CDNはSEOに有利なのか?
グーグル検索SEO情報②
CDNはSEOに有利なのか?
サーバーが十分に高速なら不要だが、ほかのメリットも多い (Google SEO office-hours) 海外情報
CDN(コンテンツ デリバリー ネットワーク)の利用はSEOにプラスに作用するのだろうか? 英語版オフィスアワーでのグーグルのジョン・ミューラー氏による見解はこうだ:
ユーザーの大半が同じ国・地域からアクセスしており、サーバーが高速で、ページの表示速度も十分に速いなら、CDNを使う利点はさほどない
一方で、アクセスする国・地域によっては非常に遅くなるのであれば、CDNは速度改善に役立つ。
サーバーの反応が遅いとグーグルのクロールやインデックスにも支障が出てくる場合がある(が、支障が出るようなサイトは実際にはほとんどない)
CDN経由で配信しているというだけの理由で、SEOで有利になることはない。これは間違いない。
CDNの最大の利点の1つは、アクセスしたユーザーに物理的に最も近い場所にあるサーバーから(キャッシュした)コンテンツを配信できる点だ。大元のサーバーへの距離が遠いとそれだけ時間がかかるし、通過するネットワーク環境によっては余計に表示速度が遅くなることがある。そういった場合でも、CDNを使っていれば表示速度の低下を避けられる。
とはいえミューラー氏は、ユーザーがアクセスする物理的な範囲が限られていて大元のサーバーが高速であれば、CDNは特に必要ないという意見だ。
だとしてもミューラー氏が言及していない価値がCDNにはあり、日本だけに向けたサイトでもCDNを使うメリットがあると筆者は考える。理由はいくつかあるが、たとえば次のようなものだ:
多くの場合、ユーザーにより快適な閲覧体験を提供できる(あなたのサイトが超高性能なサーバーとネットワークを使っているのでない限り)
画像の最適化やファイルの圧縮など高速化のさまざまな仕組みを自動で適用できる
キャッシュから配信するのでサーバーの負荷を抑えられる(特に、大規模でアクセスが多いサイトに役立つ)
大元のサーバーがダウンしていても、キャッシュからコンテンツを配信できる
不正な攻撃から防御してくれる(WAF機能をもつCDNの場合)
100ページほどの規模で、毎月のアクセスが数千くらいの個人運営のサイトであれば、CDNはたしかに必要ない(それでも表示を高速化するためにCDNを使う価値はある)。しかし、企業サイトであればCDNを利用する価値がある場合も多いだろう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
サイトマップを検索エンジンに見せてユーザーに見せないとクローキングになる?
問題なし (John Mueller on Twitter) 海外情報
「ユーザーと検索エンジンに異なるコンテンツを見せる」行為はクローキングといってガイドライン違反になる。では、次の行為もクローキングになってしまうのだろうか?
サイトマップを検索エンジンにはアクセスさせるが、ユーザーからはアクセスできないようにする。
クローキングにはならないようだ。グーグルのジョン・ミューラー氏は次のように述べている。
サイトマップへのユーザーのアクセスをブロックしても問題ない。サイトマップファイルは検索エンジンのためであり、それ以外からのアクセスを制限しているサイトもある。
That's fine. These sitemap files are for search engines, and some sites prefer to restrict their access accordingly.
— 🐝 johnmu.xml (personal) 🐝 (@JohnMu) June 6, 2022
サイトマップの中身を外部者には見せたくないという要望がもしあったとしたら、検索エンジン以外のアクセスをブロックしてもガイドライン違反ではないしランキングにも影響しないということだ。
- ホントにSEOを極めたい人だけ
確実に実践したい! ECサイトのスピードアップ施策×6
ECサイトじゃなくても採用できる (E-Commerce Magazine) 海外情報
ECサイトの表示速度の改善を解説する記事を紹介する。取り上げている施策は次の6つだ:
- ファーストビューをできるだけ速く表示する(体感速度の改善)
- ページの読み込み時間を短縮する(体感速度の改善)
- ブラウザの処理を減らす(処理速度の改善)
- 読み込むファイルの容量と数を減らす(処理速度の改善)
- 表示内容を減らす(処理速度の改善)
- 外部サービスや広告タグを見直す
速度改善の施策には、技術的に難易度が高いものが多い。しかし、この解説記事では、
- 表示速度改善に大切なポイントを比較的包括的に
- 難易度がさほど高くない手法を中心に
- 技術的になりすぎることなく
解説してくれている。つまり、ビジネス側の人でも理解しやすいということだ(言い方を変えると、確実に実践しておきたい施策ばかりだ)。
さらに言うと、「ECサイトの」としているが、実際にはすべてのサイトに当てはまる改善策でもある。ECサイト運営者でなくても役に立つ。
表示速度に関してしっかりやってきた人はおさらいとして、これから取り組もうという人は1つずつしっかりと理解するように読むといいだろう。
- すべてのECサイトWeb担当者 必見!
- 速度改善がんばってる人用
- 技術がわかる人に伝えましょう
ハッキングで生成された不正なページを削除したら404? 301?
削除して404を返すだけで十分 (John Mueller on Twitter) 海外情報
ハッキング被害にあったサイト管理者がグーグルのジョン・ミューラー氏に相談を持ちかけた。
サイトがハッキングされて、害を及ぼすファイルを埋め込んだページが1,500ほど作られてしまいました。そうしたページはすべて削除して、トップページにリダイレクトしています。この状態で不正なページは検索結果から消えますか?
