RSSフィードの設置&フィードでは全文を発信した方がいい?
[特集] 好感度上昇で人が集まる! 評判管理の技術SMO実践テクニック
外部のRSSフィード生成サービスのリスクとは?
RSSフィードはWindows Vista発売後に導入が進むのではないかと言われていましたが、現状はそれほどではありません。利用者はまだ、インターネットユーザーのうち10パーセントに満たない状況です。とはいえユーザーがコンテンツを自由に配置できるiGoogleを舞台にRSSフィードが普及しつつあり、利用者は増えつつある状況です。
RSSフィードを積極的に活用しているユーザーは、情報感度が高く、インフルエンサーも多く含まれます。こうした層をターゲットとする情報を発信するのであれば、RSSフィードを用意しておくことが不可欠でしょう。
またRSSフィードは、ユーザーによる能動的な利用だけでなく、ブログ検索やブログのアグリゲーションサイトでの情報取得手段としても活用されています。RSSフィード発信対応は、こうしたメディアへの情報流通を促進する意味でも効果的です。
RSSフィードは、ブログであれば自動的に生成されますが、通常のWebサイトでも、無料あるいは有料のサービスを利用することでフィードの生成が可能です。中にはサイト内の特定のカテゴリーだけ、フィードを生成してくれるサービスもあります。目的に応じて、そうしたサービスを上手に利用してください。
ただし、外部のフィード生成サービスの利用にはリスクもあります。まず1つは、そのフィード生成サービスの運営会社が、何らかの事情でサービスを終了してしまうと、ユーザーとのつながりを失ってしまう点です。こうしたケースでは、フィードが更新されたことを伝えることすら出来なくなります。
2つ目は、運営しているサイトのドメインとフィードのドメインが異なる場合、現状では、一部のブログ検索に登録されない点です。検索エンジン側がスパム対策のため、そのような処置を行っています。
ブログ検索は、今のところはまだ利用者が少なく、トラフィック誘導に効果があるかといえば、ほとんどないと言わざるをえません。ですから、2つ目のリスクについては割り切ってしまうのも1つのスタンスだと思います。ただWebサイトから、積極的に情報を流通させるスキームを作るのがソーシャルメディアの概念の1つであり、基本はブログ検索にも対応するように、RSSフィードを発信していくべきでしょう。
ユーザーの興味関心に合わせ、きめ細かなフィード発信を
RSSフィードをSMOに活かすには、ただ発信するだけでは、実は不十分です。フィードの購読者がどのくらいで、どの記事がどの程度クリックされているかという効果測定をきちんと行う必要があります。効果測定をする際は、動的なURLを生成してしまうものを避けるなど、SEOに不利にならないように配慮する必要があります。
またフィードを導入する際は、どんな単位でフィードを発信させるかという計画を立てることも大切です。
フィードの利用者は、そのサイトの情報すべてに興味があるわけではありません。サイトの中の、ある特定のテーマだけに対して興味があるのが一般的です。
ニュースサイトであれば、経済だけのフィードを購読したり、企業のサイトであれば、特定の商品に関する情報や、プレスリリースだけを購読しています。
プレスリリースにしても、単にコンビニの新商品を知りたい人には、恐らくIRに関する情報は必要ありません。ユーザーの興味に応じ、ワンテーマ・ワンコンテンツでページを作成するのと同じで、ユーザーの興味単位でフィードを用意してあげることが大切です。
具体例を挙げれば、米国のニューヨーク・タイムズのサイトは、100種類ものRSSフィードを発信しています。ニューヨーク・タイムズに限らず、米国では、極めて細分化されたフィードを用意している企業が少なくありません。1つひとつのフィードの購読者は少なくても、全部合わせると相当なフィード購読者数になります。
最新のフィード発信の事例だと、ユーザーに興味のあるキーワードを登録してもらい、それに関連するフィードだけを発信しているケースもあります。ユーザーの興味関心を踏まえて、フィードの発信計画を立てることが重要です。
RSSフィード購読者を増やすための方法
RSSフィードを購読してもらうための対策も必要です。1つはユーザーが利用しているRSSリーダーにワンクリックで登録できるようにするための、RSSフィード購読リンク・ボタンの設置です。実はRSSフィードを発信しているのに、それを示すリンクやボタンをどこにも設置していないサイトは少なくありません。こうしたサイトのRSSフィードをユーザーが購読するには、通常はページのHTMLソースを参照し、該当のフィードを見つけ出す必要があり、面倒です。ですからフィードを配信していることをきちんと明記し、リンクやボタンを用意してあげることが大切です。RSSフィード購読ボタンは、ソーシャルブックマークボタンと同様、設置したからといってトラフィック(フィード購読者)が増えるわけではありませんが、SMO施策のインフラ整備の一環として行うといいでしょう。
ちなみにアイレップのプレスルームでは、はてなRSS、Bloglines、livedoorリーダー、My Yahoo!のRSSフィード購読リンクを設置しています。利用者の多いRSSリーダーに対応するリンクやボタンを、いくつか設置しておけばいいと思います。
もう1つは、Technorati (テクノラティ)、Feedster(フィードスター)といった、フィードを発信しているサイトだけを集めた検索エンジンに登録することです。にほんブログ村などRSSフィードのポータルサイトへの登録も、やっておいて損はないでしょう。
RSSフィードでは全文を発信した方がいい?
