Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

Googleマップ最適化でビジネス拠点以外でも検索上位を獲得する方法(地方地域&州&全国編)

後編となる今回はローカルの範囲を超えて、「地方地域レベル」「州レベル」「全国レベルと国外」のランキングについて見ていこう

この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。「ハイパーローカル」と「ローカル」のランキングについて説明した前回に続いて、後編となる今回はローカルの範囲を超えて、「地方地域レベル」「州レベル」「全国レベルと国外」のランキングについて見ていこう。 →まず前編を読んでおく

ローカルSEOで、ビジネスのある地域より広い範囲でランキングを獲得するには、どうすればいいのだろうか? 「地元」「市区町村」「群」「都道府県」「全国」それぞれ向けにローカルSEOのシナリオと戦略を解説する。

グループ3
地方地域(郡レベル)向けのローカルSEO

対象: 米国 カリフォルニア州 マリン郡

地方地域(郡レベル)向けローカルSEOの
シナリオ

通常は、ここで初めて本当に大きな障害に直面し、心から疑問を抱くようになる。

La Tortilleriaは、店舗があるサンラファエルという都市に関連して表示される可能性は、非常に高い。しかし、商品の販売網をマリン郡全域に拡大したい場合はどうだろうか? あるいは、さらに周辺の複数の郡にわたって販売したい場合は?

競争がほとんどない状況でもない限り、La Tortilleriaがノバトやミルバレー、コルトマデラなど、近隣の都市で検索した人のローカルパックに表示される可能性は低い。では、立地している都市の外にビジビリティを拡大するには、どうすればいいのだろうか?

検索でビジビリティを高めたい範囲をこれぐらいまで広げると、あなたは「自分の都市以外でも表示させたい場合はどうすればいいか?」と聞きたくなるだろう。その場合に最も適切な対応は、次のようなことを自問することだ:

  • 自身のビジネスモデルは、複数の都市や郡での取引に適していることを正当化できるか? たとえば、A市で経営しているビジネスがB市でも表示されたら、B市の人も来店してくれるだろうと期待しているだけではないか?

    たとえば、ある歯科医に他の町から来院する患者が何人かいるからといって、そのことをベースに戦略を立てるべきではない。消費者やグーグルは喜ばない。次のようなことを自問する必要がある:

    自分は本当に、B市に商品やサービスを提供するモデルを持っているだろうか? あるいは、それ以外に、これらの近隣地域の人たちと強力な関係があるだろうか?

  • 物理的に存在していない各都市で物理的な実績を築くためにできることはあるか?

    新たな支店を開くまではできないとしても、ビジネスとして近隣の地域社会と関係を構築するために何かできることはあるか?

地方地域(郡レベル)向けローカルSEOの
戦略

  • まず、競争があまり激しくない市場であれば、ビジネスが近隣の都市でも検索上位を獲得できることもあると知っておこう。

    たとえば、マリン郡にトルティーヤを扱うビジネスが10店舗しかないのであれば、グーグルは複数の近隣地域で、ローカルパックやその先のローカル検索画面にLa Tortilleriaを表示するだろう。なぜなら、選択肢が少ないからだ。

    しかし、競争が激しくなるにつれ、純粋にローカルなランキングが都市の境界を越えるのはますます珍しいことになる。

    たとえば、ピザや衣類、自動車関連サービス、弁護士、銀行、歯医者のような業種を考えてみてほしい。地域内に多数のビジネスがあるのならば、グーグルは、ローカル検索結果一覧を表示するのにサンフランシスコ市より外に目を向ける必要はない。食い込みたい地域市場における競争の激しさを評価してみよう。

  • 自身のビジネスが郡や類似の地理的地域でかなり珍しい存在であると判断した場合は、上の「ローカル(市区町村レベル)」セクションで説明した戦略に従い、あらゆる手を尽くして、近隣の複数の都市でローカルパックにほぼ常に表示されるようにしよう。

  • 提供している商品やサービスが地域内で珍しいものではないと判断した場合は、市外のローカルパックランキングに表示されることはないかもしれない。

    その場合は、達成できない目標に手間や費用をかけて無駄にしてはならない。それよりも、目標を設定し直して、市外でのマーケティング活動は、次のようなことをターゲットにするといいだろう:

    • オーガニック検索
    • ソーシャル
    • 有料広告
    • オフラインでのビジビリティ
  • 自身のブランドが、近隣の都市と直接顔を合わせる関係を育むのに適しているかを判断しよう。

