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携帯のフィルタリングについて、現状がどのようになっているか、正しく理解できている方はほとんどいないように思えます。
僕自身は、自社(Z会)が提供するサービスの利用者が未成年である以上、キッチリ押さえておかなければいけないのですけど、保護者の皆さんはなかなか「携帯」という新しい利器に深いところまで踏み込んで見られないのが現状かと思います。
そこで、今回各社から発表になった対策について、保護者の皆さんが押さえておいて欲しいポイントをまとめてみます。
1.客観的な情報源からの情報を確認する
携帯各社やマスメディアが報道する記事にも誤りはないのですが、どうしても自社よりの論調になったり、多くの人の目にとまるような見出しになったりしがちです。
客観性の高い、下記のような社団法人のリリースを参照することをオススメしたいと思います。
◆社団法人電気通信事業者協会(TCA)
http://www.tca.or.jp/
◆モバイルコンテンツ審査・運用機構(EMA) ※12月に社団法人化を目指しています
http://ema.or.jp/ema.html
※なおZ会は、モバイルコンテンツ審査・運用機構(EMA)の法人会員であり、僕自身がEMAの「啓発・教育プログラム部会」などに参加、携帯とどう向き合っていくか真剣に討議しております。
2.今回のリリースのポイントを確認する
TCAのリリースを元に要点を整理します。
- 新規契約者だけではなく既存契約者にも適用範囲が広がった
※既存未成年契約者の携帯には、保護者からの申告がない限り、無条件にフィルタリングがかかります。 - ホワイトリスト方式ではなくブラックリスト方式にすることを正式に表明した
ホワイトリスト方式=閲覧を許可するサイトをリストに登録する方式(「登録がなければ閲覧はダメ」という姿勢なので、閲覧サイトの数が少なく限定される厳しい姿勢です)
ブラックリスト方式=閲覧を許可しないサイトをリストに登録する方式(「登録がない限り閲覧はOK」という姿勢なので、閲覧サイトの数が余り限定されず、有害度の高いものだけに絞れます) - 本来はブラックリストに自動分類されるサイトでも、EMAが認定したものはブラックリストから外す
基本的に、未成年同士のコミュニケーションができるサイト(ブログや掲示板など)はすべてブラックリストに登録されてしまいます。
しかし、EMAに申請し、ブログや掲示板の運営体制がしっかり整っていますよ、と認定されたサイトについては、ブラックリストから例外的に外される措置がとられます。
※すでに「魔法のiランド」を始め5つのサイトがEMAの認定を受けています。
3.マスメディアの見出しだけに過剰反応しない
注)これから述べることに関しては、見出しそのものが悪いと言いたいのではなく、携帯リテラシーがないまま情報を(自分だけの理解で)鵜呑みにしないことを伝えています。
まず、朝日新聞の記事を参考にしながら。
http://www.asahi.com/business/update/0912/TKY200809120252.html
- 見出しに「フィルタリング緩和へ」とありますが、「ホワイトリスト方式ではなくブラックリスト方式にすることを正式に表明した」ことをさすものです。むしろ一般の18歳未満の方が受けるイメージとしては、既存契約者にも適用されるので「フィルタリング措置拡大へ」という雰囲気があるのも否めません。
- 見出しに「健全掲示板なら閲覧可」とありますが、「健全掲示板」となるにはEMAによる認定が必要です。「このサイト安全だよね」と保護者の方が一方的に思っている掲示板であっても、掲示板運営者がEMAへ認定申請をしていない限りフィルタリング対象となります。
一方、今回EMAが健全サイトと認定した「Gree」は、mixiやモバゲータウン同様のSNSですから、未成年同士の頻繁なやり取りを(仕組み上は)可能にしていますので、「EMAが認定しているサイトは直接やり取りなんてできないと思っていた!」というのは先入観にすぎませんので、ご注意ください(EMAの認定は「投稿の管理監督をしっかりしていること」に重きを置いているのです)。
続いて時事通信の記事。
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2008091200823
- 「18歳未満原則加入へ」という部分がわかりにくいですね(しょうがないですけど)。要するに、保護者から自発的な「フィルタリング不要」という申し出がない限り適用していますよ、契約者が未成年の場合いきなり「今まで見られていたサイトが見られなくなった!」ってことがありますよ、ということです。
※保護者が「うちの子どもは携帯を正しく使っているのでフィルタリングかけないで」と言う場合には、「不要」と申請することで大人同様に携帯を用いることができます。
4.リリースやメディアだけでは分からない対策も着実に進行中
例を挙げます。
- 保護者が正しく理解することで、「子どもに見せたいけれどもブラックリストになっているサイト」を見せたり、「子どもに見せたくないけれどもフィルタリングを通過しているサイト」を見せなくしたりできる「保護者個別設定」の仕組みを備える方向で進められています。
- 「原則ブラックリスト」という方針ですが、「いやさらなる安全のためにホワイトリストを選択したい」という保護者のために、携帯各社はホワイトリストのプランを無料で用意しています。
例)ドコモ「キッズ iモードフィルタ」
http://www.nttdocomo.co.jp/service/site_access/imenu/utilization/kids_im... - 18歳未満の方が使用している携帯電話の契約形態が「保護者の2台目」となっている場合、そもそも「契約者が18歳未満」と判別できないので、今後携帯電話各社が「(携帯電話の)利用者」についての個別データも確認していく予定があります。
少しでも参考になれば幸いであると同時に、EMAの一員として正しい情報の普及に努めなければいけませんので、ご質問やご意見があればコメント欄にお願いできればうれしいです。
最後に。
携帯は現代においては、高校生以上のほとんどの方が持つ道具です。
であれば、むやみに一律の(閲覧)禁止、という方向性ではなく、使い方をしっかり伝えていく、啓蒙していくのが一番大事なことだと(個人的には)思っています。
そしてまた、高校生はしっかり「マナーモード」にすることを弁えている人が大半で、大の大人が電車の中で大きな着信音を鳴らす場合が多いように見受けられる、という実態も伝えておきたいと思います。
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