中小企業経営者の過半数、あらかじめ報酬などを決める「ジョブ型雇用」に興味あり【あしたのチーム調べ】
あしたのチームは、中小企業における「ジョブ型雇用」について調査した結果を発表した。従業員数5名~300名で、人事評価制度がありジョブ型雇用を導入していない企業の経営者150人・管理職150人、計300人から回答を得ている。
「ジョブ型雇用」とは、従来の「まず人を採用して、仕事を割り振る」という形と異なり、「ジョブディスクリプション」と呼ばれる職務記述書などをもとに、あらかじめ業務内容・勤務地・労働時間や報酬を細かく定めたうえで、雇用契約を締結する形を指す。
ジョブ型雇用に、中小企業経営者の半数以上が興味・関心
まず経営者150人に、「ジョブ型雇用についてどう思うか」を聞くと、「自社で導入したいと思う」3.3%、「興味・関心はある」52.7%、「自社では導入したくない」22.7%、「特に何も思わない」22.0%と、かなり鮮明に意見が分かれたが、半数以上が興味・関心を示していた。
ジョブ型雇用について「自社で導入したいと思う」「興味・関心はある」と回答した84人に「自社の人事課題」を聞くと、「優秀人材の採用が難しい」42.9%が最多。「各人のスキルの把握が困難」33.3%、「重要な仕事をしている社員や高い成果を出す社員に賃金を重点配分できていない」31.0%が続き、現状の人事制度に何らかの問題を感じているようだ。
実際、「ジョブ型雇用に期待すること」を聞くと、「成果の可視化による正当な評価」60.2%が圧倒的に多く、「業績への貢献度に応じ適正な報酬を支払うこと」47.0%、「社員の成果に対する意識の変化」38.6%が続くなど、“評価軸”に悩んでいる様子がうかがえる。ジョブ型雇用については、明確な評価のしやすさが期待されていると思われる。
実際経営者の多くは、「直近1年で報酬(給与)に見合う成果を出していないと思う社員がいる」62.7%、「払っている報酬(給与)以上の成果を出していると思う社員がいる」76.7%と、成果と給与のアンバランスさを吐露している。この傾向は管理職も同様だった。
また「コロナ禍において、成果を出さない社員を解雇したいと思うか」という質問に、経営者の4割以上が肯定している(とても思う9.3%、まあ思う33.3%)。
ジョブ型雇用を導入していない理由は「業務を細かく分けられないから」
そこで、あらためて経営者に対し、「成果を明確に判断できる職種については、期間内の成果(出来高)に応じて給与額を増減させる賃金制度にしたいと思うか」と聞くと、「とても思う」24.0%、「まあ思う」54.0%と、8割近くが肯定的だった。ある意味、明快な給与の仕組みを望んでいると言える。
あらためて管理職も含めた全300人に、「自社で実現したい人事評価における給与の決め方」を聞くと、経営者・管理職ともに「業務の成果(数字的結果や行動量)を重視」経営者:78.0%、管理職:71.3%で圧倒的多数だった。勤続年数や役職ではなく、明確に“成果”が重視されているようだ。
一方で、「現在ジョブ型雇用を導入していない理由」を聞くと、「業務を細かく分けられないから」40.0%が最多。「ジョブ型雇用について知りたいこと」は「成果・評価の決め方」64.9%、「給与の決め方」63.1%が特に多かった。
調査概要
- 【調査対象】全国の従業員数5名以上300名未満で人事評価制度がありジョブ型雇用を導入していない企業の経営者(20歳以上の男女)、勤続1年以上でマネジメントや人事評価をする対象となる部下が5人以上いる管理職(20歳~59歳の男女)
- 【調査方法】インターネット調査
- 【調査期間】2021年1月27日~29日
- 【有効回答数】300人(経営者:150人、管理職:150人)
ソーシャルもやってます!