Cookieに頼らない! 広告費を増やさずCV率アップ、入力フォーム最適化(EFO)4つのポイント
Cookie規制の強化で、これからのマーケターは「Cookieに頼らない」マーケティング施策を実行していくことが求められる。そこで、コンバージョン(CV)をアップする施策として注目されるのが、入力フォーム最適化(EFO:Entry Form Optimisation)だ。
「デジタルマーケターズサミット 2022 Winter」に、EFOツール「フォームアシスト」を手がける、ショーケースの樫木厚二氏が登壇。EFOでどのようにCV率改善を実現していくかについて語った。
サードパーティCookie規制により高まるEFOの重要性
GoogleはサードパーティCookieのサポートを2023年第三四半期に終了することをアナウンスしている。これにより、広告表示にCookieを用いるリターゲティング広告はもちろん、トラッキングができなくなるため、アフィリエイト広告やアトリビューション分析などに影響が及ぶことが考えられる。
マーケターはCookie規制の影響を受けていると感じているのか?
こうした動向に対して、マーケターはどう考えているのか。樫木氏は、イルグルムの実施した「Cookie利用制限 Webマーケティングにおける影響の調査結果https://www.yrglm.co.jp/release/8782/)」を紹介した。
これによると、「マーケティング活動の中で、Cookieの利用規制の影響を受けていると感じるか?」という問いに対し、「非常に影響を受けている」(17.7%)、「どちらかといえば影響を受けている」(26.2%)と、影響があると回答した人は43.9%にのぼったという。
どのような解決策があるのか?
一方、「どのような解決策を実施・検討しているか?」という問いに対しては、「影響がない施策やツールを検討」と回答した人が64.1%と最多だった。対策の具体例として樫木氏は、YouTube動画やSNSなどの「今までの広告以外の集客」や、メルマガなどの「既存顧客の購買行動の促進」といった施策を示した。
さらに、「サイト流入後の転換率(CV率)の改善」も、Cookieに頼らない大きな施策の1つになる。具体的には、流入ごとに合わせたLP(ランディングページ)を用意することや、サイト内の導線改善、そして、今回のセッションのテーマであるEFOだ。
EFOの重要性
入力フォームは、次のファネル図のようにCV直前の階層になる。
樫木氏は「入力フォームには購買意欲の高いユーザーが訪れるというメリットがある一方、必要情報の入力という作業を伴う箇所であるため、作業ボリュームが多いというのがデメリットになる」と述べた。実際に、CVに至るまでに50~70%が離脱している入力フォームもあるといわれる。
それだけ離脱が発生している入力フォームだが、「CVの手前の階層にあるからこそ、改善すればCVアップにダイレクトにつながる」という。改善効果が高いからこそ、EFOは重要なのだ。
EFOツールで「ページ単位」「項目単位」で離脱要因を分析できる
EFOの重要性が認識されるのに伴い、さまざまな分析機能や、入力補助・支援機能などを備えたEFOツールがリリースされている。樫木氏は「CV率を改善していくには、EFOツールの分析機能を使うことが重要になる」と語る。
たとえば、Google アナリティクスはサイト内のどのページに課題があるかを分析するのに便利なツールだが、入力フォームを分析する際には「離脱」という指標しかない。そのため、どうして離脱したかという深掘りが難しい。
一方、EFOツールは入力フォーム内のどの部分に課題があるかを分析するツールであり、「入力フォームに訪れたユーザーがなぜCVしなかったか」を分析、推測することが可能になるという。
具体的には、EFOツールではページ単位で「直帰数/率(何も入力せずに離脱したものが『直帰』と定義される)」や「途中離脱数/率(入力途中に離脱したものを『途中離脱』と定義される)」などの数字が閲覧できる。また、入力項目単位でも、「アクセス回数」「アクセス人数」「エラー数/率」「離脱数/率」などの数字が、ダッシュボード画面で閲覧可能だ。
EFOツールの分析機能を活用することで、「入力項目が煩雑で面倒くさそうだ」「数字の入力がうまくできずに離脱した」というように離脱要因を分析、推測しやすくなるのだ。
入力フォームの分析・改善の4ステップ
続いて樫木氏は、入力フォームの分析・改善の際に行っている4ステップを、具体例を示しながら紹介した。
- ページ全体分析
- 離脱ポイント発見
- 離脱要因分析
- 改善施策の実施
たとえば、とあるページで「途中離脱」が多いことがわかったとする(次図①)。EFOツールを使ってどこで離脱が発生しているかを分析したところ、「パスワード入力」の箇所での途中離脱が多いことがわかった(次図②)。さらに、パスワード項目でなぜ離脱しているのかを見ていくと「エラー率」が最多で、パスワード入力の際にエラーが多く発生し、これが離脱要因と考えられることがわかった(次図③)。
そこで、パスワード入力でエラーが多く発生している状況を改善する施策を考え、実行することにした。一般的に、パスワードの入力画面は、入力された文字列は伏せ字になっていることが多い。セキュリティの観点からこうした処理がなされているが、パスワードの文字数や文字列、文字種が多く複雑になるに伴い「ユーザーはフォームに何が入力されているかわからず、これがエラーにつながっている」と考えられる。
そこで、「入力中の文字列を明確に示せばエラー率が減るのではないか」との仮説に従い、伏せ字の入力欄の下に入力中の文字列を表示させる改善策を提案、実施した(次図④)。
CV率アップが高い改善項目とは?