    La Tortilleriaは、郡内全域のレストランや食料品店に配達員を派遣できる。ターゲットにする地域全域の次のようなさまざまなイベントに、トルティーヤを焼く職人を派遣できる:

    • 各都市のワークショップ
    • 料理学校
    • 公立学校
    • フードフェスティバル
    • エキスポ
    • フェア
    • ファーマーズマーケット

    また、地域のイベント、チーム、組織のスポンサーになることもできるだろう。

    地域のサルサ取扱業者や、チョコレートメーカー、ケータリング業者とクロスセルができる。

    このように、特定の地域内で実際の影響範囲を拡大できるブランドリソースに何があるかを判断しよう。

  • こうした影響範囲を築くための投資を始めたら、それを宣伝しよう。たとえば次のような手法がある:

    • コンテンツを書く
    • ブログにゲスト投稿する
    • ニュースをつくる
    • ソーシャルで共有する
    • オンラインで宣伝する
    • 地域の印刷物、ラジオ、テレビメディアで宣伝する

    オフラインでやっていることに関して、オンラインで「リンク」「サイテーション」「ソーシャルメンション」を獲得し、それによって、グーグルの目から見た地域的オーソリティを高めよう。

  • 自身のブランドが、1カ所で複数の都市に対応する、従来の非店舗型ビジネス(SAB:Service Area Business)の場合は(たとえば住宅塗装会社などだ)、できることはもっとある。

    対応する都市ごとにウェブサイトのランディングページを作成しよう。ランディングページでは、次のような情報を掲載できる:

    • 各ページでその都市での実績
    • プロジェクトの特徴や顧客のレビュー
    • 地域に合わせたヒント
    • スタッフインタビュー
    • 動画
    • 写真
    • FAQ

    実店舗モデルと同様に、1カ所の物理的オフィスが複数の都市のローカルパックに表示されるかどうかは、珍しさの度合いによって決まる。

    地理的市場での競争が激しいのであれば、対応する都市のランディングページの主な目的は、ローカル検索ではなく、オーガニック検索の上位とするべきだろう。

グループ4
州規模(都道府県レベル)向けのローカルSEO

対象: 米国 カリフォルニア州

州規模(都道府県レベル)向けローカルSEOの
シナリオ

ここまで来ると、私たちが求める消費者基盤はもはや「真のローカル」とは見なされないが、それでもローカルパックが表示される場合もある

この記事で扱っているLa Tortilleriaの例でいえば、人気のテレビ番組で取り上げられてからは売上が大幅に増加した。現在では、カリフォルニア州全域で取引を増やせるように、小さなキッチンを業務用に拡張した。

これ以外の例としては、州内全域に建物の設計者を派遣する建築事務所や、州内各地でイベントを取材するフォトグラファーなどがあるかもしれない。

ここまでで取り上げていないものとして、複数の地域で事業を展開しているビジネスがある。

物理的な場所がある場合は常に、グループ1~3の戦略を見返すだけでいい。なぜなら、支店がある任意の場所で真にローカルな経営をしているからだ。

しかし、1カ所で州全体にサービスを提供しているビジネスの場合、広範なビジビリティの追求にはいくつかの疑問が生じる。

その場合は、次のことを考えるといいだろう:

  • 州規模でのローカルパックは、自身のクエリに少しでも関連しているか、それとも自身の業界にはまったく当てはまらないか?

    たとえば、カリフォルニア州で何も手を加えずに「sports arena」(スポーツアリーナ)だけを検索すると、興味深いことにグーグルのローカルパックには、ソノラからサンディエゴまで(約800kmの距離)に及ぶ3つの著名な会場が表示される。

    グーグルは、検索キーワードに対して州規模のパックを返しているのだろうか? 提供しているものがあまりに珍しければ、その中に含まれる可能性もあるのだろうか?

  • 自身のビジネスモデルは、ローカルでないクエリや、取引または採用したいと州内のどこからでも遠い道のりをやってくる顧客に本当に適しているか?

    たとえば、電気掃除機の修理店を営んでいる場合、そのような店を州規模で表示させたいと思うのは純粋に虚栄心の問題だろう。人々はそれぞれの街で、同様のサービスに簡単にアクセスできるからだ。

    しかし、もし私が、有名な舞台芸術の会社や記念碑的な博物館、世界クラスのインテリアデザインコンサルタント会社、古い電子機器の修復業者など、真に珍しいものを売り物にしている場合はどうだろう?

