グーグルのSERP機能で奪われたトラフィックを取り戻すための、原因別SEO戦略と基本方針【後編】
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。トラフィック減少の原因を探る方法を紹介した前回に続いて、後編となる次回は、それぞれの原因別に対応策を見ていこう。→ まず前編を読んでおく
オーガニック検索1位をキープしていてインプレッション数が変わっていないのに、グーグルのSERP機能によって検索トラフィックが減ってしまっているときに、SEO担当者はどうすればいいのだろうか?
この記事では、トラフィックを奪われている原因のSERP機能ごとに、どのように対処すればいいかを解説している。
さらに記事の最後では、今後SERPが変わっていってもあわてなくていいSEO方針の根幹についても解説しているので、最後まで読んでほしい。
グーグルのSERP機能で奪われたトラフィックを取り戻すSEO戦略
グーグルのSERP機能に奪われてしまったトラフィックを完全に元に戻すことは、現実的には厳しいかもしれない。
しかし、できることはあるはずだ。対応としてとれる戦略は、トラフィック減の原因となったSERP機能に応じて異なるので、それぞれを以下に示す。
- Accelerated Mobile Pages(AMP)
- 強調スニペットと「他の人はこちらも検索」ボックス
- ローカルパック
- 有料広告
- Googleショッピング
- ナレッジパネルとカルーセル
- Googleしごと検索
グーグルを出し抜くために、入札してみたことはあるだろうか?
特に有料広告のせいでオーガニック検索トラフィックを失っている人のための対処法は後ほど解説するが(残念なお知らせ:おそらく料金を支払わなければならないだろう)、グーグルのSERP機能を出し抜く戦術として有料広告が有効であることは知っておいてほしい。
たとえば、格安航空券の比較サイトであるスカイスキャナーは、「flights」(フライト)というクエリに検索連動型広告を入札している。Googleフライトのウィジェットの上に広告を表示させるようにすることで、トラフィックを取り戻す戦略をとったということだ。
とはいえ、あらゆる状況で有料広告を使うわけにはいかないだろう。トラフィック減となった原因のSERP機能ごとに、対策を解説していく。
AMP(Accelerated Mobile Pages)が原因でトラフィックが減った場合の対策
AMPはグーグルが推進しているプロジェクトで、モバイルページの高速化を目的としたものだ。サイトでAMPを実装することは、グーグルのSERPが変化し続けるなかで(実質的な)検索順位を向上させる1つの方法かもしれない。
自分が重視しているSERPの1ページ目に、他のウェブサイトが実装したAMPページが表示されてしまっている――そんな状況があるのならば、自社でAMPを採用できないか検討してみる価値はあるだろう。
ニュースサイトを運営しているなら、AMPの実装は絶対に必要だ。
強調スニペットと「People also ask」ボックスが原因でトラフィックが減った場合の対策
狙っているSERPにおいて競合相手が強調スニペットを獲得しているせいでトラフィックを失っている場合は、コンテンツを最適化して強調スニペットを勝ち取る必要がある。強調スニペットを奪い取る戦術については、すでにDistilledブログで記事を書いたことがあるので、こちらを読んでほしい。
まとめると、強調スニペットを勝ち取るチャンスがあるのは次のような場合だ。
狙っている強調スニペットに表示されるサイトがかなり変動的な場合(頻繁に変わる場合)。それは、強調スニペットのオーナーが確固とした地位を築いていないことを如実に示しているからだ。
現在のオーナーよりも自分の方が検索上位に表示されている場合は、グーグルがあなたの方を好ましく思っていることを示すので、スニペットを勝ち取るには、コンテンツの構造をいくらか調整するだけでいい。
奪い取れる可能性が高い強調スニペットを特定したら、現在のオーナーがコンテンツに施している処理で、自分がしていないことは何かを比較しよう。一般に、強調スニペットのオーナーと自分のコンテンツを分けるのは、各コンテンツに付けるテキストの見出しやコンテンツの形式といったようなものだ。