では、こうしたステップをふみながら改善策を行うことで、CVが大きくアップする項目は何だろうか? ショーケースが手がけるEFOツール「フォームアシスト」では、次のような改善施策の支持が高く、効果を上げているという。
2021 人気ランキング(依頼の多かった施策)
- レイアウト変更
- 項目離脱変換
- ページ内モーダル表示
2021 改善幅ランキング(CVが大きくアップした施策)
- ステップフォーム
- 項目削減
- レイアウト変更
そして樫木氏は、このうち3つの施策例を紹介した。
レイアウト変更
たとえば、入力フォーム全体のデザインを変える「レイアウト変更」では、2021年度にCV率が4.5pt改善(122%改善)する実績を残した。
「入力フォームでも第一印象が重要。多くの色が使われていて見づらい、文字情報が多く細かいといった入力フォームの見た目を改善することで入力開始の心理的ハードルを下げ、CVにもつながる」と樫木氏は述べる。最近では「背景色は白く」「入力部分の枠は大きく」「文字情報を少なくし、入力部分をわかりやすくハイライトさせる」といった改善が好まれる傾向があるという。
項目離脱変換
続いて紹介されたのが「項目離脱変換」の施策例で、住所入力の項目で直面する「全角・半角」問題の解消を行うことで、CV率2.1pt改善(110%改善)を実現している。
全角・半角の入力文字列の制約が多く離脱が発生しやすい、あるいは、スマホで閲覧しているユーザーは、デフォルトでの入力が半角になっていることが多く、全角指定のフォームでエラーが発生しやすいことに対応した施策例である。
具体的には、カーソルアウトのタイミングで、半角で入力された文字列が自動で全角に変換されるように改善。顧客側の文字列切り替え作業をなくし、エラーが発生しないようにしたのだ。
ステップフォーム
改善幅ランキング1位だったのが「ステップフォーム」の施策だ。入力項目を少数に区分けし、ページを分けることで入力ハードルを下げ、CV率を上げようとした。
樫木氏は「ページ分割によってページ数そのものが増えるリスクはあるものの、今のところ、1ページあたりの入力負荷を軽減した方が離脱は少ない傾向が出ている」と説明した。実際にCV率は5pt~12pt改善している。
入力フォーム改善サイクルは計画的、継続的に
次に樫木氏は改善サイクルの重要性について語った。「CV率向上のためには、『分析』『報告』『設計』『実施』『検証』の改善サイクルを回すことが重要だ」と話す。
たとえば、ある金融クライアントは、入力フォームの改善を年4回(3ヵ月に1度)行ったところ、初月のCV率は42.5%だったものが、4回実施後の12ヵ月目には55.2%へと改善し、効果を上げることができたという。
「単発での施策実施では、ここまでの改善効果を見込むことは難しい」と樫木氏は述べ、計画的、継続的な改善活動がCV率向上には重要だとの見解を示した。
最後に、樫木氏は本セッションのまとめとして次の3つのポイントをあげ、「EFOツールを有効に活用しながら、EFOをぜひ成功に導いてほしい」と締めくくった。
- Cookie規制に対する施策として、LPOやEFOが選択肢の1つになる
- 特に入力フォームはユーザーの作業ボリュームが多く、離脱しやすい
- PDCAを回して継続的に改善すると効果が最大化できる
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