  • 自分がターゲットにしている検索キーワードに対して、グーグルが州規模のローカルパックを返すか、それともオーガニック検索結果だけを返すかに関係なく、ビジビリティを高めるには何ができるだろうか? 差別化するためのリソースには何があるだろう?

州規模(都道府県レベル)向けローカルSEOの
戦略

  • まず、当然のこととして、基本のローカル検索戦略を用意しよう。あなたはすでに、「ハイパーローカル」「ローカル」「地方地域」レベルで、デジタルおよびオフラインで強力な実績を築くために、上述したすべての取り組みを行っている。

  • 検索フレーズに対してグーグルが実際に州規模のローカルパックを表示する場合は、そこに含めてもらえるまでにオーソリティが高まることを願って、すでに取り上げた既知のローカルパックシグナルを強化し続けるだけでいい。

  • 検索フレーズに対してグーグルが州規模のローカルパックを表示しない場合は、ローカル検索ではなくオーガニック検索結果でのビジビリティをめぐる大きなSEOのフィールドで競争することになる。

    その場合は、次の3つの取り組みによって最善の効果を得られる可能性が高い:

    • ウェブサイト上で公開している内容を真剣に考えよう。サービスについて詳細に書くほど、オーソリティの高いリソースになれる。社内の人材を深く掘り下げて雑誌レベルの品質のコンテンツを作成し、必要に応じて外部の専門家を招き入れよう。

    • Moz Link Explorerなどのリンク調査ツールに投資することで、必要なキーワードに対して競合相手がオーガニック検索結果の上位に表示される助けになっているリンクを分析するとともに、ビジビリティを高めるにはどこでリンクを獲得するべきかを明らかにしよう。

    • 州内で最も信頼されているメディアソースを探して、そこで取り扱ってもらうための戦略を立てよう。ラジオや新聞、テレビ番組、ブログ、ソーシャルプラットフォーム、組織の出版物のどれであっても、取り扱ってもらうことで州規模での知名度を構築することだ。

  • 他のすべてが失敗して、州内全域の複数の地域でビジビリティを高める必要がある場合は、新たな場所にスタッフを配置したオフィスを開設するリソースを検討する必要がある。

グループ5
全国規模のローカルSEOと国外への対応

対象: 米国とさらに広い範囲

全国規模ローカルSEOと国外への対応の
シナリオ

ここでは2つのよくあるケースに遭遇するが、どちらもローカル検索の概念には収まらない。

  • 複数の州または全国規模で商品を展開し、カリフォルニア州以外でもナショナルブランドとして商品を流通させる準備ができている。

  • 複数の州または全国のオーディエンスに販売しているよくあるデジタルブランド(ローカル検索でもオーガニック検索でも、さまざまな場所の物理的なローカル企業より下位に表示されることに不満を募らせていることが多)。

どちらの場合も、企業が多国籍化すると、モデルの目的地が国境を越えて拡大することがある。

次のことを考えるといいだろう:

  • 自身のビジネスモデルはどういうものか? 販売しているのは、B2Bか、B2Cか、それとも両方か?

  • 必要なブランド認知を生み出すマーケティング戦略はどれか?

    最も重要なアセットはブランドのウェブサイトか、それとも他の形のオフライン広告やオンライン広告か?

    ほぼあらゆるものをEコマースで販売し、それをテレビ広告で宣伝するWayfairのような形態か? それとも、他のビジネスに流通させることで消費者に見つけてもらえるため、ウェブサイト上ではブランディング以上のことをほとんどしないPace Foodsのような形態か?

  • サービスを成功させるには、地域に合わせる必要があるか?

    La Tortilleriaがテキサスで成功したければ、精白小麦粉で特大サイズのトルティーヤを作る必要があるだろう。マクドナルドは、ハワイではスパム、ニューメキシコ州ではグリーンチリのチーズバーガーを提供している。

    各地域の言語の違いや季節性、習慣に応じて、キャンペーンを微調整する必要があるかもしれない。

全国規模ローカルSEOと国外への対応の
戦略

  • ナショナルブランドがB2Cのオンライン販売を柱にしている場合は、MozブログのEコマースSEOに関するコラムを紹介させてほしい。また、「E-commerce SEO: The Definitive Guide(EコマースSEO:決定版ガイド)」も特におすすめだ。

  • ナショナルブランドが商品の店頭販売を中心にしている場合は、ニールセンのメーカーまたはディストリビューターリソースを詳しく調べてみてほしい。さらに、MrCheckoutにもいくつか優れた記事を見つけた。

