SGホールディングス(SGHD)が2020年1月に開設した次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」には、物流業務の効率化や省人化を実現する最先端設備「シームレスECプラットフォーム」がある。搬送ロボットや自動梱包機器などをそろえた最新鋭物流センターで、スペースやシステムを使用した分だけコストが発生する従量課金制を用意し、ECスタートアップも利用しやすい料金体系を採る。佐川グローバルロジスティクス(SGL)の堀尾大樹氏(東京支店 EC Logi Tokyo 所長)に、「Xフロンティア」および、「シームレスECプラットフォーム」の概要や今後の展望を聞いた。
最先端テクノロジーを活用した物流設備
最新マテハン機器を積極導入
2020年1月に開設した次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」は、地上7階建て、敷地面積は約7万2727平方メートル(約2万2000坪)。東京都江東区に拠点を置く。
広大な建物内には、理論上1時間あたり約10万個の荷物を仕分けできる佐川急便の大規模中継センター(1~4階部分)、国際輸送を担うSGHグローバル・ジャパン(5階部分)、大型特殊商品の配送に対応するSGムービング(6階部分)など、SGHDグループ各社が入居する。
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「Xフロンティア」の構造図(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
1つのセンター内にSGHDの物流機能を集中することで、フロア連携によるシームレスな物流サポートによる迅速な商品配送を実現する。この強みを支えているのが、自動搬送ロボットなどの最先端テクノロジーだ。
「シームレスECプラットフォーム」のイメージ動画(編集部が追加)
ロボットが稼働するのは「Xフロンティア」5階部分の「シームレスECプラットフォーム」。管轄する堀尾大樹氏(SGL 東京支店 EC Logi Tokyo所長)は、「ロボットは人の移動をできる限り排除するためのツールの一部に過ぎない」と言う。
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SGLの堀尾大樹氏(東京支店 EC Logi Tokyo 所長)
活躍する主要ロボット
導入しているロボットは商品棚をピッキングステーションまで運ぶ「EVE」、エリア間の荷物搬送を行う「OTTO」、商品の3辺に合わせて自動で箱を作成し梱包するイタリア製の「自動梱包機」など。
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商品の3辺を計測し、自動で段ボールを最適なサイズに裁断する梱包機(撮影:編集部 公文紫都)
処理数は通常のオペレーションと比べて「EVE」は3~4倍、「自動梱包機」は4~5倍も向上。「OTTO」は搬送距離を約150メートル削減する。
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自動棚搬送ロボット「EVE」(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
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自動搬送ロボット「OTTO」(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
使った分だけ支払う従量課金制
「シームレスECプラットフォーム」では、スペースやシステムなど使用した分だけ支払う従量課金制を採用している。そのため、年商1億円規模のEC事業者でも、初期投資を抑えながらSGLの高いクオリティの物流センターを活用できる。
約2万1156平方メートル(約6400坪)の広大なスペースで業務にあたるのは、通常100人が必要なところわずか50人。少ない人数でも、最先端のロボットを駆使することで業務効率は大幅に向上するという。
少人数稼働は、コロナ禍で「三密の回避」が求められている現在、物流のストップというリスクの低減につながる。これは、「商品を届ける」ことが求められるEC事業者にとって「止まらない物流」は大きなポイントと言えるだろう。
SDGsへの貢献など3つの利用メリット
「シームレスECプラットフォーム」は、主に事業を始めて間もないEC事業者や、1日500~1000個ほどの荷物を出荷する小中規模の事業者の利用を見込んでいる。
このような事業者が「シームレスECプラットフォーム」を使用するメリットは3つある、と堀尾氏は言う。
①初期費用や固定費の低減
1つ目はビジネス規模的に物流に多額の投資をする余裕がなくても、従量課金制の本サービスを利用することで初期費用や固定費をおさえられる点だ。
商品の保管スペースを他社と共有し、スペース費やシステム利用料などを使用した分だけ支払う従量課金型のシステムのため、取り扱う荷物がまだ少ないEC事業者でも導入しやすい料金体系になっている。
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「シームレスECプラットフォーム」の料金表(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
②環境問題への配慮やSDGsへの取り組みをアピール
2つ目は、環境への配慮やSDGsへの貢献ができる施設を利用していることをアピールできる点。
Xフロンティアの中継センターは規模が大きく、仕分け処理能力が高いため、関東圏の複数の中継拠点を集約することが可能になる。それにより、トラック使用台数が削減され、輸送効率と積載効率が向上、結果としてCO2削減につながる。
また、ロボットの導入による自動化・効率化で作業スタッフの負担が軽減することで、職場環境も改善される。
SDGsに取り組む倉庫を利用することにより、利用事業者はSDGsに貢献しながら効率的な事業運営ができる。
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「シームレスECプラットフォーム」が実現する環境負荷低減と職場環境改善の内容(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
③受注から発送までのリードタイムを短縮
3つ目は、発送までのリードタイム短縮による「注文後のキャンセル低下」につながる点。
宮城佳乃子氏(SGL 東京支店 営業課 係長)によると、「センターをフル稼働させた場合、関東圏のお客さまなら、夜中の注文でも当日の午前中に配達することが可能になる」と言う。
受注から発送までのスピードが速くなれば、注文後の商品キャンセルのタイミングが減る。キャンセルが減れば、販売機会の損失を防ぐことにもつながる。(堀尾氏)。
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「シームレスECプラットフォーム」利用時の商品注文から到着までの流れ(画像:SGL提供資料から編集部がキャプチャ)
荷物量の多い企業は「オーダーメイド物流」でサポート
「シームレスECプラットフォーム」は規模やジャンルに問わず、どんな企業でも利用しやすいよう汎用的な構造にしていることから、企業規模が大きくなると見合わなくなることもある。
そのため、1日の出荷量が1,000個を超える規模の企業や、「シームレスECプラットフォーム」の利用により成長し出荷量が増えた企業には、全国に約80拠点を展開するSGLの物流施設内に個別に専用の物流スペースを設ける「オーダーメイド物流」を勧めているという。
利用企業の利便性向上のため、他社システムとの連携にも力を入れており、現在、倉庫管理システムの開発を行っている。2020年秋ごろには、主要なカートシステムや受注管理システムとの連携を順次展開する予定だ。
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オリジナル記事:搬送ロボット、自動梱包機器など最新テクノロジーを駆使したSGホールディングスの次世代型物流センター「Xフロンティア」とは
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