垂直検索におけるコミュニティの役割——iMedix経営陣とのインタビュー(後編)
この記事は2部構成の後半となる。前編では、コミュニティを組み合わせた健康・医療関連の垂直検索サービスのiMedixについて、その背景にある考え方と技術的な話をお伝えした。今回は、ランキングアルゴリズムに関する技術的な話とともに、同社のビジネス戦略についてお届けする。
ランキング(順位決定)のアルゴリズムに関してもう少し伺いたいのですが、社内で開発したものですか? それとも、結局はPageRankやTrustRankのようなものを修正して使うことにしたのでしょうか?
ランキングのアルゴリズムは私たちの知的財産(IP)であり、ユーザーから受け取ったフィードバックを分析して、有用なページのパターンを認識します。また、順位づけの計算式は、ユーザーのフィードバックに応じて絶えず自動的に更新されています。学習のメカニズムは、機械学習分野における最新のアルゴリズムを組み合わせて構築したものです。
分類アルゴリズムで重要視しているのは、クエリとページとの適合率を非常に高い精度で予測できるようにすることです。iMedixのプロプライエタリな技術は、イスラエルのベン・グリオン大学で医療情報学研究所の所長を務め、当社のチーフサイエンティストとしても働くユバル・シャハー教授の協力も得て開発しました。教授は、最先端の健康情報検索および人工知能技術の分野で15年以上の実績を持つ人物で、スタンフォード大学で医学情報科学の博士号を取得した優秀な医師です。
iMedixは、検索エンジンであると同時に、ユーザーをうまく活用してコミュニティ作りを促進していますね。どういう経緯でそのようなことを思いついたのですか? また、ユーザーたちの反応はいかがですか?
私たちがこのやり方でいこうと決めたのは、助けを必要としている人々は、同時に、その経験と知識を他人のために役立てられるのだと感じたからです。適切なツールを開発すれば、この相互協力の活動をうまく組織化して利用できます。
私たちは日ごろから、フォレスター・リサーチ、ジュピター・リサーチ、eMarketerをはじめとする主要な調査会社の記事やデータを読んでいますが、成功する製品を作りたいなら、ユーザーの意見を聞くことが最も重要だと考えています。私たちのとったこの方向性は、まさにユーザーとの対話を反映させたものです。
私たちは、iMedixを使いたいと思ってくれるユーザーがいることと、Crunchiesの「最優秀新規ベンチャー企業賞」としてインターネットコミュニティが世界のベンチャー企業の中からiMedixを選んでくれたことを、ありがたい幸運だと感じています。
iMedixの1年目は確かに大成功でしたね。そこで、サービスの公開についてですが、これまではどのような戦略だったのですか? また、どのあたりが最もうまくいったと思っていますか?
そのようにおっしゃっていただいて大変うれしいです。私たちは、適切なときに適切な場所にいることができて本当に幸運だったと思います。非常にうまくいった戦略としては、既存の製品を研究し理解するのに時間をかけ、利用者のことがわかるようになったことでしょうか。ただレポートを読むだけではなくて、ブロガーやオピニオンリーダー、患者の人たちと、誠実にオープンな議論を重ねました。何百人ものそうした人たちと連絡を取り合って、ユーザーの助けを借りながら、何を開発しなければならないかを共に考え出しました。協力してくれた人たちも、そのプロセスを楽しんでくれたから、それを友人や他の読者と共有することに決めたのだと考えています。これが、iMedixの知名度とトラフィックに非常に大きな影響を及ぼしました。
では最後にうかがいます。期待の高さとベンチャー企業という環境が重圧になり、参ってしまいそうになることも多々あるのではないかと想像しますが、あなたや他のiMedixの従業員の人たちは仕事と生活のバランスをどのように保っておられるのでしょう? ベンチャー企業に何かアドバイスはありますか? 今度はこんなところをこう変えようとか、違うやり方をしてみようとか思うところはどこでしょう?
ベンチャー企業というものは、たしかに要求されることが多いです。この1年は私たち全員にとって本当に厳しかったですね。それこそ昼夜の区別なく仕事をしていたので、私生活とのバランスをとるのは困難でした。最終的には、みんなが幸せで満足しているのですが、その過程で得た教訓もいくつかあります。
あらゆるベンチャー企業のCEOや創業者にアドバイスするとすれば、次のようなことでしょうか。
- 週に1日はメールをチェックしない日を作る。
- ベンチャー企業にとっては人材が最も大切なリソースであることを理解する。従業員が家族との時間を過ごせるようにし、休暇をとることを奨励する。
- 会社の発展と活動について従業員にきちんと知らせる。貢献してほしいのであれば、成果を相手に分配しなければならない。
- そして、最後に……成果があれば祝うこと! たとえ時間がなくても実行すべきです。そのすばらしい瞬間を素通りさせてしまってはいけません。
お2人とも、ありがとうございました。今言われたアドバイスをすべてきちんと実行できる自信は私にはありませんが、とにかくやってみます。すばらしい話をうかがえて本当に感謝しています。
ところで、検索マーケターが考えておくべき大事な問題がいくつかあるんだ。
- コンテンツを垂直検索サイト向けにターゲティングして、自分のサイトが垂直検索サイトのホワイトリストに載るようにするにはどうしたらいいか?
- 今現在、主要な検索サイトとは別に、垂直検索エンジンから相当数の検索トラフィックはあるか?
- サイトの所有者にとって、iMedixのようなサイトからトラフィックを得ることは、多少なりとも価値や重要性があるのだろうか?
僕が最も心配しているのは、将来起こりうる展開に注意を払っていないマーケターは、そうした変化が現実となったとき、競争相手を追い抜く大きなチャンスを見逃してしまうんじゃないかということだ。
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