スポーツイベントでの声出し応援は可能? 産総研がJリーグの試合を分析。空気の停滞など確認されず【産総研調べ】
産業技術総合研究所(産総研)の新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボは、「スポーツイベントの声出し応援に関する新型コロナウイルスの感染リスク評価」の調査結果を発表した。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)などと連携し、試合観戦時における観客の新型コロナウイルス感染リスクや対策効果を分析している。
カメラ撮影とAIによる画像認識技術を駆使して分析
主要イベントにおける声出し応援は原則禁止だが、6月10日にJリーグでは「声出し応援に関するガイドライン」を発行、段階的導入を進めている。このガイドラインを踏まえ、「STEP1:6月11日・12日に開催された2試合(声出し応援エリア:収容率25%)」、「STEP1:7月2日・6日に開催された6試合(声出し応援エリア:収容率50%)」、さらにガイドラインを改定した「STEP3:7月30日・8月7日・10日・14日に開催された4試合(声出し応援エリア:収容率50%)」について、産総研ではカメラ撮影・AIを用いた調査を実施した。
まず、声出し応援エリアの試合中のマスク着用率は94.8~99.8%で、「不織布マスクを着用して応援する」というルールは順守されていた。声出し応援再開前のマスク着用率(94.3%)をすべての会場で上回っていたという。また観客間距離もおおむね適切に守られていた。座席位置が守られていないケースの大半は、子どもが親と近くにいるケースだった。
そのうえでCO2濃度について見ると、声出しエリア・一般席ともに、平均で400~550ppm、高くても750ppm程度であり、試合終了後のCO2濃度がすぐに低下することからも、空気が停滞する状況は確認されなかった。
なお声出し応援時間(ホーム側応援席)は、120分中60~62分で5割程度だった。また現地を視察する限りにおいて、声出し応援禁止席の観客が声出し応援をしている様子は確認されなかった。
この結果から、観客の多くは「声出し応援に関するガイドライン」を順守しており、感染予防に対する高い意識を持っていたと推測される。コロナ株の変異などで予断は許されないが、参考指標として活用されるだろう。
調査概要
- 【調査対象となった試合】以下の12試合。
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