【計算できる?】新卒採用、男性4割減・女性2割増で全体8人減。昨年は女性より男性が10人多い。さて今年の採用数は?
会話のヒントから、男女それぞれの人数を求めてみよう

今日、会社に若い人がやたらと多いですね。インターン生でしょうか。

そうかもね、そういえば、うちの部署にも何人か来る予定だよね。

ぜひうちの会社を選んでもらえるように、秘伝のギャグを披露しなくては。

秘伝…嫌な予感しかしない…やめたほうがいいと思うなあ…。

ところで、人事部にいる同期に聞いたんですが、今年の新入社員は昨年に比べて男性が40%減って、女性が20%増えて、全体では8人減ったんですって。昨年の新入社員は男性のほうが女性より10人多かったらしいです。今年は採用が難しかったと言ってました。

なるほど。今年の採用数は、男性18人、女性24人だね。

え? どこから出てきたんですか。その数字は。

インターン生の情報を聞いてくるね! では! その間に考えてみて!

せんぱーい!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。

この記事を読むべき人:文章題が苦手な方
この記事を読む必要がない人:算数が得意な方
この記事でわかること:文章を整理して読むということ
文章問題は「表」で整理しよう

モリさーん! 何も言ってないのに、先輩に伝わってしまいました。

すばらしい以心伝心! 何が「何も言ってないのに先輩に伝わったん」ですか?

今年の新入社員は昨年の新入社員に比べて男性が40%減って、女性が20%増えて、全体では8人減った、昨年は男性が女性より10人多かったという話をしたら、「今年の採用数は、男性18人、女性24人」って当てられちゃったんです。

たしかに、今年の採用数は、男性18人、女性24人ですね。

順を追って説明をしてほしいです!

大体のことは、表で整理するといいんですよ。本屋さんに行くと「〇〇なことは××に教えてもらった」みたいな本、たくさんあるじゃないですか。次、本をかくとしたら「文章題は表で解いてもらった」みたいな内容にします。

早く教えてください。

では、次のような表をかきます。
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | |||
今年 |

出てきた項目をそれぞれ、並べたんですね。

はい、クロスしました。では、ここにわかっている数値を入れましょうか。

先輩が出してくれた答え以外、何もわからないです。とりあえず、前年比はわかっていますが、どこにどうかけばいいですか。

落ち着きましょう。まず、わからない数値は、𝒳・𝒴とおきます。昨年の男性の採用数を𝒳人、昨年の女性の採用数を𝒴人とおき、表にかきます。
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | 𝒳 | 𝒴 | |
今年 |

うへぇ。文字が2つもある…これだけで難しさが跳ね上がった気がする。

先入観を持たずに、解いていきましょう。こうすると、今年の採用数は男性と女性でそれぞれどうあらわせますか?

「今年の新入社員は昨年の新入社員に比べて男性が40%減って、女性が20%増えて」なので、第3回の前年比で学習したようにかくと…こうなりますか?
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | 𝒳 | 𝒴 | |
今年 | (1-0.4)𝒳=0.6𝒳 | (1+0.2)𝒴=1.2𝒴 |

すっばらしいです。特に40%減を(1-0.4)、20%増を(1+0.2)と表現できたのが見事です。元の数(昨年の人数)を「1」と考えて、そこから増減分を足し引きする、という割合の最も大切なポイントをしっかり押さえられていますね!

えっへん。となると、合計は、下のようにかけますね。
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | 𝒳 | 𝒴 | 𝒳+𝒴 |
今年 | 0.6𝒳 | 1.2𝒴 | 0.6𝒳+1.2𝒴 |

生後すぐのゾウさんが立ち上がったときと、同じくらい感動しています。
表から連立方程式を組み立てる

で、このあと、どうすればいいんですっけ。

次のヒント、「全体では8人減った」を式にしましょう。

ってことは、昨年のほうが多いのだから、昨年ー今年=8ですね。
(𝒳+𝒴)-(0.6𝒳+1.2𝒴)=8
𝒳+𝒴-0.6𝒳-1.2𝒴=8
0.4𝒳-0.2𝒴=8

その式、全部10倍すれば、すっきりしますね。

4𝒳-2𝒴=80 ってな感じですか?

