット通販における「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に係るガイドライン(消費者庁がHPで用意したPDFが開きます)
- 特定商取引法の条文(特定商取引法ガイド)
- 定期販売についての企業事例、アンケート結果など(第27回インターネット消費者取引連絡会の資料)
オリジナル記事はこちら:定期購入事業者は知らなきゃマズい「改正特定商取引法」改定のポイント【事例あり】(2018/03/22)
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