グーグル、今度こそ寄生サイトを検索結果から排除へ。まず手動対策から【SEO情報まとめ】
間借りカレー屋は人気のところが多いが、大手サイトに間借りしてサイトの評価を悪用しようとする「寄生サイト」に対してグーグルは快く思っていない。以前から発表があったように、グーグルは5月に寄生サイトへの本格的な対応を開始した。
もちろん、それ以外にも、あなたのSEO力に役立つ情報を揃えている。中小企業のSEO底力、「SEOは終わった」へのグーグル社員の意見、Yahoo!検索とグーグル、などなど。すべて目を通しておいて損はないはずだ。
- グーグル、今度こそ寄生サイトを検索結果から排除へ。まず手動対策から
- 中小企業サイトがSEOで大手企業サイトに勝つための秘訣
- グーグル社員がSEOカンファレンスで学んだこと×4
- 上位表示にリンクは必要ない!? グーグル社員がコメント
- Google検索が結果件数を表示しなくなった!?
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今週のピックアップ
グーグル、今度こそ寄生サイトを検索結果から排除へ。まず手動対策から
自動アルゴリズムでの制裁もいずれ (Google SearchLiaison on X) 海外情報
グーグル検索で長らく問題になっていた「寄生サイト」に、ついに鉄槌が下された。「サイトの評判の不正使用」として、グーグルがスパムポリシーで正式に定義したのが2024年3月だった。3月の時点で5月5日から適用すると予告しており、いよいよ期日が訪れたのだ。
グーグル検索の広報担当であるSearchLiaisonのX公式アカウントが、適用開始を告知した:
現時点では、手動による対策のみを行っています。以前にお伝えしたとおり、将来的にはアルゴリズムによる処理もしっかりと導入する流れですが、まだ運用開始には至っていません。
Not sure if you're still online, Barry -- but we're only doing manual actions right now. The algorithmic component will indeed come, as we've said, but that's not live yet.
— Google SearchLiaison (@searchliaison) May 7, 2024
サイトの評判の不正使用の対処には、グーグルは「人間の目視での手動による対策」と「アルゴリズムによる自動での対策」の両面から対処する方針。まずは、手動による対策を進めた形だ。
実際に、Search Consoleに警告が届いているようだ:
手動メッセキタ!
— 五朗 (@kogoro4516) May 7, 2024
ご丁寧にありがとうございますw pic.twitter.com/iHdSGjNrwc
サイトの評判の不正使用
Google のスパムに関するポリシー(サイトの評価の不正利用)に違反するコンテンツが、サイトの一部に含まれています。サイトの評価の不正利用とは、ファーストパーティの監視や関与がほとんど、またはまったくなく、第三者のページ が公開される行為です。その目的は、ファーストパーティのサイトのランキングシグナルを利用して検索ランキングを操作することです。このような第三者のページには、ホストサイトの主な目的とは無関係であったり、ホストサイトの詳細な監視や関与がなく作成されたりしたもので、ユーザーにほとんど、またはまったく価値をもたらさない、スポンサー提供のページ、広告のページ、パートナーのページ、その他の第三者のページが含まれます。
寄生サイトの撲滅に早くから取り組んできた辻氏は、グーグルの初動について次のようにコメントしている:
「サイト評判の不正利用」サイト貸し・寄生サイトの「手動による対策」の影響を洗っていましたが、本当に広範囲です。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) May 8, 2024
ジャンル一致してても、自社運営と偽っていても、サイトポリシー等をしっかり出しても、ディレクトリではなく記事単位の寄生に変えても、しっかり落ちてる所が多いです。(1/n)
「手動による対策」なので当然漏れもあります。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) May 8, 2024
ただ、今回は新し目の所は対象外が多いですし、小手先修正のポリシー回避に走る所も多いですし、二弾三弾と手動対策が続きそう。
サイト貸主の方、手動による対策を受けましたら、業者の言うことを聞かずに契約解除される事をおすすめします。
(2/n)
昔から、二度三度と同じサイトで同じ手動対策を受けるとどんどん重い対処になりがちでした。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) May 8, 2024
人工リンク時代に再犯を繰り返した結果、長期のサイト単位下落になったりしましたね。その頃悪質な会社に騙されて激しい被害を受けた会社も多かったです。その被害者が今回は少ないといいのですが……(3/n)
寄生サイトに対しては日本以外でも手動の対策が実行されているとの情報も入っている。一方で、まだ対策を受けていないサイトもあるようで、今後の動向を注視したい。また、いずれ実行されるであろうアルゴリズムによる自動対策が、どの程度の精度と範囲で効果を出すのかにも注目だ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報①
中小企業サイトがSEOで大手企業サイトに勝つための秘訣
社長自身がSEOに取り組む (ボーディー) 国内情報
中小企業のSEOを成功させる秘訣は社長が自分で取り組むこと
ボーディーの住太陽氏はこのように主張する。その理由は、中小企業の社長が次のような存在であることだ:
- 高い当事者性を持っている
- 高度な専門知識を備えている
- 社外との交流を自分の仕事だと考えている
- 顕名での情報発信が普通になっている
- 会社の将来に責任を負っている
グーグルは、大手企業のサイトを優遇しているわけではない。しかし、中小企業が大手企業を相手に検索エンジンの舞台で競うのは、簡単なことではない。なぜなら、次のような点で差がつくのは避けられないからだ:
- SEOにかけられるリソース
- コンテンツの豊富さ
- 知名度
しかし、中小企業の社長が持つ知見や中小企業ならではのスピード感といった利点を武器にすれば、対等に渡り合うことも可能だ。
詳細は参照先記事で確かめてほしい。
本当に価値を提供できる人が、その価値を広く届けやすい世の中になっていればいいのだが、まずは検索エンジンを通じて、社長が自らそうした価値を伝えていくといいだろう。
- 中小企業の社長とWeb担当者 必見!