ローカルパックが原因でトラフィックが減った場合の対策
ロブ・ブッチ氏は2018年のSearchLove London Conferenceで、距離や検索意図とローカルパックの関係にまつわるデータを公開した。ローカルSEOは大きなテーマなので、ここで完全に網羅することはできないが、ローカルパックのせいで検索結果ページでのプレゼンスが下がりトラフィックが減ってしまったという人は、Googleマイビジネスのリスティング(ビジネス情報)をローカルパック向けに最適化してみるべきだろう。ローカルパックで取り上げられる方法についての詳しい手順は、ここを読んでほしい。
残念ながらあなたが取り上げられる可能性はないかもしれないが、ローカルパックに表示される可能性があるクエリならば、まずはGoogleマイビジネスで自分のサイトへのリンクを設定する必要がある。Googleマイビジネスで設定したら、NAP情報(ビジネス名称、住所、電話番号)の情報が正しいことを必ず確認しておこう。
ローカルパック内で競争しているすべての人にとって、レビューは極めて重要だ。それも高評価だけでなく、書き込まれるレビューの件数も重要だ。
さらには、グーグル マイビジネスの投稿機能を使って情報を投稿することも検討するべきだ。多くの場所でこの機能はまだ活用されていないため、競合相手の機先を制することが可能かもしれない。
有料広告が原因でトラフィックが減った場合の対策
Mozの記事でも指摘されているように、現在では、より多くのクエリで有料広告が表示されるようになっており、クエリ1件あたりに表示される広告の数も増えている。
あなたが比較的上位に表示されている検索フレーズだったのに、競合相手がPPC(クリック課金型)広告を入札するようになったためにトラフィックが減ってしまっている場合は、どう対応するのがいいのだろうか?
残念ながら、これに関して秘策はない。
自分にとって重要なクエリなら、より高い金額で入札することを検討する必要があるかもしれない(つまりグーグルに広告料を支払うということだ)。そうでなければ他のターゲットクエリに重点を移すしかない。
もしまだサイトに構造化データを含めていない場合は、含めておくべきだろう。多くの広告が表示されるSERP上で目を引く助けになるからだ。そのうえで、ブランドや製品に関する好意的なレビューを獲得する必要がある。
Googleショッピングが原因でトラフィックが減った場合の対策
有料広告と同様、SERPにGoogleショッピングのスポンサー広告ばかりが表示されているようなら、Googleショッピング広告を独自に開始する価値があるかどうかを検討する必要がある(つまりグーグルに広告料を支払うということだ)。
繰り返すが、ここでも構造化データを使うことが重要な戦術となる。Googleショッピングの広告と競争するということは、商品リスティング(「画像」「価格」「レビュー」といったユーザーを引きつける情報がSERPに直接表示される)と競争するということだ。それらと同じデータを用意する必要がある。
また、グーグルが推進しているAMPをページに実装することを検討しよう。グーグルはAMPが実装されたページを優遇していることを明らかにしているし、それだけでなく、サイトの速度向上はサイトのコンバージョン率の上昇にもつながるだろう。
AMPの実装がビジネスにとって有益かどうかを確認するには、ここで、実際に導入した他社のケーススタディを読める。
ナレッジパネルとカルーセルが原因でトラフィックが減った場合の対策
ナレッジパネルは、出現するSERPのタイプに特徴がある。「情報検索」では広範に表示されるが、コンバージョン率の高いキーワードにはほとんど表示されないのだ。
そこから言えるのは、次のことだ。
ナレッジパネルはあらゆるSERP機能のなかで最も目立つことにほぼ疑いはない。
しかし多くのサイトでは、ナレッジパネルに奪われるのは、あまり重要でないトラフィックだけだろう(コンテンツサイトや著名人の資産を算定しているCelebrityNetWorth.comのようなサイトでない限り)。
ナレッジパネルが原因でクリック数を失っている場合は、一般に簡単な答えで満足できるクエリでそうなっている可能性が高い。そうしたクエリを使うユーザーは、どちらにせよサイトからすぐに離れていったかもしれない。
では、どんな対応が考えられるだろうか?