RSSフィードで情報を発信する際、ヘッドラインだけにするか、サマリーにするか、それとも全文を入れてしまうかという議論もあります。
RSSフィードに全文を入れることのユーザー側のメリットは、RSSリーダーがあれば、そのサイトを実際に訪れなくても、すべての情報を読めてしまう点です。しかしWebサイトを広告のビジネスモデルで運営している場合は、この方法ではマネタイズが難しくなってしまいます。
一方で、ヘッドラインやサマリーだけを配信した場合、無線LAN付きのノートパソコンやウィルコムのAIR EDGEなどを使ったモバイルユーザーに対して、不親切になってしまいます。モバイルユーザーにも流通させたいコンテンツであれば、フィードに全文を入れて配信した方がいいでしょう。ビジネスの目的により、フィードの発信内容は変えていく必要があると思います。
RSSフィードによる全文配信は、リスクもはらんでいます。企業が発信した情報が知らないところでユーザーに利用され、コンテンツ・シンジケーション・サイトが増加してしまうリスクです。フィードは集客やリーチに役立つ一方で、まったく同じ内容のコンテンツが、不特定多数のユーザーを通じて、Web上に広がってしまう可能性を生じさせかねないのです。
このような状態がなぜ問題かというと、SEOにネガティブな影響を与えてしまうからです。検索エンジンは、同一内容のWebページがいくつもあった場合、そのすべてを検索結果に表示するわけではありません。同一内容のコンテンツが複数見つかった場合、基本的にはオリジナルの配信元のページを上位に表示するアルゴリズムになっています。しかし場合によっては、シンジケーション・サイトの方が、オリジナルサイトよりも上位に表示されてしまう可能性もあります。ユーザーは、検索結果の上位に表示されたWebページを訪れる傾向が高いわけですから、このような状態は好ましくありません。
ソーシャルブックマークにおいても、同様のリスクがあります。ユーザーから高く評価されるコンテンツを配信したとしても、ソーシャルブックマークが複数のシンジケーション・サイトに分散してしまった結果、話題になりにくくなってしまいます。
こうしたリスクに対処するには、まず検索エンジンに対し、オリジナルの情報を配信しているサイトだときちんと認識させることが大事です。
アイレップの場合であれば、記事を配信しているページから、自社のWebサイトのオリジナルコンテンツへリンクを集めておくといった対策をしています。
あらかじめSEOを行っておき、シンジケーション・サイトよりも上位に表示されるようにしておくことも大切です。
シンジケーション・サイトの中には、他サイトのコンテンツを丸ごと利用し、広告モデルで運営しているような悪質なケースもあります。こうしたサイトに対しては、見つけ次第警告をしたり、場合によっては法的手段に訴えたりすることも考えなければならないかもしれません。
このような悪質なサイトが、オリジナルの自分のサイトよりも検索結果の上位に表示されることも、残念ながらあります。こうした場合、手続きに沿って検索エンジンに申請をすることで、そのサイトを検索結果から削除してもらうこも可能です。
フィード自動検知機能(Auto-discovery)を備えたブラウザに対応
マイクロソフトのブラウザーInternet Explorer 7や、Mozilla Firefoxには、WebサイトがRSSフィードを配信していることを自動的に検知する「オートディスカバリー機能」が備わっています。このオートディスカバリー機能に、Webサイトを対応させるのも、RSSフィードを効果的に配信するための基本テクニックの1つです。
RSSフィードを配信しているページのHTML中に、次の1行を加えておけば、ブラウザーがフィードを自動検知し、ユーザーは1クリックでフィード購読できるようになります。
HTML内に書き込むAuto-discoveryの内容
<link rel="alternate" type="application/rss+xml" title="RSS" href="http://RSSフィードへのパス" />
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