楽天とSBテクノロジーが考える「ウェブ解析」とは?
楽天とSBテクノロジーが考える「ウェブ解析」とは?
その後も、楽天株式会社 執行役員の黒坂三重氏による「楽天市場でのビジネス戦略とアクセス解析の役割」、ソフトバンク・テクノロジー株式会社 ソリューション事業部 執行役員の佐藤光浩氏による「Webマーケティングビジネス展望」などが特別講演として行われた。
楽天は、通常の流通だけでなくモバイルの流通総額が6年で約145倍となるなど、急速な成長を受け、自社ツールを利用したウェブ解析を行っていたが、
- データの属人化(誰がデータを持っているか判らない)
- 仕様の不一致(同じ分析を違う手法で行っている)
- 職人的なデータ分析(手法が横展開できない)
といった問題が出てきた。さらに運用・開発におけるコスト高騰、データ解析の遅延、計測に関するノウハウ不足などもあり、さまざまな検討を経たうえで、最終的にSiteCatalyst導入に踏み切ったという。
黒坂氏は、SiteCatalystなどの効果測定ツールについて、導入効果を最大化するポイントとして「ビジネスゴールに直結するKPIを設定することで、分析内容をシンプルにする
」と定義づけ、コンテンツパーソナライズ/商品レコメンドなどにおいて、注文件数・流通高・訪問回数をKPIとして捉えることにより最適化している事例を紹介。同時に、「しっかりしたビジョンと戦略が必要だが、日々の意志決定にはデータが必要となってくる。さらにそれぞれの会社・店舗にあったKPIをベースにすることが大切
」と、ここでもセグメンテーションの重要性が強調されていた。
オムニチュアのパートナーとして活動してきたソフトバンク・テクノロジーの佐藤氏は、「ウェブマーケティングに対する要望が多角化している
」として、「PV重視」「SEO対策」「リスティング全盛期」「SEM+CVによるROI(投資対効果)最大化」という時代を経て、現在は「次世代ウェブマーケティング」の時代にさしかかっていると分析。「レガシー環境も融合させたウェブの分析機能」ということで、複合的なプラットフォームにおいてAPIを駆使し、標準的なレポートともにカスタムレポートも行うことが重要だと指摘した。
これでひとまず基調講演は終了となったが、単にオムニチュア(あるいはSiteCatalystという製品)という企業のイベントに留まらず「ウェブ解析はどうあるべきか」「何が顧客との関係で大切なのか」「ウェブマーケティングはどこまで広がるのか」など、さまざまなテーゼについて、深い「気づき」が満載の講演だった。
もちろん動画に代表されるRIA分野への解析アプローチ、人工知能的なインテリジェンスマーケティングといったオムニチュア独自のツールの進化などが背景にあってこそのビジョンであるわけだが、それ以上に、未来を指向するウェブマーケティング業界としての強い意志を感じさせる講演だった。
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