はい、ついでに、両辺を2で割りましょう。

2𝒳-𝒴=40

素敵です。では、次の式です。「昨年は男性が女性より10人多かった」。これは、式にしてくれと言わんばかりの情報ですね。

昨年の男性が𝒳、女性が𝒴 なので、えーっと、この「より」って苦手なんですよね。

多いのは男性? 女性?

男性?

ピンポン! ってことは、「男性は女性より10人多い」なので…。

𝒳=𝒴+10 ですね!

比較をあらわす「より」は、間違えることが多いので、しっかり読みましょう。

ってことは、𝒳=𝒴+10 2𝒳-𝒴=40 の連立方程式ですね。

「代入法」で解きましょう。代入法とは、入れ替わりの術みたいなもんです。

入れ替わりの術? それって、もしかして入れ替わってる~?! っていうなにかの術ですか?

𝒳=𝒴+10 の式を、2𝒳-𝒴=40 の𝒳と入れ替えちゃいましょう。

𝒳の部分に入れちゃえばいいので、2(𝒴+10)-𝒴=40 ですか?

うまく入れ替えられました。それを解きましょう。

2𝒴+20-𝒴=40 から、𝒴=20
お、解けた!

ここで、𝒳=𝒴+10 の𝒴を20と入れ替えちゃいましょう。

𝒳=20+10=30 ですね。

あとは、計算で、今年の人数をそれぞれ求められますね。
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | 𝒳=30 | 𝒴=20 | 𝒳+𝒴 |
今年 | 0.6𝒳=18 | 1.2𝒴=24 | 0.6𝒳+1.2𝒴 |

うわああ…ほんとだ! 解けたぁ…解けたゾウ。なんで表にしたら解けたんでしょう。

数字の情報が文章にちりばめられた「文章題」が苦手な方は、どこから数字を整理していいかわからず、解けなくなる傾向があります。こういうときも、表にして冷静に情報を整理することで、あとは今までの知識で解けることが多いんですよ。

嬉しいゾウ…!
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でも、自分は出ていません。

ぎくっ。本ではひかるさんという方と学習を進めます…。打ち合わせで「タコだそうよ、タコ!」と適当に言ったのが採用になり、タコ率多めです。読んだ人が皆タコ焼きが食べたくなると言っています。

算数の本なんですよね? タコ率とか意味が分からないですが、面白そうですね。割合であらわすと
タコが出てくるページ数/全ページ数 がタコ率ですか?

その通りです。ビジネスで使える○○率、という項目もあります。大人の算数の教科書か~って感じですね。ぜひお手にとってご覧ください! ではまた来月!

宣伝で〆るの? ドラマの宣伝みたい! また来月!

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著者:モリマミコ(大人のための数学教室大人塾)
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ポイント
- 複雑に見える文章題は、表にするとわかりやすい
今日の問題をおさらい
Q1.今年の新入社員は昨年の新入社員に比べて男性が40%減って、女性が20%増え、全体では8人減った。昨年の新入社員は男性のほうが女性より10人多かった。今年採用した男女の人数は?
表にする
男性 | 女性 | 合計 | |
昨年 | 𝒳 | 𝒴 | 𝒳+𝒴 |
今年 | 0.6𝒳 | 1.2𝒴 | 0.6𝒳+1.2𝒴 |
𝒳=𝒴+10 …①
2𝒳-𝒴=40 …②
①を②に代入して
2(𝒴+10)-𝒴=40
2𝒴+20-𝒴=40
𝒴=20
𝒳=30
今年の採用数は
男性30 ×0.6=18(人)
女性20 ×1.2=24(人)
答え:男性18人、女性24人
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