藤沢市役所+ALAYA(彼方株式会社)
取材・文:加藤さこ
URL | http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/ |
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目的 | 行政情報提供 |
総ページ数 | 1万6,000ページ以上 |
ビジター層 | 市民や藤沢への訪問者・勤務者など |
オープン | 1996月10月 |
- サーバーインストール版を利用
- サイト全体をCMS化
- 導入準備期間:約3か月
- 導入作業期間:約3か月
各部署からの情報の更新が5倍に
すべてのページで自動的にアクセシビリティ対応
年月が経つうちにサイト運用の問題点が発生
藤沢市のサイトでは、行政として市民、そしてこれから藤沢に住居を構える予定の人、藤沢で働く業者など、藤沢市にかかわるすべての人にとって有益な情報を発信している。また、情報発信だけにとどまらず、市民電子会議など情報の意見提案を行政に反映できる双方向の仕組みも作っている。さまざまな情報やシステムが点在していたため、年月を経るごとに管理が難しくなってきた。2000年頃には、全課での統一感もなく、作り方もバラバラな状態だった。
「各課で統一ルールを設けずに作っていたので、外注に出しているところ、デザインに凝っているところなど、それぞれの部署で差も出てきてしまいました。ユーザーにとってわかりやすいページにするためにも、イメージの統一化は必須です。
これを解決するために2001年に全課を対象にリニューアルしました。ひな形を作って同じ背景で統一し、ツールもIEに標準搭載されていたフロントページエクスプレスを使うこととして、マニュアルを作って講習会を開きました」
このように2001年には、自社のみでリニューアルを実施した。しかし、IEのバージョンアップにともなってフロントページエクスプレスは提供が終了となり、使用できなくなってなるという問題が発生した。また、承認システムもアナログで手間のかかる状態で、更新に時間がかかってしまうことも問題視されていた。
「当時は、情報発信ページの公開をするのにPC上でなく、紙での承認で行っていました。各課で決裁して、FTPで仮サーバーにアップロードしてから相談情報センターに書類を提出すると、やっと公開サーバーに掲載されます。これでは情報公開までに3日もかかってしまいます。
また、当時から主要なページにはテキスト版を用意していて目の不自由な方には非常に喜ばれていたのですが、ページは手作りで作っていました。これもすべてのページを自動的にテキスト化できないかという思いがありました」
サイト全体も1年、2年と経過していくうちに、また統一感が損なわれてきてしまい、適切ではなくなってくる。そしてこの頃にはサイト運用の問題点が浮き彫りになり、情報をカテゴリ分類したいという要望も明確になってきた。CMSの導入を考え始めたのは、このような経緯がきっかけだった。
選定には45のチェック項目すべて標準装備でクリアすること
サイトリニューアルを考えるにあたって、市販のホームページ更新ツールとCMSの費用対効果を比較することとなった。藤沢市のポリシーとして、全ページでテキスト版を用意したいというのが条件だったため、単なる更新ツールよりもCMSのほうを選択することとなった。
「ちょうどインターネットマガジンでCMSの特集があったのでそこからいろいろな情報を得て、掲載の業者から選定することになりました。
選定には、インストール型であること、アクセシビリティを意識しないで現場で簡単に作れること、ワークフロー管理ができること、ステージングサーバーを利用できること、承認者の設定ができること、静的HTMLページを出力できること、W3C勧告のガイドラインに基づいたページが作成できること、携帯に対応すること、サイト全体のロールバックできることなど、全部で45のチェック項目を作りました。
中でもマイクロソフトのオフィス製品との連携ができること、エクセルの表が反映できることは、作成者である職員の利便性を考えると外せないポイントでした。その中から、すべての項目を標準で備えていて一番低価格だったのが、彼方株式会社のALAYAでした」
旧コンテンツの移行は練習を兼ねて各自投入
導入準備には3か月設けた。まずは担当者に対して「ALAYAとは何か」から始めて操作方法の研修を開催し、移行マニュアルを作成した。また、彼方から講師を招き、何度か相談会も開催した。移行は2段構えで旧サイトからスタート。現場となる全課の人を対象に研修をし、さらに部単位、保育士などサイトにかかわる人全員にも研修を実施した。
「彼方さんの相談会を開くと予約がすごかったですよ。そして、理解した人から順に、ALAYAの練習を兼ねて旧コンテンツをCMSに入力していってもらいました。情報管理課では、彼方さんからもらった資料を元に、パワーポイントでマニュアルを作成しました。それをイントラで掲示したり紙で配布したりしていきました。
今度のリニューアルはサイト全体ですが、一気にやらなければだめだということにしました。一部だけなどとすると、結局ダラダラしてしまいますから」
導入後は、公開承認に関するこれまでの紙での連絡は一切廃止され、すべてPC上で行われるようになった。担当者から課長へ承認を求め、許可が下りると担当者にバックされて公開日時を設定し、公開していく。ただし、セキュリティー上、公開は一定の時間帯しか認めていない。そのため、緊急時は情報管理課が手動で切り替えを行うこととした。
「承認については、課長のみでなく、2段階以降の希望もありました。しかし、それでは情報の即時性が損なわれます。情報の責任はすべて課長が負うことにして、トップページ、ジャンル分けなどのコントロール、緊急のものに対しては情報管理課の責任としました。責任の所在を各課の課長にして、作ったら見ることを徹底させています。責任の所在が明確になったのは良いことだと思います」
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