簡単なトレーニングでページ作りが可能に
簡単なトレーニングでページ作りが可能に
佐賀新聞では、2006年4月に「デジタル戦略チーム」という専門チームを設けた。メンバーは、記者3名、広告営業3名から成る社員6名と、サイト制作や更新作業をするためのスタッフ2名。既存のサイトを運用しながら新サイト作りをスタートした。
まずはサイト・パブリスに慣れるためということで、MICSが用意しているオプションメニューのトレーニングを利用した。
「サイト・パブリスにもマニュアルはありますが、すべての機能を網羅すると膨大なページになりますし、必要な項目を探すのが大変になり、かえって理解しにくいものになってしまいます。導入する会社の運用によって必要な情報量は変わってきますので、会社の運用や担当者のスキルにあわせたトレーニングを設けているわけです」(成瀬氏)
佐賀新聞では、1回3時間のトレーニングを2回受けた。1回目では基本操作、2回目は実際の具体的な使い方を学んでいった。
「素人でもブログを書くのと同じように使えるので、すぐに慣れました。その後は、実際に作業をしながらわからないことを電話で相談して進めていきました。ここまでは比較的楽でしたね。1回決まりごとを作れば、そのマニュアルを見ながら記事を入力していけます。操作に慣れてきたら自分で新たにページを作ることもできるようになりました」(牛島氏)
導入前は兼任担当者が手作業で行っていた部分も、CMS導入後は記者がニュース記事を入力し、キャンペーン広告などは営業が管理する形で自分たちで行えるようになった。他のスタッフはアーカイブを移し変えるなどの作業を担当し、潤滑に仕事を回す体制が整った。
期間指定掲載やRSS配信
さらにニュースサイトとSNSの連携も
サイト・パブリスには既存サイトのデータを自動的に移行するツールも用意されているが、佐賀新聞では操作に慣れることを重視して手作業でデータを移行した。データを移行しながら、デザインの細部を詰めるなど新サイトを自分たちの手で改善していったのだ。
当初はチームで責任を持って更新していたため公開承認機能は利用していなかったが、最近になって他の部署のスタッフが更新するようになり、特定のページのみ文字修正などを自由に行えるようにした。
CMS導入前は広告企画をある期間だけ掲載するための管理が大変だったが、現在では「スケジュール公開」という機能を使って自動に行っている。この機能は、ページ単位だけでなく、ページの中のブロック単位で公開期間を設定できるのが大きなメリットだという。たとえば「今日の佐賀新聞」というブロックでは、朝と夕方で時間を区切って掲載内容が自動的に変更されるようになっている。
さらに、さまざまなページで同じ機能を共有し、1つのブロックの内容を変更すれば、共有しているすべてのページで変更が反映される「シェアブロック」という機能を組み合わせることもできる。
「RSS機能を活用して、ニュースのRSSとサイト全体のRSSを分けて配信することも簡単にできました。予想していた以上に便利な点が多く、満足しています。
特に“問い合わせブロック”という機能が便利ですね。問い合わせフォームを簡単に追加して、フォームの入力項目を変更したり入力必須項目を指定したりが簡単にできます。この機能で本当に便利だと実感したのは、問い合わせ内容や問い合わせへの対応状況が管理画面から確認でき、対応したらマークを付けたり、エクスポートして他のソフトで管理したりできる点です」
もちろん問い合わせがあったらメールで通知することもできる。ちょっとしたCRM機能といったところだろうか。サイト・パブリスの管理ユーザーの権限ごとに、どの問い合わせブロックのどの機能にアクセスできるかを指定できるので、特定の担当者のみにメールを送信したり、管理画面から見られる問い合わせの種類を制限したりもできる。
ニュース、生活、クチコミ
三位一体の融合でトータルコミュニティを実現
ニュースサイトのリニューアルに続き、2006年10月1日にはSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)のサイト「ひびのコミュニティ」をオープンした。無料会員制で、知人からの招待は不要。SNSのエンジンとしてはオープンソースの「OpenPNE(オープンピーネ)」を採用し、フロントエンドにサイト・パブリスを利用している形のシステムだ。
「SNS構築パッケージをいくつか調べたのですが、どれもデザインの自由度が低いものばかりでした。しかし、広告クライアントがスポンサーする公認コミュニティなどでは、デザインやレイアウトを自由に変えたいという要望があったのです。そこで成瀬さんに相談してみたところ、SNSの機能自体はOpenPNEを使い、背後にあるOpenPNEから情報を引っ張ってきてサイト・パブリスで表示するというシステムを提案されました。つまり、OpenPNEにサイト・パブリスの皮をかぶせてしまうという感じです(笑)。これでデザインの自由度は相当高くなり、やりたかったことが実現できました」(牛島氏)
OpenPNEとサイト・パブリスを接続することで、ニュース、生活、CGMの三位一体型サイトが実現できた。現在「ひびのコミュニティ」登録は2700人に上る。コミュニティサイト内にもニュースサイトの新着情報が表示されるし、ニュースサイトの記事ページには関連するコミュニティの情報を表示するなどして、互いのサイトが有機的につながるようにした。
「単にニュースを記事として出すだけでなく、情報をもっと深く掘り下げていくことも新聞社のサイトとしての使命だと感じています。今後は、プラグインをもっとうまく使ってサイトを拡張していきたいですね。細かい機能の追加やユーザーからの要望を取り入れ、認証機能を使ってアルバム、家計簿など、どんどん追加していきたいですね」(牛島氏)
佐賀新聞では、まず自社サイトで何を実現したいのかを明確にし、それに近づくためのツールとしてCMSを選定した。そして、目先だけでなく長い目で見たパートナーとして取り組んでいけるベンダーを見極めていった。CMSを導入することを目的化するのではなく、しっかりと目標を定めたうえで進んだことが、佐賀新聞の成功の秘訣だったと言えるだろう。
解決したかった問題点
- HTMLに明るくないスタッフでもコンテンツを作れるようにしたかった
- 技術者でなくても広告キャンペーンなどを設定できるようにしたかった
- リンク作成や一覧の作成を自動化したかった
- ニュース情報と生活情報、コミュニティを融合したかった
製品名 | SITE PUBLIS(サイト・パブリス) |
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提供事業者 | 株式会社ミックスネットワーク |
URL | http://www.micsnet.co.jp/ |
提供形態 | インストール型/ASP |
出力形態 | 静的ファイル出力/動的ページ生成 |
対応OS | Linux/Solaris |
特 徴 | ブロック形式の部品でサイトを管理する使いやすいCMS |
デザイン構築からコンテンツ作成、承認ワークフローによるコンテンツ公開までウェブサイト運営のすべてのフェーズを管理する。プログラムが不要な動的コーナーを多数標準装備し、ページごとの編集・管理権限の設定など充実した機能を低価格で実現している。また、オリジナルのプログラムをコンテンツに導入できるプラグイン機能もある。
- 社内に技術者が常駐しなくても運営していけること(サポートを受けられること)
- リニューアル全体で2,000万円(ハードウェアやSNS構築費込み)の予算に適していること
- カスタマイズが可能で慣れれば自社でもカスタマイズできること
- 素人でもわかる直感的な操作性であること
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.4』 掲載の記事です。
※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2007年1月)のものです。
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