ミューラー氏のアドバイスをまとめると次のとおりだ:
削除して、URLが404を返していればそれだけで十分。ページがなくなっていることの明確なシグナルになる
リダイレクトしても悪いことはない。リダイレクトエラーが報告されるかもしれないが、グーグルは適切に処理できる
Search Consoleで調べて、検索結果からのトラフィックが多いページがあるなら削除ツールで早急な削除をリクエストしてもいい
基本的には、ハッキングで生成された不正なページは削除して、404(または410)を返しておけば問題ない。わざわざトップページにリダイレクトする必要はない。
You don't really need to do anything special - they'll drop out of the index over time. If you do want to do something, I'd check Search Console for the URLs that got the most impressions, and request removal for them manually.
— 🐝 johnmu.xml (personal) 🐝 (@JohnMu) June 2, 2022
404s are generally better overall (since it's a clear error signal), but Google sees enough "redirect errors to the homepage" sites that they're able to deal with it. If you can make them 404, I'd go for it. If not, fine.
— 🐝 johnmu.xml (personal) 🐝 (@JohnMu) June 2, 2022
- (万が一のときのために)すべてのWeb担当者 必見!
コンテンツマーケを本気でやるなら独自ドメイン名とデータの確保は必須
外部サービスは終了が怖い (堀 正岳 on ツイッター) 国内情報
あるクリエイター向けメディアサイトが8月末でサービス終了することを発表した。利用者も多かったサービスだと聞いているが、サービス終了後はすべての記事が閲覧できなくなるとのことだ。
このサービス終了について堀正岳氏は次のように苦言を呈している:
「サービス終了後はすべての記事が閲覧できなくなります」
— 堀 正岳(ほりまさたけ)@ めほり (@mehori) May 25, 2022
これだから困るし、エクスポートもバックアップもとれないnoteみたいな外部サービスにコンテンツを預けるのは将来にむけてのコントロールを手放すことになる https://t.co/bzj1UiH7gV
ブログを作るなら今はどこで? って話題が定期的に出てくるけど、手軽さだけでnoteを勧めることはできない
— 堀 正岳(ほりまさたけ)@ めほり (@mehori) May 25, 2022
どこに書くのかという問題は、自分のコンテンツをどう未来にわたって守るのかとセットで考えないと
最近は「自社サイトを作らなくても外部サービスでいいのではないか?」という傾向がある(特にコンテンツマーケティングで)。しかし8月で終了するこのサービスに限らず、外部サービスを利用してのサイト運用にはメリットとデメリット(リスク)があることを把握しておきたい:
- メリット
- (特に技術的な)環境を自分で構築しなくていい
- セキュリティ面の考慮を運営者に任せられる
- SEOの変化や新しい技術への対応を運営者に任せられる
- デメリット・リスク
- 細かいSEOなどのチューニングをしづらいことが多い
- サービスが終了すると、過去のコンテンツやリンク評価を失ってしまう
いろんなことをサービス側に任せてコンテンツ作成だけに注力できるという長所は、そのまま自分でコントロールできないという短所にもなり得る。
そして、企業が仕事として第三者のサービスでコンテンツを公開する場合の最も大きなリスクが、サービス終了だ。しかも、予算と工数をかけて作ってきたコンテンツを保持できないというのは悲劇としか言いようがない。これまで積み重ねてきた努力が無に帰す(ブランドとしての評判は残るかもしれないが、現物はなくなるし、リンク評価なども消え去る)。
個人の日記ブログならばそうした外部サービスを利用してもまったく問題ないだろう。しかしオウンドメディアのように、企業がコンテンツマーケティングの一環として運用するのであれば、話は違ってくる。少なくとも次の2点を確実にしたい:
コンテンツデータの確保 ―― 自分で作ったコンテンツのデータは自由にバックアップ・エクスポートできるサービスを選ぶか、不可能な場合は必ず公開前に手元に原稿や画像データを整理しておく
リンク資産の確保 ―― 最初から独自ドメイン名を利用する
2つ目の独自ドメイン名について補足しよう。
ブログサービスを利用しているサイト管理者に向かって、グーグルのジョン・ミューラー氏はSEO掲示板で次のようにアドバイスしていた。
自分のサイトを長期間運用したいのであれば、独自ドメイン名を使うことを私はいつも推奨する。
独自ドメイン名は、文字どおりあなたのビジネスだけの固有の名前だし、ブランディングにも役立つ。それだけでなく、SEOにも当然役立つ。というのも、リンクはURLに対して張られて、URLはドメイン名に紐付く。つまり、自社が所有しているドメイン名でコンテンツを公開していれば、コンテンツで獲得するリンク資産を自社が所有することになるのだが、他社のドメイン名ではリンク資産を自社が所有することにならないというわけだ。
ブログサービスなどを利用する場合でも、「独自ドメイン名のサブドメインを外部サービスのサーバーに割り当てる手法」を使えるサービスも多いので、そうしたところを利用したい。
そうしておけば、万が一利用しているサービスが終了しても、同じサブドメインで別にサイトを作れば、コンテンツで獲得したリンク資産を自社のものとしてまた利用できるようになる。
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