今日は、誤った認識を持つと、検索マーケティング担当とサイト管理者のキャンペーン構築に悪い影響を及ぼしかねない2つの問題に触れたい。
ページとドメイン名へのリンク
多くの検索マーケティング初心者はもちろん、時には経験者でさえも、PageRank(ページランク)モデルの要素の多くが、まだ元のままだと誤解しているんだ。たとえば、リンクの重要性、アンカーテキストの関連性、そして被リンクによって得た信用が、該当のページだけに影響すると考えている。だが、実際はその逆だ。質の高い信用のある情報源から得たリンクは、おなじドメイン名の多くのページの順位を引き上げる。これは、検索エンジンがリンクを単一ページへの支持票として数えるだけでなく、ドメイン名全体への支持票としても数えるからなんだ。
そのため、僕がよく「Wikipedia要因」と呼ぶ効果が働く。この呼び名は、Wikipediaのページで、外部からの被リンクがなく、Wikipedia内のページから1つか2つリンクがあるだけなのにもかかわらず、よく使われる検索キーワードで上位5番目までに入ることから付けたものだ。同じことは、About.com、Technorati、Expedia、del.icio.usなどのドメイン名についても当てはまり、こうしたドメイン名が積み上げてきたリンクの重要性と信用度は、これらドメイン名の全ページに影響している。「Texas Hold 'em」で検索すると、.eduドメイン名のページばかりが出てくるのも、これが主な理由なんだ。
先日のスーパーDigg状態の記事で触れていた状況は、この要因が働いた良い例と言えるだろう。ただし、サイトの主題と関連がない話題の場合には、Googleなどの検索エンジンがその被リンクを価値なしと判断するかもしれない。これは、Search Engine GuideのJennifer Laycock氏も強く感じている点だということを指摘しておいた方がいいだろう。厳密にそうなのか、僕にはよくわからない。
オフラインの世界だと、企業はブランドとイメージの浸透を図る目的のためだけに、自社の製品やサービスにほとんど関連性がない宣伝やマーケティングを絶えず行っている。関連性のない話題のバイラル(口コミ)マーケティングを展開したり、ウェブサイトの主要コンテンツに関係のないメディアの注目を集めることを、SEM担当者がサイトの重要性を下げる根拠と見なすかどうかに関しては、確かな事柄というより哲学的な議論だと思う。
余談だが、この「上げ潮がすべての船を持ち上げる」効果は、コンテンツを複数のドメイン名に分けず、できるだけ単一のドメイン名に置く最大の理由の1つだ。なお、サブドメイン名がこの効果を十分に得ていないように思えるケースも見られる。だから僕はいつも、もっともな理由が特にない限り、サブドメイン名の使用を控えるように勧めているんだ。
一時的リンク分析
表示順位をめぐる競争が激しい分野の多くでは、上位ランクを得るのに必要な数の被リンクを獲得するだけでは十分じゃない。長期にわたって自分のドメイン名にリンクを誘い続ける必要もある。さもないと、それを実行しているサイトに負けるおそれがある。
時折、リンクが最も多かったり、リンクの質が最も高いサイトが、検索結果ランクで優位性を持たないように見えることがあるが、これは、一時的リンク分析が影響している。特にGoogleは、被リンクの増加パターンを見つけるのが非常にうまい。開設後まだ日が浅いウェブサイトの表示順位が上がっていると、ほかのサイトよりも上位になるだけのリンク価値がないように思えて、驚くかもしれない。だが、被リンクのパターンに着目すれば、ずっと前からある退屈なサイトが、毎月4~5件のペースで新しいリンクを獲得しているのに対し、新興サイトが1日4~5件のペースで被リンクを獲得していることに気づくだろう。
長期にわたるリンクの増加を確認するには、Technoratiの検索(たとえばSEOmozで検索してみるとか)を利用するのがいい。Technoratiが被リンクの数だけじゃなく、2時間前、3日前、4週間前などその時期まで表示することに注目しよう。リンクの増加ペースが最も速いのは、多くの場合RSSフィードを配信している(そのためTechnoratiが追跡できる)ブログなどのサイトなので、これは非常に役に立つツールになる。
既存のウェブ分析プログラムはどれを取っても、長期に渡って(過去にトラフィックのないURLに基づく)新規被リンクを追跡する機能がないことを、僕は日頃から不満に思っていたんだ。
ところでSEOmozでは最近、キーワード調査に関する有料コンテンツ「The Professional's Keyword Research Guide」の提供を始めたよ。また、効果的なソーシャルメディアマーケティング(SMM)に役立つ無料公開記事も掲載する予定だ(同僚のJaneが書いた記事)。楽しみに待っていてほしい。そうそう、われらがRebeccaが生まれて初めて公開プレゼンに臨んだ、SearchFest 2007の模様も掲載するから、こちらもお楽しみに。
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