  • 国境を越えて展開する場合は、国際化SEOに関するMozの基本的な定義を読んでから、「An In-Depth Look At International SEO(国際化SEOの詳細)」と「The Ultimate Guide to International SEO(国際化SEO徹底ガイド)」を読み進めてほしい。

  • この記事では、ブランドをローカルから世界規模に成長させるためのすべての段階をカバーすることはできないが、いずれのシナリオでも共通する問題がある。それは、次のようなものだ:

    自分にとって重要なクエリに対してグーグルではローカルブランドが自分のビジネスの上位または同水準に表示されることが多い。そうした現実にどう対処すべきか。

    どこか1カ所に物理的な本社があるビジネスなら、コンテンツやリンク、ソーシャル、有料広告などのツールを自由に使って、可能な限り競争できる。

    米国唯一の有機栽培によるチューリップの球根業者の場合で見たように、希少性が最大の強みになる場合もある。

    あるいは、ひげに関するあらゆるクエリに対して表示されるこの男性の身だしなみに関するサイトの場合のように、オーソリティが最大の強みになることもある。

  • 検索結果では全国のユーザーの目に触れたいと思うだろうが、ローカルレベルと地域レベルでだれが競合相手なのかを認識する必要もある。

    そのためには、ナショナルブランドや世界的ブランドでも、ローカル検索の仕組みをある程度把握しておく必要があるかもしれない。そうすることで、ターゲット市場で強いローカルブランドを特定して調査し、オーガニック検索のSERPで対抗できるようにするとともに、時には地域のニーズや習慣に合わせてサービスを微調整していける。

  • デジタルでのみ展開しているブランドからは、次のような話をよく聞く:

    仮想サービスを国内のすべての都市で表示させたい。

    これは、圧倒的なオーソリティやブランド認知があるビジネスなら可能かもしれないが(アマゾンを考えてほしい)、設立まもない企業に向いた戦略だとは思えない。確立されたローカルブランドやデジタルブランドに対抗するためにも、数千都市をターゲットにするのではなく、いくつかの主要都市を分析するという、より妥当な目標を設定しよう。

  • 最後に、よくある全国規模のビジネスモデルで、独自の課題を抱えた興味深いケースに触れておきたい。

    このカテゴリに含まれるのは、「全国を統括する本社はあるが、顔を合わせてサービスを提供するのは従業員や契約業者」というもので、たとえば次のようなビジネスがある:

    • 個別指導ビジネス
    • ベビーシッターサービス
    • 犬の散歩代行サービス

    この場合、経営者は、次のように考えるだろう:

    労働者の自宅の住所に基づいてグーグルのリスティングを複数作成すれば、実際にはローカル化されているサービスがローカルパックに表示されるようにすることは可能ではないか?

    残念ながら、グーグルはそうした戦術を承認していない。そのため、どうしてもローカルパックに表示させたい場合、ブランドは各ターゲット地域のオフィスにスタッフを配置する方法を見出す必要がある。

    仮想オフィスは明確に禁じられているため、避けてほしい。しかし、規定の営業時間内に、グーグルで同じカテゴリの他のビジネスがどこも展開していない低料金のコワーキングスペースにスタッフを置くことを検討する余地はいくらかあるかもしれない。

    ビジネスとしてそうしたモデルがうまくいくかもしれないと判断したら、グループ1~4に戻って、ローカル検索でどこまでできるか試してみることができる。

まとめ

あなたがSEOのコンサルティングを提供する立場ならば、クライアントのオンボーディングでは、正しい期待値を設定すること以上に重要なタスクはないだろう。

クライアントのビジネスモデルに応じて可能なことを戦略の基盤にすることで、あなたの時間やクライアントの予算を最大限確保することになる。まとめると、次の通りだ。

  1. クライアントのモデルを確認する。

  2. クライアントの重要な検索フレーズに対するグーグルの検索行動を調査する。

  3. ターゲット地域におけるクライアントのサービスの競争力や希少性の度合いを測る。

  4. 競合各社を調査して、強みと弱みを明らかにする。

  5. 上記の4つの要因に基づいて、ローカル、オーガニック、ソーシャル、有料、オフラインマーケティングの戦略を立てる。

クライアントからは、物理的な所在地以外の場所で検索結果に表示させる方法を聞かれるだろうが、その答えはクライアントによって異なる。答えを見つけようと取り組むことで、エージェンシーはクライアントの市場で専門家となるだけでなく、達成可能な目標を果たす上で強力なパートナーともなるだろう。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

リードジェネレーション
リードは潜在顧客のことで、ある特定の商品、サービスに関心がありそうなユーザーもし ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]