グーグル社員がSEOカンファレンスで学んだこと×4
SEOは終わったのか? (Gary Illyes on LinkedIn) 海外情報
ブルガリアの首都ソフィアで4月に開催された検索系の国際イベントSERP Conf.(SERPカンファレンス)に、グーグルのゲイリー・イリース氏が講演者として参加していた。このカンファレンスで学んだことを、イリース氏がリンクトインに投稿した:
hreflangは面倒だ。グーグルでは、同じ情報量を伝えつつ、小規模サイトから巨大サイトまで使える、より良い方法を模索している。アイデアがあればぜひ教えてほしい。
AI、特に生成AIに対する不安や信頼について。
今回のイベントの文脈で言うと、AIはあくまで道具であり、他の道具と同じように誤用される可能性がある。AIは、あなたがアクセスできる他の機能と何ら変わらない。自由に、そして革新的に利用していい。
ただし、AIを使って作成するものは、「質が高く、役立つもの」であるように心がけよう。インターネット上にはすでにゴミ情報があふれているので、これ以上増やす必要はない。
もし、あなたが作成しているものがゴミ情報かどうかわからない場合は、偏りのない人に何度か意見を求めてみるといい。
サイト移行がうまくいかない件について。
本来、このようなことは起こるべきではない。サイト移行したが数週間経っても回復の兆しが見られな場合は、私たちに連絡してほしい。
検索エンジンでのAI導入、大規模サイトの台頭、その他の要因によって「SEOは終わった」という声がまた上がっている。しかし、SEOは終わっていない。
検索エンジンに変化が起こるたびに、SEOの終焉を告げる記事が大量に公開される。このような記事が言うには、SEOは2003年頃からずっと死にかけていることになる。ずいぶんゆっくりとした死だ。そうでなければ、実際にはSEOは死んでおらず、検索エンジンとともに変化しているだけに違いない。
AIの使い方と「SEOは終わった」は、特に興味深い考察だ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
上位表示にリンクは必要ない!? グーグル社員がコメント
特定の条件のもとで? (Patrick Stox on X) 海外情報
SERP Conf.カンファレンスでのグーグルのゲイリー・イリース氏からのコメントをもう1つ紹介する。イリース氏は、次のように発言したそうだ(おそらくQ&Aセッションで):
ウェブページをランク付けするのにリンクはほとんど必要ない。長年にわたり、リンクの重要性を下げてきた。
グーグルのSEOに長らく取り組んできた人なら、リンクの重要性に関するPageRank(ペイジランク)に馴染みがあるだろう。リンクの件数を評価するランキングシステムだ。グーグル検索で最も有名で最も重要だとされてきたランキングシステムでもある。
もっとも、現在のグーグルでは、その重要度は、以前と比べれば下がっている。クエリによっては、リンクがなくても上位表示できる。たとえば、新しさが求められるニュース系のコンテンツであれば、リンクよりも最新性やトピックオーソリティが重要視されるだろう。
とは言え、リンクが今でも重要なランキングシグナルであり続けていることも間違いないだろう。イリース氏の発言は、「クエリによって」や「10年前、20年前と比べて」という条件のもとに、リンクの重要度が低下したととらえるのが適切な解釈だと考える。
なお、この発言がXで共有されたことに対してイリース氏は次のように反応していた。
あんなこと言うんじゃなかった……、あの発言は、絶対にすべきじゃなかった。
I shouldn't have said that... I definitely shouldn't have said that
— Gary 鯨理/경리 Illyes (so official, trust me) (@methode) April 19, 2024
もしかしたら、「ああいう言い方をすると、リンクがまったく意味のないものになっていると思い込む人もいるかもしれない」という観点なのかもしれない。グーグルの人間が何か発言すると、その発言のコンテキストや意図を抜きに表現だけが独り歩きしてしまいがちなのは事実だ。
SEOに限らず、情報は単一的な観点でとらえるのではなく、コンテキストや他の情報とあわせて解釈するように心がけたい。
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Google検索が結果件数を表示しなくなった!?
ツールの中に隠された (Search Engine Roundtable) 海外情報
GoogleのPC検索では、クエリに該当するページがインデックスにどれぐらいあるかを検索結果に表示していた。しかし、検索結果ページでの件数表示がなくなった。最近のことだ。
正確には、廃止されたわけではなく「ツール」機能で表示する仕様になった。初期状態では表示されないだけなのだ。
初期状態で表示されなくなったとしても困ることはないだろう。むしろ、この件数は概算であり誤解を招くことも多い。特に、site:
検索での件数の利用には注意が必要だった(詳細はこちらの記事を参照)
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