簡単な答えでナレッジパネルを打ち負かすことはできないが、コンテンツを最適化することで、関連するロングテールのクエリに応えられる。ロングテールのユーザーは、さらなる情報を求めてオーガニック検索のリスティングをスクロールするだろう。
そうした疑問に答える詳細なコンテンツを作成し、それらのページに強力なtitle要素とmeta descriptionタグを組み込めば、SERPで目立つように表示される可能性が高まる。
場合によっては、ブランド検索クエリにナレッジパネルを活用できるかもしれない。しかし、自分のコンテンツがナレッジパネルで取り上げられる保証はないし、そこに表示される情報は自分のサイトから抽出されるわけではないため、強調スニペットのように「勝ち取る」ことができるものではない。
ナレッジパネルに表示される可能性を高めるには、構造化データマークアップを利用するか、まだそうしていない人はウィキペディアに自分のブランドのページを作成しよう。ナレッジグラフは、ユーザーが直接書き込むウィキペディアなどの既存のデータベースに大きく依存しているため、自分のブランドや関連する個人ブランドのウィキペディアページを増やすことは、機会を探る道の1つになるかもしれない。
Search Engine Journalは、これら両方の戦略を実装する方法についていくつかヒントを示しており、ブログ記事では他にも情報を提供している。
Googleしごと検索が原因でトラフィックが減った場合の対策
Googleしごと検索は、リスティングサイトから膨大な量のオーガニック検索情報を抽出している。競争するのは厳しいだろう。しかし、特にニッチな求人サイトを運営しているのならば、利用できる戦略はある。
具体的には、デジタル戦略を次のような方針に変更するというものだ。
より多くの有料広告を組み込むことでグーグルの情報より上に表示されるようにする。
ニュースサイトやヘルプフォーラムなど他の領域でコンテンツが生成されたりするようにする。
これらの戦略を取り入れる方法に関する詳細は、Search Engine JournalによるGoogleしごと検索のサバイバルヒントで確認できる。
まとめ
私たちSEO担当者にとって、グーグルがSERP機能を充実していることが朗報だと言えば嘘になる。オーガニック検索トラフィックの獲得は、今後ますます難しくなっていくだろう。
しかし、まるっきり悲観的というわけではない。2018年9月にBrightonSEOでの講演でランド・フィッシュキン氏が指摘したように、未来を見据えてインテリジェントなSEO戦略を策定すれば、真の混乱が生じたときに先回りしておくチャンスが得られる。
また、SEO戦略と他の媒体の統合にも着手する必要がある。ソーシャルメディアや有料広告など、ブランドの認知度を高める戦術に向けた最適化について教育を受ける必要がある。オンラインマーケティング戦略の適応性や多様性は、高ければ高いほどいい。
グーグルは今後も絶えず賢くなっていく。つまり、私たちも賢くなっていく必要があるということだ。
最後に、ジェイソン・デマーズ氏の言葉を引用しよう。
SEOを「検索順位のトップを目指して腕をふるう能力」と定義するなら、SEOは死ぬだろう。
しかし、「検索結果におけるウェブサイトのビジビリティを高める手法」と定義するなら、SEOは決して死なない。進化し続けるだけだ。
検索は、現代のほぼあらゆる業界と同様、これからも常に予想外の劇的な変化に直面するだろう。しかし、検索の重要性は今後も増すばかりだ。検索結果のトップにたどり着くまでの道のりは今後ますます険しくなるかもしれないが、常に挑戦する必要があるし、グーグルはこれからもユーザーに役立つコンテンツに見返りを与えてくれるだろう。
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