IT機器で激変する日本語、9割の人が「影響あり」。一番は「手で字を書かなくなる」【文化庁調べ】

場にふさわしい言葉遣いを求める人が多数。コロナ用語では「エアロゾル」「ブースター接種」にかなりの違和感?

文化庁では、「国語に関する世論調査」の最新結果を発表した。国語施策の参考とするため、1995年度(平成7年度)から毎年実施しているもので、2021年度(令和3年度)に実施した調査の結果となっている。調査対象総数は6,000人で有効回収数は3,579人(59.7%)。

この調査では「国語に対する関心」「言葉や言葉の使い方の課題」「生活の変化とコミュニケーション」「ローマ字表記」「新しい言葉の使用と印象、慣用句等の意味・言い方」を中心に、日本人の国語に関する意識や理解について、幅広くアンケートを行っている。

「改まった場で、ふさわしい言葉遣いができていない」ことを問題視する人が多数

まず「国語(日本語)に関心があるか」(日常の言葉遣いや話し方、文章の書き方など)を聞くと、「非常に関心がある」13.9%、「ある程度関心がある」68.0%で、約8割が関心を持っていたが、「全く関心がない」1.0%、「余り関心がない」16.8%という層も存在した。年齢別で見るとおおむね若い層ほど関心が低い。

関心のあるポイントでは「日常の言葉遣いや話し方」79.4%が圧倒的に多く、以下「敬語の使い方」48.8%、「文字や表記の仕方あるいは文章の書き方」38.4%、「言葉の意味・由来や国語の歴史」35.7%が続く。

なお「言葉や言葉の使い方について、社会全般で、課題があると思うか」を聞くと、84.6%が「あると思う」と回答している。具体的な社会全般の課題としては「改まった場で、ふさわしい言葉遣いができていないことが多い」59.5%が最も多い。

IT機器と日本語の関係性、9割超が「影響がある」と考えている

「パソコンやスマートフォンなどの情報機器の普及によって、社会における言葉や言葉の使い方が影響を受けると思うか」を聞くと、90.6%とほとんどの人が「思う」と回答している。年代別で見ても、70歳以上を除く全年代で9割を超える。

具体的な影響では「手で字を書くことが減る」89.4%、「漢字を手で正確に書く力が衰える」89.0%が上位だが、「人に直接会いに行って話すことが減る」54.5%、「電車の中など公共の場所でも、自分だけの世界に没頭するようになる」38.8%など、個人の能力だけでなくコミュニケーションの在り方に危惧を抱いた回答も多かった。

コロナ禍で生まれた言葉、人それぞれにかなりの印象差

コロナ禍では「人流」「黙食」「ブレークスルー感染」「ブースター接種」「ワクチンパスポート」「ニューノーマル」「エアロゾル」「おうち時間」といった言葉が新たに誕生あるいは普及した。しかしこれらの単語を「そのまま使うのがいい」と思う人と「この言葉をそのまま使わない方がいい」と思う人は、かなり違いが生じている。具体的には「おうち時間」「黙食」「人流」「ワクチンパスポート」はそのまま使うのがいいという人が多いが、「エアロゾル」「ブースター接種」「ブレークスルー感染」「ニューノーマル」は別の表現が望まれていることが、この調査で判明した。

調査概要

【調査対象】全国16歳以上の個人
【調査方法】郵送法
【調査時期】2022s年1月21日~2月21日
【調査対象総数】6,000人
【有効回答数】3,579人(59.7%)

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